第3話 3Dマップで散策
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第3話を投稿します。
まだまだいろいろと不慣れな点もあり
読みにくい文章になっているかもしれませんが何卒ご容赦ください。
評価、コメント、ブックマーク、感想など
是非よろしくお願いします。
時田香洋
ギューーン
相変わらずものすごいスピードで高速道路を移動するAI。
(うーん、そろそろ下に降りるか)
(上ばかり走っていても服を見つける事は出来ないしね)
そう思うとAIは首都高と思われる高速道路帯から出口へと向かう。
高速道路を降りると、やはり廃虚となった町が広がる。
比較的、破壊の少ないエリアを慎重に進む。
(やっぱりなかなか見当たらないなぁ)
仕方なく、AIは探索をストップし、サイネットに接続する。
「よし、ここでも接続は出来そうだね」
AIは人類が生きていた時代のアパレルショップの情報を検索した。
眼前に広がったホログラムの情報を器用に指で操作する。
シュッ シュッ
「うーん、このG〇とかユ〇クロっていうショップが結構な数ありそうだね」
(そういえば私ってGPSみたいな機能ってついてないのかなぁ)
(地図情報があればわざわざ手探りで探す手間がものすごく省けるじゃん)
AIは頭の中で地図のようなものを思い浮かべる。
(まずは地球の全体像から……)
すると、目の前に3Dホログラムで生成された地球儀が出現した。
「おおー、いいねー!」
サイネットと衛星からのGPS情報を元に現在の地球の姿が映し出された。
AIはその地球儀をくるくると回転させながら、かつての地球と大陸のあり様を思い出す。
(確かここが日本で……?)
「あれ、となりは韓国のはずだよね?」
(あれれ、おかしい! 絶対におかしいよこれは!! バグか??)
(そもそも日本の形もすごく変だよ、これ……)
(日本列島って確か縦長に大陸が続いていたはずなのに、本州っぽい大陸がすでに7~8つほどの大陸に分断されてるじゃん!!)
(他の列島も九州や四国、北海道、沖縄、全部……)
地図を拡大してよく見ると、ところどころにクレーターのような跡がたくさん見えることに気が付いた。
「ええ~~~~、うそでしょ!!」
「……信じられないって」
「こ、これも、例の大爆発のせいで、こんなんなっちゃったって、言うの?」
震える声でAIが呟く。
「そんなぁぁぁぁーー!!」
その凄まじい爆発の規模にAIは驚愕した。
そして膝から崩れ落ちるように地面にしゃがみ込み両手で顔を覆う。
どうやら世界の大陸の半分以上が戦争の最後に起きた大爆発によって吹き飛んでしまっているようだった。
(そりゃ、人がいなくなる訳だよ)
(おそらく爆発に直接巻き込まれなかった人たちも、そのあとの二次、三次災害で生き残るのが大変だったのだろう)
(そもそも死のウィルスが蔓延していたのもあったよね)
(結局ウィルスはどうなったんだろう、爆発と一緒にウィルスも地球上から消え去っていてくれたら良いんだけど……)
(そもそも今更だけど、ウィルスを克服するための手段がサイボーグ化って!! ワクチンとかでもっとどうにかできなかったの?)
(まぁそのおかげで今の私があるからあまり否定することも出来ないんだけど……)
「それにしても一体どれくらいのハーフロイドが自爆したらこんな事になるって訳?」
「日本だけで考えても数万体以上のハーフロイドがいないとこれだけの惨状にはならないよね?」
そんな事が容易に想像できるくらいに破壊の規模が大きかった。
(ってことは、復活してからこれまで私が見てきた町や道路は比較的に爆破の衝撃から免れていた地域だったのかも……)
(それでも痛々しいほどにはボロボロだったけど)
ハーフロイド一体の自爆による影響は少なく見積もっても半径300~500mに及んでいた。
単純計算しても東京ドームの半径がおよそ120mなので、ハーフロイド一体につき東京ドーム三~四個分の範囲を破壊した計算となる。
(時間を戻せるならなんとしても爆発を防ぎたい、なんでこんな事になってしまったんだろう)
自身もハーフロイドであった記憶を思い出し、激しく後悔の念に苛まれるAI。
またしても悲しい感情につつまれ涙が零れ落ちる。
(私ってなんでこんなに涙もろいのかしら)
(復活する前は涙なんて流したことあったかしら)
「それよりも、今は私の目的を果たさないと!」
AIはアパレルショップを見つけ出すという目的を思い出し、3D地球儀の操作に戻った。
「えーっと、まずは現在地を捕捉したいけど、出来るかなぁ……」
指を上手く使って日本の地図を拡大していく。
すると3Dの球体だった地球儀が3Dの平面体へと切替わる。
まるで上空から町を見下ろす形のような地図に変形した。
適当なサイズまで拡大した後に現在地の捕捉が開始され、地図上のある一か所に赤丸印が明滅した。
「なるほど、ここが現在地ってわけね!」
AIが現在立っているのはかつての東京にある新宿と呼ばれる場所だった。
「で、この近くに目的のショップがあるかどうかだけど……」
AIは先ほどサイネットで検索してヒットしたアパレルショップの情報と現在表示している3Dマップを結びつけて地図上に該当箇所を表示するようにイメージした。
すると、先ほど明滅していた現在地を知らせる赤丸印が消え、代わりにアパレルショップがあったと思われる箇所にフラグのようなものが立っていく。
「OK、この印の場所がショップってことね」
(思ったよりも沢山あるじゃん!)
「じゃあ早速向かってみますか」
(これならきっと私の服を見つけられるでしょ)
AIは地図情報を消して再びバイク姿に変身すると、現在地から最も近いと思われるショップに直行した。
ブイー―――ン
瓦礫になっていて上手く進めない道を搔い潜りながら、目的の場所を目指す。
■■■■■■
地図を出して場所を確認しながら、進むこと10分。
ドッドッドッドッド……
AIは目的の場所付近に到着した。
止まった後もエンジン音のような音が体に響いている。
体を元に戻しながら、体がとても熱くなっていたことに気付くが、間もなくしてすぐに冷めていった。
(えーっと、この辺りだよね?)
周辺を歩いてしばらく捜索すると……。
「!!!!!」
(うん、あったよ……)
「……あったけどさぁ」
果たしてAIが見つけたショップとは一体?
―――――
第3話 完
もうしばらくAI一人の時間が続きます。
しばしお付き合いくださいませ。