学園祭二日目・前編
『皆々様、おはようございます !! 本日も晴天、実に喜ばしいことです !! さて、今日のメインイベントの告白大会ですが、午前9時からの予定となっています。場所は体育館で行いますが、込み合うことが予想されますので、早めの場所とりをおすすめします。さらに―――……』
朝っぱらから元気な唄川音色の声を聞きながら、涼悟は混乱していた
――なんで俺が告白大会にエントリーされてるんだ…?
早朝、涼悟は日課である剣の鍛練、瞑想を終えてシャワーを浴びていた
台所では美斬が朝食を用意しているらしく、何かを焼いている音と微かに鼻歌が聞こえる
「今日は何もやることは無いな…。美斬とブラブラ回るか」
と独り言を呟いていると、来客を告げるチャイムが鳴った
急いで体の水気を切り――炎牙の炎で蒸発させた――ズボンを履いて出ると、そこには生徒会長である唄川音色が立っていた
「おはよー!って、朝からセクシーな格好してるね…。あ、もしかしてみきりんと…」
「朝からなに言ってるんですか、生徒会長」
朝から何やらおかしなことを言い出しそうな音色を制して、とりあえず中に案内した
部屋に入ると、美斬が料理をテーブルに並べているところだった
「お客さんー?って、ねーさん!おっはよー!」
「みきりん!おっはよう!今日も朝から可愛いねえ!」
美斬と音色は、目が合った瞬間に互いに向かってタックルし、朝の挨拶をしながら抱き合った
涼悟はそれを呆れた表情で眺める
しばらくして、二人が離れると席について朝食を食べ始めた
「それで、生徒会長はどういったご用向きで?」
「んんっと、今日は涼悟君に用があって来たの」
音色は付け合わせのレタスをパリパリと咀嚼しながら話す
「涼に用?」
美斬の疑問の言葉に音色はにまりと笑って、懐から一枚の紙を取り出して涼悟に突きつけた
曰く
本日午前9時より、告白大会予選開催いたす
出場者の鬼龍涼悟氏は、10分前に闘技場にて準備されたし
「……は……?」
涼悟は絶句した
出場申請した覚えは全く無かったのに、いつの間にか出場することが決まっているからだ
美斬はその紙が見えていないので首を傾げている
「どうしたの?」
「いや、俺なんかこ―――フガ」
美斬の疑問に涼悟が答えようとすると、音色が慌てて口を塞いだ
「そ、それは秘密っ!」
「えー」
美斬が可愛らしく口を尖らせる
音色はそれを見て、可愛いっ!と叫んで、また抱きつく
涼悟はその光景をブラックコーヒー片手に、呆れた表情で眺めていた
「マジかよ……」
涼悟の呟きは、早朝の青空に吸い込まれていった
続く…
はい、二日目に入りました
今回は短めでしたね…
次回、告白大会予選&本戦!
涼悟の命運や如何にw