夏祭り・後編
涼悟達一行は、出店のスタート地点にいた
「それでは、各自楽しんで来てくれ。」
『はい。』
涼悟は美斬と、拓斗は紗紀と、冷路は明菜・寒菜と、出店に向かい歩き出した
ちなみに、龍達は留守番をしている
『お土産ください!』
…覚えているのは冷路ぐらいだろう
拓斗視点
俺達は今、射的の店の前にいる
「ん~~~…、ここだっ!」
パンッ
「ぅあ、すかした !! おじさん、もう一回!」
という流れを、もう20回は繰り返している
どうも欲しい景品があるらしいのだが、なかなか当てられないでいる…
あ、また外した
「ったく、貸せ。どれだ?」
「え?あ、えっと…、あの右端のぬいぐるみ…。」
「ああ、あれか。」
紗紀が欲しい景品は、どうやら白いうさぎのぬいぐるみらしい
そのぬいぐるみの頭部に照準を合わせ、引き金を引く
タンッ!
『おめでとう。ほらよ。』
打ち落としたぬいぐるみを出店のおじさんが俺に渡した
「ほら、やるよ。」
「え?いいの?」
「いいも何も、欲しいんだろ?紗紀のために取ったんだからやるよ。」
「え、あ、ありがとう!///」
紗紀はぬいぐるみを受けとると、笑顔で俺に礼を言い、俺の左腕に抱きついてきた
「お、おいっ !? ///」
「ねぇ、次はどこ行く?」
「へ?あ、あ~…。腹へったから、たこ焼き屋に行こうぜ。」
「おっけ♪」
こうして、俺達はまた歩き出した
紗紀の胸が柔らかいなどとは思っていない
断じてな
明菜視点
私達は、型抜き屋さんの前にいます
最初は寒菜がやっていたんですが…、どういうわけか冷路さんもやりはじめて…
「やあああぁぁぁ !!!!」
「ふ、寒菜。そんなものか?」
「お父さんには負けないもん!」
「はっはっは。ならば越えてみろ !! この父を !!」
「はぁ…。」
型抜き屋さんで何をやっているんですか、あなた達は…
「寒菜、冷路さん。型抜き屋さんが困っているから止めてください。」
「お母さん、もうちょっと !!」
「頼む !!」
「だめです。」
二人は『そんなぁ~。』とか言ってるけど、甘やかすつもりはないわ
あんまり長くいたら出入り禁止になってしまいますし
「ほら、違うお店にいきましょう?」
『はあ~い。』
涼悟視点
俺達は今、疲れたので近くにあったベンチに座っている
店という店をすべてまわり、色んな物を買った
おかげで、財布が悲鳴をあげている
「うーん、お祭りって楽しいね !!」
「そりゃ良かった。」
弾けんばかりの笑顔で話す美斬の右手にはたこ焼き、左手には金魚すくいで取った金魚、ヨーヨー、たこ焼きが刺さったつまようじ、頭には何だかよくわからんお面をつけている
「涼も食べる?」
「あいにく、両手がふさがってるんでね。」
そう、俺の両手には美斬が射的で取った景品やらおみくじでもらった商品やら龍達のお土産で一杯だ
「あ、ごめん。…じゃあ、食べさせてあげるよ。」
「へ?」
「ほら、あ~ん。」
「あ、あ~ん(パク、モグモグ)」
「どう?美味しいでしょ!」
「うん、うまいな。」
うまいし、嬉しいのだが…
まさかこんなところで『あ~ん』をやってもらえるとは思わなかった
「もう一個いる?」
「じゃあ、もらおうかな。」
「じゃ、あ~ん。」
「ん、(パクッ、ムグムグ)」
はぁ、何かいつものたこ焼きよりも何倍もうまく感じる…
「ね、涼。ありがとね。」
「ん?どうした?」
「私をここに連れて来てくれて。すっごく楽しかった♪」
「…俺も、美斬とここに帰ってこれて良かったよ。」
「また、来たいね。」
「ああ、また来よう。二人で。」
「うん。」
俺達は微笑みあった
『おお~い、そろそろ帰るよ~ !!!!』
『早く早く~ !!』
しばらくすると、遠くから父さん達が俺達を呼ぶ声が聞こえてきた
「じゃ、行こっか。」
「だな。」
俺達はベンチから立ち上がり、皆のところに歩き出した
おまけ
『美斬様…、覚えていらっしゃるでしょうか…。』
『どうでしょうかね…。』
『寒菜ちゃんには、期待するだけムダですね。』
続く…
夏祭り編終了です
今回はカップル別で描写しました
もうちょっと甘くする予定だったんですけどね~
まあ、置いといて
次回で夏休み編は終了です
東京に帰ります
そして…、学園祭編に突入します!
まあ、その前に何話かはさみますが
次回もお楽しみに !!