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学園祭二日目・後編

『皆様、お待たせしましたっ!これより、告白大会本戦を開始します。それぞれのブロックで優勝すると、好きな女の子への告白権、ペアの遊園地招待状をプレゼント!』


生徒会長・唄川音色のアナウンスが響くと同時に、割れんばかりの歓声が会場を走る

涼悟はそれを、うんざりとした表情で聞いていた


何だかんだで難なく予選を突破した涼悟――集まった男子生徒の様子で何故呼ばれたかが分かった――は、本戦に臨むべく、控え室で剣の手入れをしていた


「これは、面倒なことになったな…」


そう呟きながら部屋を見渡す

控え室の入口には、火刀美斬ブロックと書かれた札が示す通り、美斬を狙っている男子生徒達がひしめきあっていた

ハンパじゃないむさ苦しさである

因みに、控え室は他にもあり、それぞれに違う札が下がっている


音色のアナウンスはまだ続いていたらしく、会場に声が響いている


『それでは、最後にもう一度ルールを確認します。試合は、決闘方式で行います。負けた方は潔く退場しましょう。優勝した生徒に、告白権及びペアの遊園地招待状をプレゼントします。女子生徒は、この場での告白拒否権はありません』


「んなッ !?」


涼悟は、音色の説明に驚愕した

もし自分が負けたら……想像するだけで寒気がする


『優勝商品である招待状を使ってデートしたあと、改めて告白に答えてください。それでは、第一回戦を開始します!まずは――』


「……絶対に勝つ」


涼悟は静かに闘志を燃やし、控え室を後にした




『まずは、水無月癒亜さんのブロックから開始します!おお~戦いももはや終盤に差し掛かってますね。今回はゲストとして、癒亜さん本人を呼んでいます』


『あ、あわわ…』


音色がにこやかに司会を務めている隣で、癒亜はしどろもどろになっていた

さもありなん。クラスの手伝いをしていたら、突然連れてこられたのだ


―――ッドォンッ!!!!


『おおっ!優勝者が決まりました!では、どうぞ前に!』


轟音と共に、優勝者が決まった

優勝した男子生徒は、喜びの余り、雄叫びをあげている

癒亜は、少し悲しげな表情で壇上に立った

何故なら、翔兵がいないからだ

彼は今頃クラスの手伝いに勤しんでいるだろう

癒亜は、涙を堪えながら男子生徒の言葉を待った


「あ、あの。俺、実は前から――」


しかし、その言葉が続く事はなかった

何故なら、目の前から癒亜が消えたからだ


「悪いな。こいつは、俺の女なんだ」


視界の先には、ジャージ姿の翔兵が癒亜をお姫さま抱っこしていた

男子生徒は、突然の事に反応出来ずにいた


「そんじゃ、俺はこれで」


翔兵はそう言うと、《Dエネルギー》を全身に纏い、会場を去って行った

残された男子生徒は、遅れて事態に気づきその場に崩れ落ちた

哀れ…




『こちらは、流霖華さんのブロックです!』


『うふ。怪我には気を付けて下さいね?』


音色の隣で、霖華はにこにこと試合を見ていた

もとより、大和以外の告白は断るつもりなので特に何も思っていなかった

しかも、どういう風の吹き回しか大和も参戦していた


―――キィン、ガキッ…キンッ!

―――ガッガガッ!……ドンッ!!!!


「…まだやるか?」


「ま、参った…」


『おおっ !? 勝負あり!』


負けた男子生徒の降参の声と共に立ち上がったのは


「大和さんっ!」


嵐堂大和だった


『この二人はパートナー同士だったんですね!それでは!嵐堂君、愛の告白をどうぞ!』


音色の言葉に、二人はしつらえてあった台に上がった

大和は、霖華の手を握り膝まずき


「…霖華、俺は君が好きだ。俺と付き合ってくれ…」


その瞬間、霖華は笑顔になり、会場は盛大な拍手に包まれた




『さて!本日最後の戦いですね!一番参加生徒の多かった、火刀美斬さんのブロックです!』


『あ、あはは…』


音色の言葉に、美斬は力なく笑った

人数が多く、戦いはまだまだおわりそうにない


「ねーさん…多すぎない?」


「これでも、予選で絞ったんだよ?みきりん、モッテモテだね!」


音色のちゃちゃに、美斬は苦笑いするしかなかった

正直、全く嬉しくない

それに、涼悟も参加しているらしいので、彼が怪我しないか心配だった


「大丈夫かな…」


「涼悟君?」


美斬はこくりと頷いた

音色は小さく溜め息を吐くと、美斬の頭を優しく撫でた


「大丈夫。彼は強いんでしょう?それに、あなたの騎士様なんだから、信用してあげなさいっ!」




一方、涼悟は順調に勝ち進み(全力で相手を潰しにかかった)決勝戦の舞台に立っていた


「最後か…」


「そうだよ、鬼龍涼悟君」


涼悟の決勝戦のあなたのとして表れたのは、長身て細身の男だった

制服から察するに、同じ学年らしい


「僕は、伊集院彬。涼悟君、美斬さんは僕が戴こう」


「お前に美斬はやらねーよ!」


涼悟の言葉と同時に、戦闘が開始された


挿絵(By みてみん)


―――ガッ、キィン!

―――ボッ!ドガッ、ガンッ!


相性が悪い、と涼悟は思った

不運なことに、彬は水属性の龍使いだった

その上、妙に避けるのが上手いので、大剣使いの涼悟は攻めてあぐねていた


「ハッハッハ!そんなものかね、涼悟君!このままでは、美斬さんは僕のものだ!」


「ハッ!寝言は寝て言え!」


―――ゴッ!!!!


涼悟は巨大な炎玉を出し、回し蹴りと共に彬を壁に叩きつけた

ふきとばされた彬も、咄嗟に展開した水壁で致命傷は逃れた


「カハッ!な、なんて《Dエネルギー》の量だ…」


そう言いながら顔を上げると同時に、首に剣を突きつけられた


「勝負あったな?」


「フ、参ったよ…」


『勝負あり――― !!』


彬が負けを認めると、音色が声高に涼悟の勝利を告げた




「ほらね?大丈夫だったでしょ?みきりんの前だもん、負ける訳ないじゃない!」


音色はいたずらっぽく笑いながら、美斬を壇上に連れた

美斬は頬を真っ赤にして、音色の後に続いた


『それでは、愛の告白をどうぞ!』


音色がニヤニヤしながら促すと、涼悟は美斬の左手を優しく握った

その様子を、会場は固唾を飲んで見守っている


「美斬、愛してる。…俺と、結婚してくれ」


涼悟はそう言うと、左手の薬指にシンプルな銀色の指輪をはめた


「……!!!!」


美斬は、この場で返事が出来ない事をもどかしく思いながら、少しでも気持ちが伝わる様に、涼悟の手を堅く握った

その瞳からは、静かに涙が流れた


『な、なんと!愛のプロポーズ !! 前代未聞です!ああ、もう!この場で返事をしちゃいましょう!』


音色は興奮しながら返事を促し、会場はもうすでに祝福の拍手が鳴っている

美斬は小さく深呼吸をし、涼悟の瞳を見つめ


「私も…私も、涼を愛してます…!」


告白の返事に、涼悟は笑顔で美斬を抱き締めた


会場には、いつまでも祝福の言葉と拍手が響いた…




~おまけ~


『プロポーズの後はやっぱり!誓いのキスでしょう!』


『ええっ !?』


音色の宣言に、二人は驚きの声をあげた

観客からはすでに、催促の声が出ている


「ど、どうするの…?」


美斬が不安気な表情で聞くと、涼悟はニヤリと笑った


「…お前が俺の婚約者だって事、見せつけないとな…?」


「え !? ちょ…?んっ !?」


「ん……ちゅっ」


美斬が顔を真っ赤にさせて抗議の声を出すと、涼悟は美斬の頬に手を当てて、優しく唇を奪った


すると、会場は一気に盛り上がったが、同時に涼悟に負けた男子生徒は、阿鼻叫喚と化した

頑張れ、男子生徒よ

君たちにも、いつか春が……たぶん来る!


「んっ…ふぁ……ぷはっ!」


「…ん」


誓いのキスにしては少々、いや大分長いキスが終わると、美斬は恥ずかしさのあまり気絶した

負けた男子生徒達は、悶絶した

涼悟は美斬をお姫さま抱っこし、勝ち誇った表情でそれを見ていた



続く…








今回は久々にラブラブさせてみました

そして、プロポーズ!!

涼悟がなぜあんな短時間で指輪を用意できたかは突っ込まないでほしい!

あえて言うなら、仕様です。としか言えない



さて、リクエストをとりたいと思います

何かって?

この学園祭編が終わったら、『龍騎士学園物語外伝』を書こうかなって思ってるんです

そこで、この作品を読んでくださってる方々におそれ多くもリクエストをとろうかと

どんなリクエストでもかまいません!

私の文才が追いつけば…

もし、リクエストがある方は、感想かメッセージにどうぞ!

それでは、また次回!

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