課金は正義の味方の武器です。8
――朝だ
今日は、雪乃の住民変更の手続きをしないといけないから、大学は休んである。
役所に行って、書類と昨日の種を提出し終わったら雪乃にこの町を少し案内してあげようかな。
今何時だろう……目覚ましつけ忘れたのか、それともただ単にまだ目覚ましの時間より早く起きたのか。
時計を見ようと右手を伸ばそうとしたら、やけに重い。左手は変な重量はなくふつうに動かせる。
重たい瞼を、頑張って開けて目線を重たい右腕に移してみた。
そこには、昨日の元気さの欠片も見えない日焼けを知らなそうな白い肌の寝顔の天使。
雪乃だ。――寝ている。
起こすか、起こさないかこれは重要な選択だ。
腕が雪乃の頭の下にある。
選択権は二つ――
起こす可能性は0%の選択。
それはこのまま二度寝をする。
だけど目覚ましをかけ忘れたのか、まだ時間来ていないだけか確認できずに、役所にもいけなくなる可能性がある。
そして、もう一つ。
起こす可能性かなり高い選択。腕をどかして目覚ましに手を伸ばす。
もちろん、ゆっくり動かして退かすつもりだけど。
起こす可能性は高い。さぁどうする?俺!
てか、まずなんで俺のベッドで雪乃が寝ている?
昨日の夜、たしか雪乃は眠くなったから寝ると言い始めたから俺は、自分の部屋に来てベッドに潜った。
だけど、その時雪乃はこの部屋にいなかった。
それは雪乃が起きてから聞けばいい事か……
どうしようかと迷っていたら、聞きなれた電子音が俺のスマフォから鳴り響いた。
アラームだ。
かけ忘れたわけではなく、ただ単に早く起きただけだった。
電子音を聞いて、眠そうに目を開き始める我が妹。
「お兄ちゃん…おはよぉう」
雪乃が目を覚ましたら、あとは簡単だ。
腕をどかして、この誰かに見られたら勘違いされそうな場面を解除するのが今朝の任務だ。
腕をどかそうと思ったら雪乃が腕を下から退かされたくないのか腕をしっかりと掴んでくる。
「あと5分!ねむぅいの!」
「じゃあ、せめて雪乃の上にあるスマフォ取らせて?」
「スマフォ?これ?」
眠そうにベッド備え付けの台においてあったスマフォを取っては、ゆっくりとスマフォを見てから渡してくれると思ったら雪乃は、いかにも悪い考えができたような眠そうな目をさらに細めて不適な笑みを浮かべた。
「お兄ちゃんこれが欲しいの?ダメー」
雪乃はそう言えば俺のスマフォを投げたが、幸い部屋に飾ってある黄色い星の形をしたぬいぐるみが受け止めてくれた。多分、衝撃はぬいぐるみが吸収してくれた事を祈る。
「お兄ちゃんは雪乃だけのお兄ちゃんなのぉ。」
寝ぼけてるのか、頬を自分の頭の下にある腕に擦り付けてくる。
しかたない……あれを使おう……
「雪乃?起きないならレモン食べさせるよ?」
「レモンはダメエエ!!起きた!起きたから!レモンは!すっぱいのはだめ!」
雪乃は昔からすっぱいのは大の苦手なのは変わってないみたいだな。