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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
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導入

大型ショッピング施設に併設されたオフィスビルにて、

今日も業務用エレベーターが上り下りしていた。


一般の人や社員があまり使う事のないここは珍太郎にとって絶好のさぼりスペースと言えた。


珍太郎は30を手前に迎えたサラリーマンだ。

親会社が上場していて、社会的な知名度も高く、体裁は悪くない。

加えて、年収も一般のサラリーマンからすると少しだけ高いうえに、

一人前に彼女までいるものだから、周りからも安心されているのが現状だ。


しかし珍太郎の心にはいつも暗い穴が空いていて、

大好きな酒を飲んでいても、絵を描いていてもその穴が埋まる事はないのだ。


珍太郎が業務用エレベーターを知ったのは、

彼の管理している業者が高いフロアにあり、重い荷物を運ぶ際に、こちらを使用したからだ。


この日も珍太郎は業者を管理するふりをして、このエレベーターに乗る。

長時間サボるためには、人が多く、込み合う時間がベストと言えたからだ。

スマートフォンを片手に、興味のある記事をいくつか読む。

できることなら、隙間時間にでもロードしておくのがはかどる。

「イングヴェイ・マルムスティーン ギターを破壊する。」

「仲村みう、よがりイキ」「新宿立ち飲み酒場を往く。」


珍太郎は数年間のサボリーマン生活により、好きなジャンルの知識は学者並みであった。


特に趣味のロック鑑賞、AVの事、今夜の飲み場所については詳しく、

普段は飲まなければろくにしゃべれない性分であるくせに、

これらの事であれば、堰を切ったように語りだすのであった。


珍太郎の仕事は内駐の制作業者の管理で、基本的に何かをやらかさなければ怒られる事もない。

さらに、適当に離席していても特に何も言われない、サボり職場であった。

同僚も目が死んでいて、珍太郎よりも酷いのであると、デスクでずっとスマホゲームをやっていたり、

睡眠をとってる初老の者までいる始末だ。

珍太郎は最低限のモラルでそこまではタガが外れていないとも言えるが、

彼自身、湯で蛙のように死んでいくのは御免だ、何かしなければならないという強い気持ちがありながら、

酒浸りの毎日に忙殺され、具体的な何かを始められずにいたのだ。


かといって仕事にやる気も見いだせないのであった。


しかしとある事をきっかけに珍太郎は再生の道を歩むことになるのだ、

運命を変える出会いと、珍太郎自身の決意によって。

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