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殺人
理由も無く泣きたい時が、ある。
それは、大体夜だったりする。
カーテンを閉めた部屋の中の
電気を全部消して。
それこそ家中の、
電気という灯りを消して。
真っ暗になった、その部屋で
小さくうずくまって、
小さな小さな子どものように
嗚咽を漏らして、泣きたくなる。
腕や足や手の甲に
やっと滑った涙は、
意外とあったかくて
生きているのだと実感する。
そのことに救われる人も居るだろう。
でも、私はそのことに絶望する。
ああそうか。
生きてるから、こんなに辛いんだ。
それなら、
死んでしまおう。
とか、何度も何度も思うけど
勇気の無い私には、それは決して、出来ないから。
だから、……。
ねぇ、おまわりさん。
殺人罪で、
私を逮捕してください。
どうして、捕まえてくれないのですか。
私は、人を殺したんですよ。
人間を1人、殺したんですよ。
なぜ、罰してくれないのですか。
あまりにも不条理な法律は、私を殺人犯だと、認めてくれない。
だから、私は今日も、生き続けます。
だから、そのために、
私は私を殺めたのです。