第7夜 メール
あの悪夢が始まって十日間。
私は毎日、自分の叫び声で飛び起きた。
今日は土曜日だというのに私は夜中の2時に飛び起きた。
重たい体を無理矢理起こして顔を洗いにいく。
「うわっ・・・」
鏡にうつっている自分の顔を見て、思わず声をもらす。
「ひどい顔・・・」
私はそうつぶやくと冷たい水を顔にかけて自分の部屋に戻る。
ベットに寝そべるとつい悪夢のことを考えてしまう。
なぜ、ジョセフがあの赤髪の女の人を殺す夢ばかり見るのだろうか。
そして、ふと思う。
この十日間、私は一度もジョセフを学校で見ていない。
病気なのか?それとも何か違う理由?
あれこれ考えていると携帯の音がなって私はビクッとする。
「こんな夜に・・。」
私は少し怒りながら言うと携帯を見る。
--こんな夜にごめん。寝付けなくて。まだ、起きてる? ルー--
「ルーか・・」
この一週間、何かの病気にかかって休んでいた。
見舞いに行くこともすらできないほどひどかったらしい。
--大丈夫。私も寝れなくて。それより、体大丈夫? マディー--
私は返信するとまた、あの悪夢のことを考える。
また、体が震える。
何かが心の中で警告しているかにように。
ピロン。
私はまた携帯を見る。
--この一週間は本当に地獄だったよ。体中の骨がおれたかのようにね・・。でも、今はすっかり元気になったよ。なんか気分も最高だしね!! ルー--
私はメールを読んでいるうちに違和感を感じた。
それは、ルーのメールの打ち方が今までと違う。
前なら、文章がなりたっていなかったり、とても短かいメールばかりだった。
--そっか。よかった。月曜日にはこれそう? マディー--
私は違和感を感じながら返信をして頭をかしげる。
ルーはこの一週間で変わった。
メールだけでは確信できないけど前みたいな感じではなかった。
すると、また携帯がなって私は急いで見る。
--うん。月曜日には行けるよ!
マディーのかわいい顔を見るのがまちきれないよ。ルー--
私の顔はなぜか一気にあつくなる。
やっぱりいつものルーじゃない。
”かわいい”なんて一度も言われたことないのに突然言うなんて。
本当にルーなのか疑ってしまう。
どうすればいいかわからない私は適当に返信して携帯をおく。
私は悪夢のことを忘れて胸がドキドキしているのを落ち着かせる。
すると、また携帯がなる。
私は仕方なく携帯を開ける。
--また、月曜日!いい夢見てね! ルー--
私は何かが心の中で動いたような気がした。