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ヴォイドの呼び声Ⅰ 虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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壁の中に作られた通路を進み街の外へ出る。

においを辿るジャスミンと共に街から離れ、周囲の景色は木が生い茂り始めた。

前を歩くジャスミンが右前足を上げたまま止まった

「待って。すんすん。アンデッドが一体こっちに近付いて来てるわ」

前足を地面に下ろすジャスミン。

「心配ない。味方だ」

モートが合流する。

においを嗅ぐジャスミン。

「なんだか嗅いだことのあるにおいね」

引き続きにおいを辿っていくジャスミン。


ジャスミンのディアーナから受けた恩恵は役に立つな。ジャスミンとは今後も友好関係を築いておいた方が良いかもしれない。

だいぶ街から離れたな。

蒸気の影響か、街の近辺には魔物が少ない。

におい辿っていくジャスミンが振り向く。

「見えたわ。あそこからよ」

ジャスミンが前足で崖下を差す。


崖下は放棄された採石場のようだった。

採石場は地面が深く削られ、生者が落下すれば死が免れないほどの高さはある。

段差のように中心部分へと向かって削られている切り立った岩。

「どうする? ここまでにする? それとも降りてみる?」

モートは現状ついて来れないか。

「そうだな。一応降りてみるか」

「有翼は使える?」

ジャスミンが変性の有翼を自身に放ち、白い翼を背中に生やす。

「さあ、どうだか」力を集中させ有翼を自らに放つ。久しい感覚だ。背中に新たな骨と、翼の感覚を感じる「はぁ」少し痛みがあったが成功した。

「随分と変わった翼ね」

「アンデッドだからかもな。さあ降りるよう。魔物がいるかもしれん。静かに行こう」

「ついていくわ」

ジャスミンと共に端にある岩の隙間へと滑空し降りる。地面につくギリギリで翼を羽ばたき、静かに降り立つ。

生者を意識し視界に浮かび上がらせる。

「この方角に種族が多数群がっているのが見える」浮かび上がった生者の姿を見る「恐らく洞窟だろう。手前のは見張りだな。ここで間違いないだろう」

「わお、本当に目が緑に光るのね。アンデッドが魔法を使わず、生き物を視界に浮かび上がらせられるって本当だったのね。私の暗視も獲物が白く浮かび上がれば便利なのに」

あれは烙印の魔法か。においと何の関係があるのか。

「気付かれる前に帰るぞジャスミン。思ったより数が多い」

「偵察って緊迫して楽しいけど、なんか消化不良」

「行きたいのなら止めんが。お前達は獲物を得るまでがセットだからな」

「言うじゃない」


飛び立ち、ジャスミンと共に採石場から去る。

そして街の近くまで戻った。

「結構楽しかったわね。だいぶ時間が掛かっちゃったけど。においを嗅ぎ過ぎて疲れちゃった」

「助かった。サムが待ちくたびれているんじゃないか?」

「ンフ、サムは待つのも楽しいって言うぐらいよ。それでもあんまり待たせたら可哀想よね。悪い猫じゃないし。じゃあまたね」

右前足を振って別れのあいさつをするジャスミン。

「ああ、気を付けてな」

ジャスミンは急いで街へ走って行った。


気配を感じる。

姿と魔力は見事に消しているが、体から溢れる生命力が露出している。

木の影に隠れている人物の元へ向かう。


モートを背後に回り込ませる。


近付くと。

ワイバーンの赤み掛かった革鎧に身を包んだドワーフの男が、変性魔法を解き、姿を現した。

「不可視化と精霊ベールだけじゃ、アンデッドのあんたは出し抜けないみたいだな」

「ガル!」

「おいっ!?」

回り込んでいたモートがドワーフの男に吠える。

「この化け物を遠ざけてくれ!」

男が焦った様子で訴えかけてくる。

「ガルルルルル」

口を閉じ、低い唸り声を鳴らしているモート。

「ここで何をしている?」

「それより先にこいつを何とかしてくれ」

「言えば見逃そう」

「で、言った後、あんたのペットの餌にされるんだろ。お決まりだ」

「まあ腹は空いているかもな」

「別にあんたとお喋りに来たわけじゃない。これを渡すよう、モークに頼まれただけだ」男が鎧の内側にしまっていた丸めた羊皮紙と手紙を取り出す「ほらよ」

「ガルルル」

「早くしてくれ」

羊皮紙と手紙に不審な点がないか見た後、モートに下がるよう指示を出す。

「まったく…」

男は腕を組みこちらを見てくる。

「他に伝言はあったか?」

「いいや、特には。ああ、もう行っていいか?」

モートを気にしている男。

「いいや、まだだ。合言葉を言え」

「なに? 合言葉だと? そんなことモークは一言も言ってなかったぞ」

「ガルッ!」

「よせ!」

男は腰に差していた短剣二本を素早く構える。

だがモートは飛びかかるフリだけをしていた。

「もう行っていいぞ。牢の見張りをしっかりな」

「ああくそっ! 始めから俺を知ってたな。弄びやがって」

「用心に越した事はない」

「笑えるな。じゃあなクソ野郎」

男は再び2つの変性魔法を唱え、姿を消し、街の方へ去っていった。

「お前も冗談が好きなんだな」

「グルル」

「ハッハッ」

いつの時代の魂だろうか。

ドワーフの男が持ってきたモークの手紙をじっくり読む。


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