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アイス
如何にも体に悪そうな、人工的な甘さ。
ひやりと舌を冷やして、とろりと蕩ける。
甘い甘い、甘ったるいとも呼べるような、砂糖の味。
べき。
変な音を立てて、アイスの棒が折れた。
「……ちっ、またハズレかよ」
溜息ついて、ゴミ箱に向かって棒を投げる。
ゴミ箱のふちに当たって、棒は、地面に落ちた。
「おいおいおいおい! ちゃんと捨てろよ! ったく、お前はいーかげんだなぁ!」
なんか喚いている奴がいる。
「なんだ、オッサン」
「オッサンって酷くない?! まだ25も行ってないんだけど、俺?!」
「知るかジジイ」
「俺、お前と同い年だよねぇ?!」
はぁ、と溜息つく。
「仕方ねぇ、柑橘系のアイス食べたいから、奢られてやるよ」
「え待って、どの辺が仕方ないなの? 俺、お前にアイス奢るよー、とか言ってないんだけど」
「奢ってやるよって顔してるじゃねーか」
「どういう顔?!」
てか、それって顔で伝わるもんなのかよ、と喚く。
結局奢ってくれるくせして。
「お前って、甘いよな」
「ま、彼女に優しい彼氏ですから?」
「うっぜ」