絶対に離さない 中編
お久しぶりの投稿ですかね
若干いつもより短めですが楽しんでいただけると幸いです
ついに第一章も佳境
ハルの運命はいかに!!
side ハル
「あ~も~・・・」
想像通りにはいかないか、まぁ、知ってたけどねそう言い訳を吐き捨てる
物語の強制力はオレの思っているより強力なようだ
シルの運命を変えれた
きっとこの事実がどこかおれの心の隙間を作ったんだろうか
まあ悪いとこと言えばそうだけじゃないが
突然だが少しクラウンワールズの世界の話をしよう
世界を救う
うん、活字にすれば無味乾燥かつありふれ症候群のなんの特徴もない言葉だ
このゲームはロリコン強盗にもドエム殺人鬼果ては世界を裏で牛耳る童貞裏ボス様ついでにホモ魔王なんでもなれる
正直枕詞はいらなかったかも
まあいい、とにかく好き放題できるのだしかし、しかし世界を救うと言うのを勝手に最終目標にされる
どうやるんだよバーカ!!
そう思ってくれてありがとうちょうどその質問が欲しかった
禁じて過ぎるかもしれないがゲームの最後には何がある?
はい十秒考えてみ
そう正解だエピローグだそこに改心しました☆みたいなのを入れてスゲーいい奴に仕立て上げられる
ここまで読んでこいつ童貞かよ全然今の話し関係ねーじゃねーかぼけ的な感想を抱いていることだろうがお待たせして申し訳ない
では話の続きだいい奴に仕立て上げるにはどうすればいい?
いいことを行うのがまあセオリーである
ではクラウンワールズのような戦いが絶えない世界でわかりやすい良いこととは?
そりゃあ悪者をぶちのめすことだろう
その悪者とはだーーーーれ????
クロス=クロスロード
ゲームの外部コンテンツではあるダンジョンを根城にする悪徳傭兵団の団長だ
純粋な戦力的には一様中盤らへんの能力値ならまあ勝てんこともないと言うそこそこ強い中ボス的な扱いを受けている
正直あいつの戦闘能力はいい、どうでもいいあくまでおまけ
あいつの作る薬の能力は厄介すぎる
一度こいつに関連するクエストで特性の毒薬と睡眠薬ついでに麻痺薬を手に入れたことがある
結果はいかのとおり
毒薬⇒使用前に少し地面に落ちた結果半径1メートルは生命の存在できない腐界もどきに
睡眠薬⇒状態異常体耐性マックスのキャラが睡眠状態にそして・・・
麻痺薬⇒自主規制※
そもそも何でこいつが居るか分かったんだって?
そりゃあ目の前に奴特製のお薬が転がってるからな
「ハル!!」
アリスがこちらに向かって走ってくる
「アリス、先生がどこかに行くとか聞いてないか」
「それよりここは危ないんだよ!!先生も近づいちゃダメって言ってたし・・・」
「そうだな、じゃあ離れるか、それと先生どこかに行くとか聞いてるか」
「え!?うん、確か孤児院見てくるって・・・」
うんそれ死亡フラグだは
嵐の日に男がなオラ田んぼさ見てくるだッぺつって出ていたらねぇそれと同値だは
「ごめん、ちょっと用事ができた一人で帰ってくれ」
「ハル君」
泣きそうな顔で左手を掴まれる、ぎゅっと抱え込むように
「ダメ!!」
「え~っと、大丈夫だよ危ない真似は・・・」
「嘘!!そういって一年前も先生が居なかったら死んでいた怪我してたし絶対に許さない」
「でもな先生が危険なめに会っているんだ」
「いーや!!絶対にダメ!!」
きっとこのまま振り払っても次会う時には少しすねるぐらいで許してくれるんだろう
基本的にアリスは優しいからな
それにアリスが泣いてるのを見て何も感じないわけじゃない
別に嫌いじゃないし・・・嫌いじゃないか
アリスとオレは奇妙な関係と言えば奇妙な関係だ
方や相手を妹と思い、方や弟と思いお互いにお互いを護ろうとする
どちらも相手の事が・・・・まあ嫌いじゃないって感じか
今回は何となく勘がすさまじく危険だと警告している
二度ともう会えないかもしれないなら・・・・
「アリス」
「えって?む、んむ!?」
オレはアリスにキスをした、驚きに目を見開き少しずつ涙が引いていく
「アリスその大好きだ!!」
「な、何突然!!そ、そのう、嬉しいけど急には心の準備が」
「だからオレはアリスの前からいなくなったりしない!!」
「でもハルが」
「アリスはオレの事好きか?」
「え、う、うんもちろん大好きだよ」
「じゃあオレを信じてアリスの為にも絶対に戻ってくるから」
全然理屈がぶっ飛んでるがアリスの笑顔の為にならどうでもいい
「わかったハル君を信じるから絶対に帰ってきてね」
この日のアリスの優しい笑顔をきっとオレは忘れないだろう
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side イグニス城
「あ~やってらんねぇませんね」
黒鳥傭兵団に所属するようになってもうどれくらいになるだろうか
奴隷の母親に盗賊まがい裏ギルドの暗殺者未満そして冒険者未満の父親
中途半端な父親はそうだな最後は殺したかな薬できれいさっぱりと
あいつの楽しみは中途半端なゴミだと自分でも自覚してたんだろう
盲目的なまでに自分より弱いものを虐げてきた
何者にもなれず世界が与えないならオレが世界から奪ってやる
頭の足らんアイツの言葉にしては中々詩的なのかもしれない
5歳の時に母親は死んだ
母親の事か・・・・そうだないつも困ったように笑う人だった
ひょっとしたら本当はもう擦り切れて笑顔なんかじゃ
まあいい、それでも優しく抱きしめてくれる母さんがいや母親が好きだった例えあの男の匂いが染みついていても
まあその日からはぞうだな酷かったんじゃないか?
まあ一人分が二人分になるんだからな言わずもがなって感じだな
オレには才能があった、そう圧倒的な至高のな
なんとなくいつも食べている木の根を磨り潰してみたくなったそして適当にそこら辺のよさげな草を混ぜてみたそれを、何故か安全だとわかったそれを飲むと少しだけ体の痛みが引いた
そこからは早かった一週間くらいでその町で一番の薬を作れるようになった
二週間後にはその薬でモンスターを巣ごと虐殺し三週間後には母親の故郷を焼き払った裏ギルドを皆殺しにシテヤッタ一ヶ月目にゴミを処分した
そのままオレは、おっと言葉遣いが乱れてしまいました私の物語はこれくらいにしましょうか
「さて気分はいかがですかプリンセス?あ~返答はいりませんよもうすぐ受け渡しですからね大人しくしていてください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・かわいそうな人ね」
「いやはやプリンセスアリエス同情してもらえるとはこれは感激ですねはい」
小ばかにしたような態度を崩さない相手に対してもアリエスは表情を一切変えることなく言葉を続ける
「逃げたほうがいいわよ、ここにいたら巻き込まれるもの」
「これはこれは余裕ですね、そうですよね、あなたの入れ込んでる子供のことですか?あの子は不思議な子ですね情報が全く出てこないそうですね・・・・・」
いったん言葉を区切り、わずかに顔をうつむかせながら言葉を押し出す
「まるで・・・・そう、まるであなたを助けるために・・・・・」
その言葉は最後まで伝わることなく空中に溶けて行った
しばらく無言の後、音を発するのをためらうかの用に、普段の道化くさいなりを潜めた表情で首筋をなでる
彼の仲間がもし今の彼の表情を見ればきっとこう語ったのだろうか
「仕事で仲間が亡くなった時の顔だ」
彼の真意は誰にも伝わらない、しかし、怯えるように固く強く握られすぎた血のにじむ掌が彼が本能的に何かに怯えていることを示していた
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side イグニス城 謁見の間
「あーhahhahhhahhhahahahahahahahahahaahahhahahahahh!!!!」
音が響き渡る、その音が狂気を十分に伝えてくれるのだ
構図は単純、玉座に腰掛ける男にその前に縛られた女性それを見守るその他大勢
「やっとだ!!やっと貴様を私のものにできる」
「・・・・・・・・・・」
「怯えるがいい、今から貴様に生まれてきたことを後悔するような地獄を味あわせてやる」
一方的に喚き散らす男に、気丈な表情を浮かべているがやはり体の震えを隠すことができない女性
アリエスは心の中で小さく小さく大切な宝物のように思い出す
「先生は絶対に守るから」
あの子の一言を疑わない、そうハルならきっと・・・・
しかし、状況は変化していく、アリエスを辱めておもちゃにするために集められた周りの男たちがにわかに騒ぎ始める
ボルゴスもそれを察したのか、少しだけ周囲を睥睨しあくまでも自分が一番であることを伝える
「何も怖がることはない貴様は光栄にも私のような高貴な人物の役に立てるのだからな」
そういうと無理やりアリエスを押し倒し体を撫で回す
そのたびに逃げようとするが拘束されていて身動きすることはできない
すでに涙が零れ落ち息も絶え絶えのかやはりアリエスはつぶやく
「ハル」
ドヮオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
天井が不意に崩壊、いや、爆発する
その状況にもさすが歴戦の傭兵というべきかすぐにおのれの武器を手に持ち状況に対応しようとするがすでに遅い
閃光が部屋を駆け巡る
早すぎて感じることすら不可能な物体が食い散らかす
三秒
それが傭兵の半分を壊滅させた時間
その物体は囚われたものの元にたどり着く
アリエスは笑顔を浮かべながら泣き続ける
「遅いよ、バカ!!」
「うん」
「怖かったんだよ本当に・・・」
「うん」
「でも信じてた」
「うん」
「ありがとう・・・・・・・・・」
大好きだよその言葉とともにハルは涙の味を感じた
呆然とする傭兵とは対照的にクロスが動く
残念ながらクロスに次ぐ実力者の副団長はすでにほかの仕事に向かっている
そのことを意識の片隅に体に素早く命令する
毒薬をさん
「初見なら確実に負けてたよ」
銀色の閃光
そこにいたのはその身に釣り合わない大剣を振りぬいた少年の姿だった
遅れて理解するああ切られたんだと
「まあ、今回は一様誰も殺してないしどうでもいいけど、でも、先生を悲しませた分だよ」
意識を失い直前にクロスはその声を聴いた
団長が倒されれば実にもろいもので我先にと外に逃れようとする制止する雇い主の声すら顧みずに
「先生動きずらいから離してください」
「嫌、しばらくは罰としてこうします」
「そう」
小さな少年に頭を撫でられながら涙目の女性
うん、ダメかもしれない
まあ、いっかハルはそう思う
さて突然ですがシンデレラ曲線とは何ですか?
そう、ある偉大な学者が物語について分析した時にたどり着いた境地
横に時間軸を縦に幸せ度を印点をつないだもの
皆さんも知っているかのようにシンデレラ
初めはうだつの上がらない奴隷まがいの生活そうこの時点ではマイナス
のちに魔女の助けにより王子のいる舞踏会へそうこの時点ではプラス
しかし、魔法は十二時に消えて再び奴隷へそうこの時点ではマイナス
ついにフィナーレ、邪悪な者にも妨害されながらも王子とのハッピーエンドこの時点では言うまでもない
うん、こんな感じで物語を分析するのがまあシンデレラ曲線の生みの親の発想ですか
しかし、ここで終わらないのがこの人の偉大なところ
すべての物語がこんな感じか?
あほらしい、そんなわけあらへん!!
なんで関西弁?
とにかくもし仮にそうだとすれば何か?
どんな物語を読むときもあなたは不幸な主人公に対して
「大丈夫、もうすぐ幸せになれるから」
そして今幸せの絶頂にいる主人公に
「おいおい、大丈夫かもうすぐ不幸が訪れるぞ」
そんな風に毎回思うのですか?
違うそんな何の面白味のないものが物語ではない
常にうだつの上がらない日々を送るものもあればひたすら人生の絶頂から下り落ちるものもある
あるいはオレtueeeeeeee!!系小説にありがちなドンドン人生の絶頂に向かうものもある
長々長いけどごめんね、まあ、物語と同じで人生は予測不能だから
え?何が言いたいかってそうだね先に言ってほしかたっよ
「おいおい、大丈夫かもうすぐ不幸が訪れるぞ」
「王様の指示で来てみればまさか生きていたなんて嬉しいよアリエス、いや、愛しの花嫁」
絶望がそこに居た