出生
「だって私は…人間じゃないから…。」
そう美斬は告げた
涼悟は驚きのあまり、絶句している
「だから私は、涼の気持ちを受けとる資格はないの…。」
その言葉で我にかえった涼悟は美斬に聞いた
「ちょ、ちょっと待て。…人間じゃないってどういうことだ…?」
「そのまんまの意味だよ。厳密には、私は人間と言える存在じゃないの。」
そして美斬は語り始めた。
自らの出生と過去について…
美斬の出生を語るには美斬の母《火刀翠》の話をしなければならない
美斬が生まれる少し前、翠は火刀家の当主だった
なぜ夫がいないのか、なぜ女性なのに当主になれたか
それは彼女の能力に起因していた…
翠は生まれつき心を読む能力があった
相手と話をしたり、目を見ると心が見えてしまうのだ
この能力のおかげで《魔物》との戦いも有利に戦うことが出来た
しかし、その能力のせいで、翠は人と接するのが苦手だった
そのため、いくら結婚を申し込まれたり、お見合いをしても相手は自分ではなく火刀家の当主という地位を求めていることがわかり、半ば男性不振になっていた
そんな時に出会ったのが、自我を持つ人型の《魔物》、《斬宗》だった
翠は彼の心の美しさに恋に落ちてしまった
やがて二人は愛しあい、子を成した
それが美斬だった…
続く…
はい、今回は美斬の出生でした
まあ、ありていに言えば《魔物》とのハーフですね…
次回は美斬の過去です
どうぞお楽しみに