31 雪見会
貸しドレスの話を聞いた日、私はルーヴィス先生に協力してもらえるように頼みこみました。
「別に、嘘をついて欲しいとは頼みません。ありのまま、見たことを話していただきたいと言っているのです。」
「そのために、わざわざ目撃しに行く・・・つまり、君の担任を貶めるために、行動するということだね。」
「貶めるだなんて・・・貶められるのは、私ですよ?だって、担任の先生が私を貶めようとしなければ、ルーヴィス先生は何も目撃しないのですから。」
「それはそうだね・・・おそらく、見ようと思えば何かしら目撃すると思うけど。」
「信用がないんですね。」
私は、ルーヴィス先生に、このあと私の担任を見張って頂きたいと頼みました。私と話した後、担任は何かしら動くと思ったのです。
私が貸しドレスを借りたいと話せば、捨てる予定のドレスをどこからか引っ張り出してきて、私に貸すと思ったのです。
実際は、演劇部の衣装を持ってきたのですが・・・どちらでも同じですね。
何にしても、そのドレスを担任が持っていたという証言が欲しかったのです。私がどこからか調達してきた・・・なんて話になっては面倒ですからね。
盗んだ・・・なんてことになるのも面倒ですが、借りたドレスはドレス用のロッカーに入れる予定なので、酷いありさまになるのは簡単に想像できます。
盗みだけでなく、破壊・・・器物破損?そんな罪状がつけられてはたまりません。
だからと言って、兄がプレゼントしてくれたドレスを、どうこうされたくありません。ロッカーに入れれば、酷いありさまになるでしょう。よくて水浸し、悪くて・・・着ることもできない程に裂かれたり。
ロッカーにドレスがなければ、おそらく雪見会の会場で何かしらのことが起こるでしょう。よくて、ワインをかけられる・・・悪くてドレスを引っ張られて、破かれる。
ちなみに、この世界では12歳から飲酒が認められています。私の世界では、16歳からでしたが・・・世界が違うと、常識が全く違うのですね。
話がそれました。
それで、私がしたかったのは、兄から送られたドレスを守ることだったのです。それがまさか、こんなことになるとは思いませんでしたね。
想像しましたか?
担任が自分が顧問を務める演劇部の舞台衣装を持ち出し、いじめられている生徒に貸ドレスだと言って、貸し出すなんて。その衣装がどうなるか、想像できなかったのでしょうか?
しかも、その衣装が無残な姿で発見されたというのに、嬉々として私を貶めるために使うなど・・・演劇部に何か恨みでもあるのでしょうか?
担任には、無残な姿になった衣装を赤くはらした目で抱きしめる、演劇部員の姿は見えないのでしょうね、きっと。
ま、私にはどうでもいいことですので、かまいませんが。私は、私と私の大切な人だけが、幸せならそれでいいですから。
それにしても、この担任はこれからどうなるのでしょうね?
自分が受け持つクラスの生徒も、自分が顧問を務める演劇部の生徒も、担任を白い目で見ています。中には、鋭い目で睨む者も。
騒動もいったん収束することになって、雪見会が開かれました。
話す人は、グレットに兄、ヴィヴィなどいつものメンバーで楽しくさせていただきました。それから、おいしい食事を堪能していると、何度も授業で聞いた音楽が流れ始めます。
ダンスの練習よくやりましたね、そして今日は本番ですか。
練習通りに、兄が私を誘って、私はそれを受けます。
グレットは、もちろん婚約者のマーレイフィ様を誘っていました。
すべてが、問題なく練習通り・・・無事に雪見会は終わりました。
兄から贈られた私のドレスは、誰にも害されることなく、美しい姿のままを保つことができました。なので、私は満足です。
たとえ、グレットと踊れなかったとしても。
グレットとマーレイフィ様がお似合いだと、方々から賛辞を送られていたとしても・・・




