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晩蝉

作者: 翠泉


 いつか聞いた晩蝉の鳴き声

 少しづつ遠くなっていく

 過ぎて行く時間は容赦がなくて

 私のことを一息に飲み込む


 あの町で青々と茂っていた雑木が

 あなたのことを攫っていく

 始めから存在していなかったかのように

 跡形も残らないように


 いつか見た日暮れの泣き顔

 少しずつ遠くなっていく

 考え方や感じ方は違うけれど

 それでも夕焼けは平等に飲み込む


 紅く染まる夕日が

 あなたを大切にし

 あなたに寄り添い

 あなたと進んでいく


 冷たい炭酸飲料が

 細胞に染み渡るような速さで

 薄暗くなった町を

 橙色に染めていく


 二度目はないという覚悟を持って

 まだ消化しきれていない愛を探している

 あの晩蝉が命を焦がしていくように

 あなたもあの日鳴いていた


 掠れて届きづらい鳴き声でも

 短い蝋燭に火を灯している

 ゆっくりと夏は終わっていく

 あなたのことを思い出しています


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― 新着の感想 ―
[良い点] 夕暮れに響きわたる晩蝉の鳴き声が、心まで沁みわたるようで、紅く染まりゆく夕陽や街並みとともに、切なくも美しいです。 命を焦がしながら、声を枯らしながら、今を懸命に生きて。一日が終わっても…
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