序
プロローグ
1998年 5月
車窓から外の風景を眺めていると、高層ビルの代わりに青く茂る山たちが次々目の前を通り抜けていく。脳裏をよぎったのは数日前、父親と僕の会話だった。
『海外へ転勤?!』僕は突然告げられたその言葉によって驚きを隠せないでいた。『そうなんだよ、急に決まってね、俺も驚いているんだ』『ちょっと待て!父さんが転勤したら、僕はどうなるんだよ?』『そう、そこだよ!俺も悩んだんだが、お前を連れて行くわけにも行かないし、かと言ってお前を一人放って行くのも母さんになんて言われるか』『きっと父さんのことあの世で責め続けるんだろうな』『そういう事いわないの!!安心しろ、もう手は打ってある』『父さん、そのドヤ顔やめてくれないか、すごく気持ち悪い』『えぇ~!?』
「はあ・・・、だからって、まさか田舎の実家へ帰れと言われるなんて。」夢にも思わなかった。幼いころ父さんに連れられ、母さんの実家へ何度か帰ったことはある。しかし、そこは文字通り何もない村だった。電気すら通らないそんなところへ行っても、納得できないのだ。だが父さんの話によると最近は開拓が進んで、少しマシになったという事らしい。
「その話も本当かどうか」そんなことをもし父の前で言えば、間違いなく泣く。まあ嘘泣きだけど、前から面倒くさい父親だが、一番面倒なのは泣くフリをするとき、いや一番面倒なのは自殺するフリのときかな。ようは寂しくて誰かにかまってほしいのだ、ほんとうに生き汚い人だと僕は思う。(まあ、あんな人でも僕の父さんなんだけどね)
空港から2時間、電車に乗って40分、そしてバスに乗って片道1時間。途中乗り換えもして、ようやく目的地に到着した。村の入り口で僕の叔母さんが待っているはずだ。どうやらまだ来ていないらしい、仕方ない少し待つか。「ん?」僕は荷物を地面に置いて、どこか座れるところがないか探していると、入り口付近に人が立っていた。(誰だろう、女の子みたいだけど、結構小柄だ。)それにしても、いつからそこにいたのだろう。けれど、そんなの僕にとってはどうでもいい事だ。少女のことを気にも留めず僕は彼女のそばを通り、その横の岩の上に腰を下ろした。一応挨拶はした方がいいだろうと思い「こんにちわ」とだけ言った。
少女は僕の方を一瞬だけ見て、村の中へ入ってしまった。「変なやつ」僕はそうつぶやいた。
はじめまして秋というものです。
いやあ、なんと言いましょうか、プロローグでファンタジー要素がゼロというこの現状(笑)。この作品はもともと日常系にしようと思い書いた作品なので、バトルとかは出てきませんよ!強いて言うなら少し謎が出るくらいです。あらすじでも申し上げたはずですが、この作品はもともと『無の魔女』とのコラボなので少しですがファンタジー要素は出てきます、なのでどうか!どうか見捨てないでくださいおねがいします!!とはいってもファンタジーが出てくるのは物語の後半なので(遅いわ!)辛抱強くよんだ方がいいと思います。
色々言ってきましたが、楽しんでいただけるなら幸いです。これからもめげずに頑張っていきたいのでよろしくお願いします