血花(けっか)
もう何回考えたかわからない
否定されるたびに心臓の鼓動はデクレシェンドする
心臓が弱々しく吐き出す言葉は
掌から花を咲かすことはない
赤いユリが咲いていた
白いバラが散っていった
桃色の桜を咲かしたのは誰だった
記憶に彼らの顔はない
同じ花を咲かすのは窓の向こう
電子の扉のその先で、彼らはいつも水を恵む
違う花を咲かすのは私の隣
鉄の扉のその先で、彼らはいつも毒をやる
もう何回考えたかわからない
肯定されるたびに心臓の鼓動はクレシェンドする
心臓から猛々しく漏れる言葉は
指の先から水を流した
白い百合が散った
赤いバラは咲かない
桃色の桜なんてどこにもない
全て虹の作った幻想にかざされて消えていく
居心地のいいこの場所は
電子の宮殿のこの場所は
誰にも邪魔されることなく
鉄の扉で遮られた
世界は狭い
世界は広い
蛙は果たして幸せか
井戸の中から見上げた七色は
外からこぼされる毒に比べればとても綺麗だった
電子の宮殿だけが私の友達
私の騎士
私の心の壁
井戸の外は毒だらけ
桜の葉っぱが花を枯らした
もう何回考えたかわからない
何かを言われるたびに心臓がはぜる
時に激しく
時に弱々しく
水も毒もないまぜにして
私の花を枯らしていく
心臓から吐き出される言葉は、もう枯れた