第3夜 屈辱的な行動
私は保健室でぐっすり眠った。こんなにも、体が軽く感じるのはとても久しぶりだった。
いつもなら時間割は覚えているけど今は少し頭がもうろうとして思い出せない。
だから、時計を見ながら時間割を見る。
「・・え?」
私はつい声をもらす。次の授業は最後の体育だ。
「どれだけ眠っていたの・・」
私はため息をつきながら更衣室に急ぐ。
ボーッとしながら服を着替えると体育館に行く。運動は得意な方だが集団で動くため、体育の授業は苦手だ。はしっこの方に行って私は今日の出来事を思い出す。
あの時、教科書を渡してくれた人の声と悪夢の中で話しかけられた人の声が同じだと気づく。どちらも、魅力的で滑らかな声だ。
そして、とても強い頭痛と頭の中で響くあらゆる声。私は一体なぜそうなったか考える。
「マディソン!!」
私はあまりにも大きな声にビクッとする。
「何をボーッとしているんだ!!とっとと、動け!!」
私は体育の女先生に怒鳴られると周りの人が全員、準備運動をしている事に気づく。
「す、すいません。あ、あの名前はマディーと呼んでください。」
「毎回うるさいわねぇ!!口じゃなくて体動かせ!!」
また、怒鳴られると私は急いで準備運動をする。
周りの女子はいくつかのグループに別れて準備運動をする。でも、私は人と関わるのが苦手だからいつも一人だ。
「今からバスケットボールをする!!まず、フリースローラインから5回投げて入った回数と同じ数字の旗の所に行きなさい。それから、チーム分けをする!」
私はこの先生はどちらかというと苦手だ。声は大きくて耳鳴りがするし、何かと私にあれこれちょっかいを出す。
「一人一個ボールをもって始めなさい!」
先生はそういうと笛をならす。また、耳鳴りが・・・。
女子の多くはバスケットボールをやったことがない。そして、今までの授業でもやらなかった。だから、ゴールを入れるのはとても難しいだろう。
私の番になると私はみんなと同じく適当にボールを投げる。
入った。
私はため息をつく。いつもそうだった。
どんなに適当にやっても出来てしまう。そして、いつものように周りの女子が私を睨んでいることに気づく。
案の定、すべてゴールを決めたのは私だけだった。先生は人数を数えると私の方に顔を向ける。
「マディソン、すごいわね。ダンクでもできるんじゃない?」
私は俯く。また始まった。先生のちょっかいが始まった・・・。
「出来ません。」
私は静かにつぶやくと先生は言う。
「マディソンがダンクをするまで授業は終わらせないわ。」
すると、あちこちからブーイングがおこる。同時に私に向けられる痛い視線に気づく。
私はため息をすると先生からボールをとってスリーポイントラインの所にたつ。男子までこっちを見てる。私は息を吐くと走り出す。
「すごぉーーー!!!!」
男子の歓声が体育館中に響く。女子からはあきれた表情。そして、先生は舌打ち。こんなに遠くからすべてが鮮明に聞こえて、見れる。
「では、授業は終わりよ。」
先生はそういうと女子は体育館から出ていき、ちょうど男子も出て行く。
私はいつものように怒りを感じその場に立ち尽くす。