表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/39

5 食事



 食事をしながら話そうと言われましたが、私はおいしすぎる食事に夢中になってしまい、恐らくそれを察した彼がまずは食べてからということで、話は後回しになりました。


 それにしても、どれもおいしいです。

 魔物園では、食べたことのない味、食材、出来立てほやほや!作り立てはおいしいですね!お肉も、こんなに柔らかいものは初めてです!

 スープですよね、これ?私がいつも飲んでいるスープは、臭くて冷たくて具がほとんど入っていませんが、このスープは具沢山の真っ白くてドロッとしたスープです。


 パンですよね、これ。とっても柔らかいです!それに、あったかい。


「・・・どうした?」

「え?」

「これを使え。」


 白い布を渡されました。何でしょうか?

 すると、私は自分の視界が悪くなっていることに気づきました。あれ、これは泣いているのでしょうか?痛いとか、辛いということはありませんので、うれし涙というやつですね。


「これで、拭いていいのですか?」

「あぁ。そうやって使うものだ。」


 布を受け取って、涙を拭き取ります。


「何をやっている。貸してみろ。」

「え?」


 ごしごしと涙を拭いていると、布を彼に奪われました。そして、彼が優しく布を当てて涙を布で吸い取ります。


「こすると、肌が傷つく。目だって、そうだ。」

「も、申し訳ございません。」

「・・・謝らなくていい。こういう時は、礼を言え。」

「・・・ありがとうございます。」


 私は彼に笑顔を向けてお礼を言いました。お礼を言う時は、笑顔でと教えられたので。

 ですが、彼は笑顔を見て顔を背けました。また、間違えてしまったのですか?


「あの・・・」

「気恥しかっただけだ。さて、泣き止んだのなら食事を再開しよう。」

「はい!」


 私はおいしい食事を思い出して、再びおいしいパンをほおばりました。




「おいしかったか?」

「はい!」

「それなら良かった。何が好きなのかわからなかったからいろいろ用意させたが、どれもおいしそうに食べていたな。好き嫌いはないのか?」

「はい!どれも今まで食べたことがないものでしたが、今までの食事と比べようがないほどおいしかったです!」

「・・・そうか。」


 お腹がいっぱいになったら、眠くなってきました。ですが、話をしなければならないので、頑張って目を開けます。


「眠そうだな。」

「バレてしまいましたか。」

「今日は、もう寝るといい。部屋は用意した。」


 彼がテーブルの上に置いてあるベルを鳴らすと、メイドが入ってきました。


「おやすみ、リリ。」

「・・・おやすみなさい。」


 そういえば、彼の名前はなんでしたっけ?

 自己紹介をしてもらったのに、もう一度聞くというのは・・・やめておきましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=89365467&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ