京太と実美子
ずっとupしたかった作品です。
楽しんで頂けたらいいなと思います。
「ぅえぇ?!結婚ー?!」
佐藤京太は叫んでいた。
だんだんと年末ムードになってきた近頃。
突然、大親友の智光から大事な話がある、と連絡があり二人でよく行くファミレスで急遽待ち合わせたのがさっき。
智光に目を離すなと言われている、(一応?)彼女の実美子も連れて。
「サトちゃん!声大きいよ。しーっ!」
「あ、悪いっ。…ミッチーがっ、ホントにっ、結婚したのか?」
「うん。書類上ね。式とかはまだする予定ないんだけど」
「おめでとう…」
京太はまだ実感がわかないが自然と口が動いていた。
「ありがとう」
智光は少し赤くなって、微笑む。
「その…親友のサトちゃんだけには話しておきたいと思って。でも…今は内緒にしててほしいんだ」
「…どうして?」
「あのね、相手の人、年上なんだ。まだ僕の力で生活できてるわけじゃないし…。相手の人も僕がまだ学生だから、会社に言いにくいみたいで、内緒にしてるんだ」
「そうか…」
「…おめでとう」
京太の隣で静かに話を聞いていた実美子がワンテンポ遅れて言った。
「実美子、テンポずれてるぞ」
「ごめん、頭が働いてないの」
「あぁ…、そうだった。おまえ徹夜して寝てなかったな」
実美子は、うんうん、と頷く。
「そっか、だから今日は静かなんだね」
智光は実美子に笑いかける。
すると実美子はそわそわしてうつ向く。
「そっかぁ…、あの女子に大人気のミッチーがこんなに早く。いや、人気だからこそ早かったのか?」
「もう、そんなことないよ」
「いや、これを知ったら大学の女子がどれだけ泣くやら…」
京太はいつものように少々オーバーに、手元にあったお手拭きで涙を拭う女子を自らやってみせる。
「大げさだなぁ」
「いやいや!ミッチーの人気をなめてもらっちゃ困る!そりゃ、凄いんだから…。そのおかげで、俺はミッチー狙いの女友達が多いんだから…」
後半はボソッと智光に聞こえないように呟くと、隣で実美子が、うんうん、とゆっくり頷く。
「ん?何がスゴいの?」
「いや、色々思い出してただけ!気にするな。あはは…っ。な、なあ、俺もその年上の奥さんにあってみたいな」
「あ、ミッチー見たことあるよ?」
「え?」
「ほら、実美子ちゃんのクセをサトちゃんに通報したときだよ」
「ん?いや、あの時の事は怒りで記憶があんまりないんだよ」
京太がちらりと隣を見ると、実美子がビクッと身体を震わせる。
「ふふ、そっか。じゃあ、今度家に遊びに来てよ。…と、言っても元は奥さんの部屋だったんだけど。智光は楽しそうに笑う」
「うお、マジでか、じゃそっちの都合に合わせるからよろしく!」
「うん、わかった」
「実美子ちゃんも一緒に来てね」
「え?いいの?」
実美子は驚いて顔を上げる。
「うん。なんかサトちゃん達は二人でセットって感じなんだよね」
「そ、そうか…?」