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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
13/53

第12話 アルコールモンスター

客入りが良くなってきたライブハウスの喧噪の中、

二人の男が酒瓶を片手に何やら話し込んでいる。


「なんやっけ、あのニッケルバックみたいなバンド、

音楽的にはようないけど、ベースのちゃんねえ色っぽい、やりたいわ。」


大島さんは、珍太郎の肩をポンポン叩きながら、何やらうれしそうだ。


大島さんは虫も殺さないような優しい性格で、酒を飲んでも荒れる事はない。

珍太郎は酩酊しての暴言や迷惑行為が酷い為、大島さんの穏やかな酒癖が羨ましかった。


ただ一点を除いて。。


大島さんはふらふらした足取りでライブハウスの奥の扉に向かって歩いて行った。

そのまま、「関係者以外は立ち入り禁止」と書いてある扉を開けると、

さぞ関係者のような素振りで中に入っていくのであった。


「ちょっ!どこ行くんですか」


お客さんをかき分けて、珍太郎も大島さんを追いかけていく。

もしかしたら大島さんは酩酊していて、アレをやらかすかもしれない。

直近の発言から推測するに、、


「キャー、やめてくださいよ、、誰ですか、あなた。」


「ほな、演奏よかったで、立ってベース演奏してるだけあって、イイケツやな。」


大島さんは背の高い女性の尻をスケベ面で触っている。


「ざっけんな!」


女の平手打ちが大島さんを襲う。


「うわらば」


もろに入った平手打ちの衝撃で手に持っていたコロナビールが転げ落ちる。

幸い、中身はなかったようで、大事には至らない。

ただ、この衝撃でわれらの大島さんも我に返ったようだ。


「あっ、、、大変申し訳ございませんでした!!!!!」


土下座して謝る大島さん、女は睨みつけている


女に謝るなど癪だと思ったが、珍太郎も謝った


「連れの大島さんが非常に申し訳ない事をしました、本当にごめんなさい。

もう二度とさせませんので、お許しいただければと」


その光景を見て、爆笑している集団がいた。


その中から、金髪のカツラをかぶり、大槻ケンヂのようなメイクとサングラスでキメタ男が近づいてきた。


「お姉さん、ロックの神に免じて、許してあげましょうよ。

何が起こるかわからない、それがロックってものだと思いますしさ。

それに数多のロックスターもこいつみたいにあほだったし。」


「まあ、しかたないわね、お酒を飲んでいるっていうのもあるし。」


大島さんは何とか許されたようだ。


「ああ、何とお礼を、、、」


大島さんがお礼を言おうとすると、金髪が遮った。


「俺はMD、No Ruleってバンドのギタリスト兼リーダーだぜ。

大島さん、あんたまじでロックだな、すげえよ。」


見覚えのある顔が近づいてきて、補足した。


「MDっていうのは、Most Dangerousの訳、

本名は吉井さんっていうんだけど、

酒の席でのあまりの危険度から、自然とそう呼ばれるようになっていったんよ。

ところで珍太郎さん、あんた最高の帽子かぶってるな、野球すきなんか!?」


赤と白と黒を主体に角の生えた動物のようなロゴが入ったベースボールキャップには


「KINTETSU BUFFALOES」


と刻まれていた。


「珍太郎さん、ライブ終わったら、みんなで飲もうや、

俺も野球大好きでな、今年のドラフトについて予想しようや。

今年はオリもそんなによくなかったしな。

あと飲んでMDが迷惑かけたらすまん。」


「シェリー、おまえも人のこといえんだろ。」


すかした声で、黒いドレスの男が割りこんできた。

黒いドレスと対比するように、初期の氷室京介のように髪を立てている。


直観的に珍太郎はいかにも酒癖の悪そうな奴だと思った。


「俺は紅葉(もみじ)、お見知りおきを!」


そろそろ悪いなと思った珍太郎は、大島さんを連れて楽屋から出ていくのであった。


「大島さん、あいつら良さそうですね、

どこかしら昔ながらの馬鹿というか、ロックをしてくれそうな連中ですね。」


セクハラされた哀れな女の次には、王子の格好をした男が打ち込みをバックに歌っていた。


「今日も聞こえるヴォカリーズ哀れで、、、

こんなに俺の心を抉り取るのに、、、」


耽美な世界観を歌い上げる彼を横目に、珍太郎はドラフト予想の記事に手をかけたのであった。


「嫌いじゃないけど、哀れな奴やな。」


大島さんは嬉しそうにスミノフアイスを飲んでいた。

清志郎は反省するなと言ったが、この男は少しばかり反省が必要じゃぁないだろうか、

珍太郎はひそかに思うのであった。

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