イベント途中
現実に戻ってくる。
ラグジュアリーなホテルは、天井も彫りが入り、美しい。涼しいし、快適だし、ずっといたいくらいである。
「……」
ゴソゴソと起き出し、時計を確認。
メールでシドに、早い夕飯にすると伝えて、所在無く待っているレテューを見る。
さすがに、何かマズイと感じたのか、困り顔だ。
普段は飄々と、泰然としているので、珍しくて笑ってしまう。
「プール行ってから、メシ行こ」
「……分かった」
今日は朝からゲーム三昧だ。ちょっと運動すべきだろう。
少しだけ泳いで、リュウキは端末内で、確認作業をした。
まず、グループ全員に付与されたポイント数……。ゼロが多い。丸が八個ある。
「におく……?」
討伐数は20億。
暮れてきた空を見上げた。
気を奮って、確認を続ける。ボス討伐のドロップアイテム箱がひとつ。開けなければ、売却可能。なんと、虹の武器か装備確約。
経験値。1600万ほど。職業レベルがカンストしてしまった。
その他大量のギルと徳。知らないスキルまで増えた。
怖々と、ゲームサイトを覗けば……。
ボスモンスターの討伐プレイヤーの名前が、イベント情報にテカテカと光っている。もちろん、キャラネームは非公開に設定されているので、表示は職業名のみ。
薬師。
またお前か、誰だ一体、と、世界チャットが流れっ放しである。最近マンネリ化して過疎ってきてたので、いつになく賑わっている。
また空を見上げた。だいぶ暗くなってきた。そろそろお腹も空いてきた。
まだ泳いでいたレテューに声を掛け、夕食をいただきにレストランへ移動した。
「さっきの謎薬、残ってる?」
「いや……」
あの場で作ってビンにまとめたので、余りはない。
運動したら落ち着いたのか、いつもの友人だ。
「なんの薬だったんだろ。不思議」
「……そうだな」
「何を混ぜてたっけ?」
「……回復薬をつくる草と、実と、魚のウロコだったか?」
魚はイベントのモンスターだ。ちょっと混ぜてみたかったのだ。悪気はない。
「あ、そか。イベントモンスターだからか」
「?」
リュウキは何かに気付いたのか、レテューに断ってからシドにメールした。
「……多分、イベント中だけつく、特殊効果だな」
「……ふむ?」
「情報公開していい? 隠すと逆にマズイ」
「ああ」
炎上しているチャット欄が笑えない。リュウキはシドに、匿名で情報公開を頼んだ。
あとは、検証が好きなプロ達が勝手に調べてくれる。
まあ、イベントが盛り上がって、良いはずだ。
ゲームの話はそこまでにして、しばらく別の話をした。
……そう。忘れていた。
今回は、アニーとメメが居たのだ。
部屋に戻ってから、メールが届いてる事に気付いたのだった。




