課金は正義の味方の武器です。3
「4年ぶりなのによく気づいたね雪乃」
「お兄ちゃんはわかりやすいからね、アシメのヘアスタイルに私と同じ色の銀色の髪の毛!日本人ではまず同じ人はいないもん」
確かにそれもそうか、フィンランドの血も入ってる為俺と雪乃の顔立ちは少し日本人離れしていて、兄妹両方とも先天性色素欠乏症で色素が弱く、髪の色は銀色だ。
「帰ろうっか我の妹よ」
「なにそのしゃべり方、厨二病まだ治ってないの?うん!帰ろう!新しい家に」
クスクスと笑う妹、兄で俺が言うのもなんだけど最高にかわいい。
「でねーでねーお婆ちゃんがねー好き嫌いはダメだから梅干しもちゃんと食べないとダメっていってたの!ひどくない!?食べれないのに!!」
とある研究所の研究員だった両親は、謎の研究所爆発で12年前に他界している。その為、妹は田舎の祖母と暮らしていた。妹の強い希望によって俺が通っている大学の近くにある中学に転入することになったから今日から一緒に住むことになった。元気に祖母との思い出を話す妹の話を聞きながら自宅へ向かう。
最寄りの駅を降り駅から暫く歩いて人気も住宅も少なってきたらあと少しで家だ。別に人が嫌いでこんな外れの家を借りたわけではなく、たまたま安かったんだ新築だし駅からは遠いけどオートロックまでついてるからセキュリティー面も安心できる。だけど何故か住民は俺を除いて誰もいない。
「かわいいお嬢ちゃんこんばんは、僕の名前はマジシャンだよ、よろしくね。かわいいお嬢ちゃんには、風船をあげよう?それともウサギちゃんがいいのかな?」
突如どこからか響き渡る聞いたことのない青年のような声。
「ゆきはねー、白いうさぎがいい!」
それに答える雪乃。
「それでは、ウサギちゃんをあげよう!」
そう聞こえた途端俺達二人の前に、紫色のマントに紫色のタキシード姿にシルクハットの青年らしき人影、顔は笑顔の絵が描かれているお面をしている為顔は見えない。
「注意!注意!コトダマが近くにいます、今すぐ避難してください。」
二人の携帯から流れる避難警告の電子音。
このマナーモードにしてもこの音が出てしまう、電子音が鳴るって事は近くにいる。
コトダマが――謎の出現と同じタイミングの電子音。
目の前のお面を被ったタキシードの青年、彼がコトダマだ。
「お兄ちゃん、東京のコトダマって人の形をしてるんだね!すごい!すごい!」
「雪乃、隠れて!ここは・・・」
「いいの!お兄ちゃんに見せたいの!雪乃も戦えるようになったんだから!」
雪乃はそう言えば、携帯でアプリを起動する。素早い指の動き。
相手の正体がわからないけれど、見た目的にはどうみてもさっき喫茶店で聞いたマジシャン、なら相手はA-ランクのコトダマ。中学生の雪乃が一人でかなう相手では絶対ない。
魔法でコトダマを討伐する時、指の動きは命取りなる。武器の課金を承認する時にアプリからブラウザーへと変換され、そのブラウザーで承認しないといけない。通信速度が遅かったり承認ボタンを押す指の動きが早ければそれだけ有利になり、遅ければ遅いほど命取りにもなる。俺もいつでも承認できるようにアプリは起動させブラウザーまで来ているけれど、何故だかそれ以上体が動かない。
「お兄ちゃんには、拘束の魔法かけちゃったからそこで見ててね。」
拘束はD-ランクのコトダマ以外は封じれない為、戦闘ではあまりに使われることのない魔法だけれど人間相手には、瞬時に相手を拘束できること今身をもって覚えた。