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移動要塞自宅~勇者に選ばれたおウチと旅をすることになりました~  作者: ぷっつぷ
18けんめ 海系スキルを解放しまくる話
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第4話 ぶくぶくぶく

 条件解放2日目。

 すでに条件4をクリアした私たちは、残りの条件のクリアを急ぐ。


 と言っても、スミカさんとルフナのマモノ退治が激しすぎたらしい。

 2日目の午前中、つまり私が寝ている間に、条件2の『海系のマモノを1000体撃破する』はクリアされていた。

 そして私が午後1時の朝食を終える頃、条件1の『海の上を500キロ以上移動する』もクリアしちゃう。


「やったわ! 条件1と条件2、クリアしたわよ!」


「マモノ1000体撃破、思ったより難しい条件ではなかったな」


「500キロ以上移動も楽しかったし、優しい条件で良かったわね!」


「いえ! それはお二人がすごすぎたんです! 条件は決して優しくなかったです!」


 まさにシェフィーのツッコミの通り。

 最強の自宅勇者と世界で2番目に強いナイトさんが揃ったら、もう敵なしなだけなんだ。


 とはいえ、楽に条件をクリアするに越したことはない。

 さっさと残りの条件3もクリアしちゃおう。


「最後の条件はスキル『万能ソナー』の解放だね」


 そそくさとおウチスキルを起動し、目的のスキルを探す。

 目的のスキルを探す間、私は画面の端に視線を向けた。


「今のスキルポイントは——ほえ!? 10万ポイント!?」


「海系のマモノ、獲得ポイントが高めだったのよ」


「へ〜、ポイント稼ぎするなら海ってことだね」


 有力情報獲得。

 これからスキルポイントを貯めるときは、できる限り海に行くようにしよう。


 10万ポイントに驚いていると、目的のスキルをようやく発見した。


「あった。もうちょっとスキル探しやすいように、スキル表とかあればいいのに……」


「ユラユラ〜! 早くスキル解放しよ〜!」


「うん、行くよ」


 勿体ぶる必要もない。

 私は丸ボタンを押して、スキル『万能ソナー』を解放した。

 これで条件3もクリア。


 直後、示し合わせたようにスマホが震える。


「女神様のメールだ。どれどれ」


 内容の想像はつくけれど、一応はメールの内容に目を通す。


『テレレテッテテー。またまたスミカとユラに朗報じゃ。というか、今回はきちんとスキルツリー解放を目指したようじゃな。お望み通り、『海底までツリー』が解放されたぞ』


 本当にお望み通りのメールだった。

 ちなみに、メールにはもう少し先がある。


『しかし困ったの。お主ら、ワシの想像以上に簡単にスキルツリーを解放しおった。こうなると、難易度調整パッチを当てる必要があるかもしれん。ま、アップデートの日程が決まったら連絡するから、お主らはいつも通りに頑張るのじゃ。では達者でな』


 いや、利用者はユーザーインターフェースのアップデートを待っているんだけど。

 なんて、今はどうでもいいこと。


 ついに私たちは『海底までツリー』を解放したんだ。

 今度は『海底までツリー』に並ぶスキルを解放していかないと。


「えっと、これが『海底までツリー』のスキルだね。なんか、いろいろあるよ」


「……スキルポイントは、たくさん余ってる……」


「海に潜るのに必要なスキルは、ほとんど解放できそうですね」


「どのスキルを解放するかはユラちゃんにお任せするわ」


「じゃあ——」


 とりあえずスキルツリーを確認するところから。


 想像通り、今までとは毛色の違うスキルがいっぱいだ。

 水中は陸上や海上とは別世界だから、当然だよね。


 一通りのスキルを確認した私は、10万ポイントを惜しげもなく利用した。


 数分して、私はみんなに伝える。


「できた。まず海に潜るのに必須のスキル『イエ・サブマリン』を解放したよ。あとは『水中速度アップ・レベル3』と『カジキ気分』で水中を高速で移動できるようにした。それに『海の果てまでミエール』で視界確保、『耐水圧・レベル5』で深くまで潜れるようにもした」


「これなら、海中でも不自由なく移動できそうだな」


「ついでにポイントが余ったんで、『水中射撃』と『先進魚雷』『インターネット回線強化・レベル6』『アンペア強化・レベル3』『魚料理の煙無効』『水族館っぽい照明』とかも解放しておいた」


「おお〜! おウチ、どんどん快適になるね〜!」


 まったくだよ。

 海中に潜っても快適な家って、もう移動要塞以上の何かな気がする。


 スキル解放を終えると、ルリが静かにつぶやいた。


「……ジュウの勇者は、スキルがたくさん、ある……」


「イの勇者にはスキルとかないの?」


「……ある、けど、こんなに多種多様なスキルは、ない……きっと、家の方が拡張性、あるから、だと思う……」


「へ〜」


 なんだかんだ、私は他の勇者のことをよく知らない。

 きっとルリも私と同じなんだろう。

 考えるまでもなく、シキネだって私たちと同じはずだ。


——そろそろ他の勇者と交流した方が、いいのかな?


 悩む私の隣で、スミカさんは楽しそうに言った。


「せっかくだし、試しに潜ってみましょう!」


「さんせ〜!」 


「予行演習は大事ですからね」 


 いよいよ自宅が海に潜るときがやってきた。

 スミカさんは椅子に座り、スキルの発動に集中する。


 しばらくすると、自宅は徐々に海の中に潜りはじめた。

 海面が自分たちの身長よりも上になっていくのを眺めながら、私とシェフィーは落ち着かない。


「なんか緊張する……」


「はい……わたしも水中に潜るのははじめてなので、ドキドキします」


 そして、いつの間に手を繋いでいる私たち。


 数十秒もすれば、自宅は完全に海の中にいた。

 光が揺れ、魚が泳ぐ景色を前に、ミィアのテンションが上がる。


「おお〜! 一面真っ青だ〜!」


 けれども、さらに深く潜れば、太陽の光はほとんど届かず、窓の外は暗くなるばかり。

 ここでスミカさんが次のスキルを発動する。


「スキル『海の果てまでミエール』を使うわよ! それ!」


 直後、真っ暗だった景色が一気に明るくなり、広大な空間が現れた。

 上を見れば海面が、下を見ればゴツゴツとした海底が、遠くを見れば果てまで続く海中が。

 そこにあるはずの水はほとんど見えず、魚たちは宙を浮いているかのよう。


「おお! 隠れた絶景だよ!」


「はわぁ〜、キレイです! まるで別世界に来たみたいです!」


「すごいすごい! お空を飛んでるみた〜い!」


「水中を空飛ぶように舞うミィア! まさに海の神だ!」


 私たちは窓に張り付いたまま、海の中の景色に夢中になっていた。

 そんな私たちの背後で、ルリとまおーちゃんがお話ししている。


「……まおーちゃん、海中、すごいね……」


「うん!」


 まおーちゃんは赤い瞳をキラキラさせて、海の中の景色を楽しんでいた。

 この世界の魔王様は、ホントにかわいい魔王様だね。

今回で第18章は終わり、次回からは第19章『海底神殿を攻略する話』がはじまります! どうぞ続きもご覧になってください!

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