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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
19/53

第18話 こがねいろのメロディ

地獄の頭痛と共に珍太郎は目覚めた。

いつも不思議な事だが、一秀とホッピーを飲み始めた後、

なぜ家にいるのだろう。


そこに時間的な感覚はなく、まるでドラえもんのどこでもドアで移動してきたようであった。


とりあえずLINEを見なきゃ、こういう時は何かやらかしてる可能性が高いのだ。


大島さんからの支離滅裂なLINE「ちゃんねぇのケツやばぃ!!ほったたらで!」と、

シェリーから「昨日の飲み代4500円、今度返して」とのLINEがあった。


ため息一つ、そして頭痛が思考をかき消す、

胃腸を襲う吐き気を消すために布団にもぐり、意識をかき消す事にした。


そんな中で、珍太郎はいつしか暗い森の中にいた。

暗い森を一人きり歩いている、、

終わりのないほどの闇の中で、幾人かの息遣いを感じる。

同僚達の気配のもの、珍太郎がいつも感じている息苦しさ。


歩いても歩いても暗闇は続く、光は少しも見えなかった。


いつしか声が聞こえてきた。


「珍太郎はダメな使えないクズだよ。」

「絵の才能なんて、これっぽちもない、

ただ人生を決めきれない飲んだくれ!」

「サボる為の言い訳をするんじゃぁないよ、おまえは

酒飲みのこの自堕落め。

お前何のために生きてるんだ、酒をかっくらって、現実逃避しているだけじゃないのか?」

「こんな人生なんか意味がないだろ、

死んじまえよ、楽になれるぜ」

「毎日をただ食って寝て、性行為をしているのは、虫でもできる、

人間というのは夢があって。。。」


「やめろ!!」


森の中に珍太郎の声が響き渡る。


その時、視界の片隅に光の筋が見えた。

その方角から、天使のような声で歌が聞こえる。


「死にたくない、そしてクズみたいなみじめな人生を生きたくない、

それでもそうなってしまうんじゃないかという恐怖、

そして周りに張っている見栄やプライドが怖いんだ。」


珍太郎は叫びながら、光の道を走っていた。


いつしかだだっ広い会議室のような空間に珍太郎は立っていた。

そこにはビリビリに破れた紙の断片が無造作に捨てられていた。

なぜかそれを集め始めた珍太郎は気づいた。


「これは、かつて俺が書いた絵だ。

そして昔、誰かに俺のイラストを破られた時、

心の中で一緒に破かれた。

心の中に穴が空いた、空洞のような人生は穴を広げていったんだ!」


再生した絵には一人の男がクリーム色のストラトを持って、真っ暗な渦に向かって、叫んでる絵だ。

それは彼のヒーロー「イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン」その人であった。


動画細工のように、絵の中のマルムスティーンは渦に飛び込むと、珍太郎の隣に立っていた。


「抗え、ヴァイキングのように!」


叫びながら、Eフラットハーモニックスマイナーの手癖フレーズを無我夢中に弾き、

1弦21フレットを1音半チョーキングで決めると、マルムスティーンはピックを投げてきた。

あわてて取った珍太郎の手の中でピックは筆に変わった。


「それで戦うんだ、世の中の理不尽と、おまえを妨害するくそったれどもと、

そして何も見つけられない自分とその自堕落と。」


「まずは書く事を取り戻せ、生きていく事をそこに定めてしまったおまえの宿命だよ。」


そう生きる事を決めてしまった人生の過程、出会ってしまった人々、

生きてきた過程そのものが呪いであった。

珍太郎は自分の人生に呪われたままなのだ。


なんともネガティブな悲しい事だろう。


しかし珍太郎の心には輝ける黄金の糸があった。


それは珍太郎も気づいていない、

「自分は絵を書いて生きていくんだ」という信念。


信じ続ける力は人間を導く。

いわゆる幸運と思われる事象を作り出していく。

そして自堕落で酒まみれの珍太郎を動かす為に、夢の中にあらわれた。


珍太郎に対し、働きかけた信念、その名もマルムスティーンの願いを

彼はかなえる事ができるのであろうか?


そして呪いを解く事ができるのであろうか?


珍太郎はいつの間にか、深い眠りに落ち、

マルムスティーンは心の奥に帰って行った。


そして目覚めの時が来た。

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