第2夜 悪夢
まわり一面に霧で、何も見えない。
そんな中、人影がゆっくりと近づいてきている。優雅な動きで思わず見とれる。すると、目の前でその影は立ち止まる。
私はゆっくりと顔を見上げる。
「あ・・・」
私は思わず声をもらす。なぜなら、ものすごく整った顔つきで紫色の瞳をした男の子が立っていたから。でも、なぜかどこかせつなげな顔だった。
「マディー、君はここにいてはいけない。」
魅力的で滑らかな口調。どこか冷たくそして暖かい声。私はなぜか聞き覚えがあった。
「・・だれ?」
私は静かに言うと彼は突然邪悪な笑い声をあげる。
「君を殺しに来たのさ。」
彼は私に近づく。
「や、やめて!!!」
私はしゃがみこむ。
「・・・ディー」
すると突然、女性の声がきこえる。
「マディー!!」
次は大きな声。そこで私は気づいて飛び起きる。周りを見ようと目を開けるが、ひどいめまいをおこして頭を抑える。
「ちょっと、大丈夫??」
私は驚きながら声のする方へ向く。
「・・どこ・・!?」
私はかすれ声で言うと目の前にいる白衣をきた女性に言われる。
「保健室よ。あなた、突然意識を失ったそうね。そこを一人の生徒が運んでくれたのよ」
もうろうとした意識の中、思い出そうとする。
「病院にいった方がいいかしら?」
女性がそういうと私はフラフラしながら立ち上がる。
「そ、それだけはいやです!!」
精一杯声を振り絞ると女性はフラフラしている私を支える。
「わかったわ。だけど、今は寝なさい。まだ、顔が真っ青よ。」
私はしぶしぶとベッドに入って寝転がる。
「さっきは叫んでたけど悪い夢でもみたの??」
優しい口調で女性は聞いてくると、私は弱々しくうなずく。
「何も怖がらずに眠りなさい。私が近くにいるから。」
女性がそういうと私はまたうなずいて目を閉じる。