23 登場
今日は、ダンスの授業です!
クラスメイトと共に、ダンスホールに行きます。彼はクラスメイトを引き連れる立場なので、先頭に立っていますので私もその隣を歩きました。ペアですから!
ちなみに、兄は最後尾を歩いています。教室の施錠担当だったので仕方ありませんね。
ダンスホールに着くと、クラスメイト達はペアの者と会話を交わし、曲が流れるのを待ちました。
「リリ、緊張しているの?」
「少しだけ・・・他の人の目があるところで踊るのは、初めてですから。」
「そうだね。でも、俺がしっかりリードするし、失敗したってカバーするから・・・どうか楽しんでね。」
「ありがとうございます!」
そういえば、ダンスを教えてもらっている時に言っていましたね。
気難しくかたい踊りをするより、楽しんで踊ったほうが魅力的だって。肩の力を抜いて踊ったほうが、踊りやすいですしね。
彼と笑い合っていると、先生がダンスホールに現れて彼の名を呼びました。
予定にはなかったことなのでしょう。彼は軽く驚いた様子で先生の方を見て、固まりました。先生の方を見ると、隣に綺麗な女子生徒が立っていて、彼に微笑みかけていました。
あぁ、やっとお会いできましたね。
「マーレイフィ嬢!?」
彼に呼ばれて、彼の婚約者であるマーレイフィ様は笑みを深めます。
先生のもとに行った彼と先生の会話を聞きました。離れているので人間にはできない芸当でしょうが、私は魔物なので問題なく聞き取れます。
「先生、どうかしましたか?マーレイフィ嬢も。」
「実は、先ほどスタードリアのクラスがダンスの授業をしていたのだが、体調がすぐれなかったらしく受けられなかったそうだ。なので、俺のクラスの授業に参加することになった。」
「そうですか。事情は分かりましたが・・・無理にダンスの授業に参加する必要もないのでは?マーレイフィ嬢は貴族ですし、ダンスに不安があるわけでもないでしょう。」
まっとうな意見ですね。ダンスの授業は、ほぼ平民のために行われるようなものです。わざわざ貴族の人が無理してまで出る必要はありません。
体調がすぐれないというのなら、早退すべきでしょうに。
「スタードリアは真面目でな、他のクラスメイトが受けた授業を自分だけ免除されるわけにはいかないと言ってな・・・学校側としても意欲のある生徒のため、授業を受けさせたいと考えている。」
「わかりました。」
「お前のペアには悪いが、婚約者の務めは果たせよ。」
「はい。」
先生が去った後、彼はマーレイフィ様に待っていて欲しいことを伝え、私のもとにかけて戻ってきました。
「ごめんね、リリ・・・」
「仕方がないです。ただ、私のペアはどうしましょう。みんなペアは決まっているようですし。」
「もちろん、俺がなるに決まっているだろ、マイシスター!」
声高に背後から声をかけてきたのは、確認するまでもありません、兄です。
「お兄ちゃん、でもお兄ちゃんのペアの人が・・・」
「あいつは、先ほど体調不良だと言って保健室に行った。」
ずいぶんと体調不良になる人が多いようですね。マーレイフィ様といい、兄のペアといい。風邪が流行っているのでしょうか?
「すまないな、ガゼル。後で礼をする。」
「俺のペアにもよろしくな。」
「もちろんだ。」
どうやら、ペアの人は仮病のようですね。私のために兄のペアを下りてくれたのでしょう、私も後でお礼に伺わなければ。
「リリちゃんの分まで俺がお礼を言うから、絶対あいつには会うなよ。」
「勝手に人の思考を読まないでください、お兄ちゃん。」
「兄とはそういうものだ。」
彼がマーレイフィ様の元へ戻る背中を見送りながら、私は兄と軽い会話をして気を紛らわせました。
だって、周囲がうるさくて。
「これで、田舎者も自分の立場が分かったでしょうね。」
「理解したのなら、もうグレット様に付きまとわないでいただきたいわ。」
「・・・殺す。」
「お兄ちゃん、やめてください。」
「俺は何も言ってないぞ、マイシスター!今日もかわいいな~こんなかわいい妹をいじめるなんて・・・汚ねェメス豚だな。」
「・・・」
どうやらここは、兄にとって養豚場だったようですね。
先ほどからブヒブヒとうるさいので、さっさと肉塊にしていただきたいものです。




