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第六話 絶対に離さない 前編

まあ、初めは様子見的な感じでね

 side イグニス城


 「あの女はまだ手に入らんのか!!」


 男はそう言うと腕を振るって机の上に置いてあるものを叩き落とした

 部屋の中を見渡せば三人の人間が居た


 「申し訳ありません」


 そう言った男は白色の髪をオールバックにした壮年の男性で格好的にこの家の執事なのだろう


 「それに女も最近は少ないしあの女は思い通りにならんしクソッ!!」


 その言葉と共に執事の男に物を投げつけた男の名前はボルゴスといいこの街を治めている家の長男である

 その瞳は欲望に濁りきった中にギラギラとした何かに対する執着心のような物が見え隠れしていた


 「奴隷の方も最近は品薄でしてその・・・」

 「言い訳など聞きたくないは!!あの女もたかが平民で孤児院の院長かなんかしらんがこの貴族である私の命令に逆らい追って!!」

 「そうですね、しかし誓約をしている相手にどうどうとちょっかいをかけるのは外見があまりよくないので」

 「それにアルルなんたら商会もワシの言うことをきかんし父上からあそこに手を出すなと言われているしアーー!!」


 喚き散らす部屋の主を特に気にした風もなく

 最初から黙っていた男が口を開く


 「まあまあ、そう焦らないで下さいよ旦那様」

 「おう、そうだな貴様がおったは!!」


 フードで顔を隠しているので表情はわからないが笑っていることがわかる


 「僕らは依頼に失敗したことは無いんで安心してください」

 「確かに貴様らの評判はこの私の耳にも届いておるは」

 「えぇ、お望み通りにアリエスという女を貴方様の前にひざまずかせて見せましょう」

 「うむ、高い金を払っているのだしくじるなよ」


 その後フードの男はボルゴスに一礼したといつの間にかその姿を消していた

 執事を下がらせた後一人酒を飲みながらつぶやく


 「まったく不気味なやつだ」


 不気味だと思う反面利用できるなら利用してしまおうとくだらない事を考える

 もう一口酒を口に含みその顔を醜くゆがめながら笑う


 「クックックッ、奴らも黒鳥傭兵団が来るとは思うまい、もうすぐあの女が私の手に入るのだ」


 一人ほの暗い愉悦に身を委ねながらいつまでもその笑い声は響いていた


***********************************************

 

 side ハル

 

 世界は狭量だ

 見る者にそう感じさせる風景が広がっていた

 蒼色と褐色が互いに拒絶し合うかのように世界を二分する

 蒼色は蒼色に褐色は褐色に

 他の存在は一切認めない拒絶感のような物を発している

 蒼色、空はどこまでも青く降ってくる紫外線は生物の存在を許さないがごとく叩きつけるように光で自分より低いものを熱し続ける

 褐色、地面は草木一本生えずにサラサラの砂が自由に世界を舞い踊り遠くから見れば妖精が踊っているかのようだ

 そんな景色の中に異物が一つ紛れ込んでいる

 紺色のフードを深くかぶり俯き目を瞑るその姿は蒼色と褐色の他者には見えないが確かにある境界線を睨みつけているようだ

 本当に世界は狭量だ

 自然でさえ自分の物を抱え込んで他者を拒絶し破壊するのが世界の本質

 こう感じるのはオレの人生観のような物か

 それとも刻一刻と掌に握りしめたものが零れ落ちる時間が近づいてきて狂ったのかも知れない

 少年は一つ身じろぎをするとまた無機物のようにじっとしている

 肩幅に足を開いて前に手を回し左手に武器の鞘を握る右手で柄を握る

 この体制になって既に一時間は経過しているいやひょっとすると三時間は立っているのかもしれない

 ひたすら待ち続ける獲物が掛かるのを待ち続ける

 きた

 感慨は特になく意識をターゲットに集中させる

 三平方の定理で導いた大雑把な距離は約5キロほど

 体長は尻尾まで合わせて20メートルの体高は5メートル程

 空を叩く大きな翼がそいつの威圧感を高めている

 クリスタルワイバーン

 評価としてはぎりぎりSランクのワイバーンの最強種

 特徴はその固すぎる鱗

 機動性をほぼ捨てたことにより手に入れた装甲は上位種のドラゴンでも数えるほどしかその硬度に勝っている者はいない

 また、ブレスは範囲が狭く直線的ではあるがミスリルの鉱床すら焼き尽くすこともできる

 オレはいっきに世界を置いていく

 聴覚に味覚、視覚、嗅覚すべての意識を触覚に収斂する

 感じるのは体と手に持った武器のみ

 既に頭の中では振り切った後

 顎に滴る汗が落ちた瞬間銀閃が駆け抜ける

 トン

 軽い音と共に剣を柄に収める


 「おつかれさん」


 そう言って剣の側面をポンポンと優しく撫でる

 視線を向けた先には土煙が何十メートルも上がっていた

 流石にこの砂漠の中、何時間も突っ立て居たのが堪えたのか歩くのも億劫なので目的の座標にマーカーを設置して転移する

 切り替わった視線の先には真っ二つなった生き物の死骸


 「うん、合格」


 鮮やかすぎる切り口に満足そうに一人ごちる

 存在など初めからしなかったかのように全てを刈り取る必殺の一撃

 奥の手の仕込みは万全

 さて来たるべき運命はどう駆け巡るか

 いつの間にか古い記憶が蘇る

 誰かが言った

 時間のいい所を教えてあげよう必ず過ぎ去ることだ

 時間のわるい所を教えてあげよう必ず来るところだ

 しばしわかるはずのないその言葉を言った人の伝えたいことを考えた後帰宅の途についた


***********************************************


 side アルーシャの街


 その日の一日はいつも通りに粛々と始まった

 少し曇り空の中人々は不吉な物を感じていた

 最近街の子供が急に消えてしまう事件が後を絶たない

 そのせいで子供たちの声は街から消えて犯人探しに街はピリピリした雰囲気をここ数日放っていた

 領主は何をやっているのかそんな疑問の声は上がることは無い

 そもそも期待などしていないのだからあんな人間に


 「ふー」


 大きく伸びをして体の疲れを吹き飛ばす

 一人机に向かいながらここ最近の街の雰囲気について考えていた

 子供が傷つく

 それは何があっても許してはいけないものだっとそう思っているのでここ最近はあまり気持ちのいいものではない

 思えばあの頃、と言っても6年前

 王女として生まれたのだがそんな扱いは一切受けずに母が味方だけの危険な生活

 太陽魔法が使えなかったり母が魔法を得意じゃなかったら多分今まで生きてはこれなかっただろう

 皆から蔑まれ物のように扱われながらも母の笑顔を見るだけでそんなことがどうでも良くなった

 しかし、その母は私を残して逝ってしまったのだ

 私はすぐにこの城、籠からでようと決心してそのまま逃げだした

 しっかり幻想魔法で偽造したので私は死んだことになっている

 そのまま流れるようにこの国を旅した

 母に教えられたように女の一人旅だと気づかれないように気を付けたり身分を保証してもらうために冒険者にもなった

 そんな中私はたくさんの嫌な事を見てきた

 物のように扱われる奴隷や親が居なくって満足に食べることのできない孤児

 あのくらいの時にはいつも母が私を守ってくれていた

 そう思うと私はすぐに行動に移った

 太陽魔法によってたくさん貯めたお金をすべて使って当時もっとも孤児の多い街と知られていたアルーシャの街に来て孤児院を立てた

 その時に一緒に冒険者をやっていたガルクさんやユーリやユーカも賛成してくれて一緒に孤児院を作ることになった

 初めは孤児が居なくなれば困ってしまうような人たちがたくさん嫌がらせをされたけど今では40人もの子供たちが私たちにできた

 今ではもうほとんど孤児はいない

 私達4人はこれでも冒険者としてはかなり一流だったのでその人脈を駆使して各地の信頼できる知り合いに預けたのだ

 今ではたくさんの手紙が届くようになってその手紙を読むのが今の私の楽しみの一つ

 まあ、私はあんまり知人がいなかったけど

 あんまり?

 そんなことを考えながら今回の事態に対して何ができるのかを考える

 一番いいのは領主などの権力者が行動を起こすことかな

 そう考えて一番最初に思いついたのがシルちゃんのこと

 いつのまにかハルが仲良くなってきた女の子で現在ではこの国でというか帝国でも有数の商人だと言ってもいい

 洗濯機や水道にプリンやかまぼこなどの斬新な魔道具に限らず経営者のすぐれた采配によりわずか一年で王国のほぼすべての主要な街に店舗を出すにいたりまた帝国の主要な都市にも出店している

 その商会なら何か協力を得られるのではないか?

 あの商会は利益を無視したような孤児のための救済措置などをしているので確信に似た何かがあった


 「来ましたね」


 そう一言言って後ろの本棚の本を一冊抜いて机の上に置く

 ため息ひとつで気持ちを切り替えて院の玄関に向かって歩いて行く

 既にこの建物の中には誰もいない

 非難は完了しているので子供たちの事は心配しなくてもいい

 ハルの言うとおりに物事が進行しているのならこの気配の持ち主は


 「なるほど、そう来ましたか・・・・」


 口の中でその言葉を転がして怒りを少しでも鎮めようとする

 抑えきれない怒りに反応したのかわずかに髪の色が真っ赤に染まる


 「やあ、こんにちはお嬢さん私の名前は僕の名前はクリス=クロスロードって言うんだお名前を聞いても」

 「・・・・・・・」

 「あれぇー無視ですかあいさつは人間関係の基本ですよ、まあ知ってるんですけどね名前、アリエス=シーワォード様ですよねお・う・ぞ・くのね」

 「・・・・・・・」

 「あら?少しは驚くと思っていたのに、だんまりですかまあいいですそれより本題に入りましょうか見てもらえばわかると思いますがこの方々がどうなってもいいのなら逃げていいですよ嫌ならこれをはめなさい」


 そう言ってクリスと名乗った男は喜びを抑えきれないようなにやけた顔で隷属の首輪を投げてよこした

 それを一瞥して周囲の状況を確認する

 目の前には30人程のある共通点のある女性ばかりが並べられている

 皆一様にお腹に命を宿している

 正しくは31人いたのだ既に殺されているが

 掌から血が出てくるのも構わずに力いっぱい握りしめる

 後ろに三人で見えないが左右の壁の後ろにも三人で目の前に三十人

 戦力評価的には全員B評価程でスキル構成に因るが真正面からの戦いなら余裕で叩きのめせる

 その事実が少しだけ心を軽くする


 「ゲスですね、恥を知りなさい・・・」

 「え?何ですか一人殺して欲しいですか?」

 「クッ」

 

 隷属の首輪を拾って相手側を睨みつけながら一言いう


 「先にその人達を解放してください」

 「ああ、そういうのはやめましょうあなたもわかっているでしょうこの状況で先に解放なんかしないし時間稼ぎはさせませんだから五秒以内につけてください」

 「そんなのあなた達が守る保証なんてないでしょ」


 クロスは黙って短剣を抜きながら片方の指でカウントダウンを開始する

 見せつけるように指を折っていく


 「これで満足ですか早く解放してください」

 「ええ解放しましょう、この世界から」


 ━━━━幻想魔法 ファンタズマ

 男が短剣を振り下ろした瞬間に魔法が解ける

 最初に目に入った瞬間に幻想魔法を行使して既に妊婦たちには逃げるように指示を出していたのだ

 31人の居た場所には遺体を残して何もなかった

 その光景にほんの少し満足そう頷き太古の結晶の破片を使って隷属の首輪を外す


 「眠りなさい」


 ただ一言をトリガーに意識を刈り取った

 真っ直ぐ女性の遺体の前に向かって歩いて行きその目の前でうずくまる様に跪く


 「ごめんなさい」


 二人に向かってただ一言謝罪をした後きつくきつく目を閉じて後悔を今は胸の奥に閉じ込める

 やるべきことをピックアップして行動を開始する


 「え?」


 背中のわずかな違和感を感じた直後体の自由が奪われる


 「いや~流石っす」


 何故か死体の筈の妊婦がナイフを手に持ってこちらに笑いかけていた

 驚愕に目を見開いていると勝手にしゃべり始める


 「人間が失敗するときってどんな時か知っています?相手を見下してる時と成功してる時なんすよね今回になぞらえると最初の王女っていう情報は知っているのにあんたの使う幻想魔法に対して無防備だった事とか妊婦が簡単に逃げれたことっすね」


 女は鬱陶しそうに服に付いた血を払いながら続ける


 「でもあんたはやっぱり優秀なんすね、あの状況の中で幻想魔法を対策されていないのか確認してそれと同時に妊婦内に敵のスパイがもぐりこんでいないかもついでとばかりに襲撃を予測したかのように人員の避難っすか、いやぁ~つくづくバケモンっすね流石に死体には疑いを抱かなかったっすかね」


 いままで浮かべていた薄ら笑いを収めて目を細めてこちらを観察する


 「現場での対応だけならまあ優秀だなって感じっすけど非難は誰の入れ知恵っすかね?裏切りはなさそうなんで勘ならもう人間か疑うクラスっすけども」


 それだけ言うと近くの物から順番に仲間を起こしていきそれが終わると体を無造作に抱えられて物のように運ばれた


***********************************************


 side ???


 「レオンに向かわせる」


 その声は空間に溶けるように消えていった

 誰も口を開くことなく張りつめた空気がさらに硬化する

 音を出すのを怖がるように呼吸すらままならない

 部屋の中に居るのは6人

 男女比は一対一

 一人目の男性は中年の中々雰囲気のある大柄な体格

 二人目の男性は青年でぎょろめの小柄な体格

 三人目の男性は老齢の鋭い目の細身の体格

 遠くから見ればまるでそれぞれの未来と過去を映すかのようにどことなく似た外見をしている

 一人目の女性は小じわの目立つ妙齢の女性

 二人目の女性は切れ長の目が綺麗な大人の女性

 三人目の女性は幼さを残すぎりぎり大人の女性

 一様に薄い意地悪そうな笑みを顔に貼り付けている

 室内にどこか退屈な気配がただよった時大柄な男が口を開く


 「父上しかし本当にこれは真実なのですか?」

 「そうです私もこれが真実とは思いませんは」


 妙齢の女性が夫の意見に賛同して意見を述べる


 「わしの信頼がおける筋からの情報だ」

 「ですが既に確認されていますし、この情報はその・・・・・」


 ここに来てようやく青年が空気を震わせる


 「これが真実だとしてもあれにレオンを動かす程の価値があるんですか?」

 「そうですよおじい様、何でレオン様何ですか!!」


 この一言で幼い女性がレオンと言う人物に特別な感情があることを推し量ることができる


 「はぁ~、おぬしらは子育てもできんのか」


 そのわりと遠回しな言葉に恥ずかしそうに二人の男女は俯き先ほど発言した二人はまだ理解できない顔をしている


 「はぁ~めんどくさい・・・・」


 気怠そうに綺麗な女性が我関せずの態度を崩さず呟く

 この会話の焦点は結局この情報に基づいて誰を派遣するかである

 情報が嘘か真かはともかく確認は必須なので誰かを派遣することは決まっている

 その中で自分が派遣できる手駒の居ない且つ目的にそわない綺麗な女性には本当に苦痛な時間である


 「もし、あれが敵対国にでもついてみろ想像するだけで恐ろしい」

 「おじい様でも、レオン様をあんな下賤な娘に近づけていい理由にはなりません!!」

 「父上私は賛同しかねます、今レオンを動かせばワォーカー家の狸どもが動かぬはずがありません」

 「お父様、私も反対ですあまり事をあわ立てればそれこそ他国の者がどういう行動にでるか測りかねます、また、レオンがやっとまともに更生されたのに前のようになっては・・・・」

 

 意味のない言い合いが続きついに苛立った老人の宣言でこの場が終わる


 「レオンを派遣してもし敵国の利益になるようであれば殺す異議は認めん」


 その場の人間が渋々ながら納得する中一人だけ心配そうに瞳を揺らしていた


***********************************************


 side ???


 「うぇ~さぶサブっと」


 着物を来た二十代後半程の男性が一人建物の廊下を歩いていた

 木でできた日本建築的な建物は男が歩みを進めるたびに音をあげる

 心地よいリズムの虜になりながら廊下を進むと中庭の真ん中にぽつんと一人の少女が居た


 「リルそんなとこにいると風邪ひくぞ」

 「とと~~!!」


 そう言って嬉しそうに抱き着いてくる一人娘を優しく抱き留める

 まだ9歳ほどの心配が尽きない娘の体温が少し低いので魔法で温めてやる


 「とと、運命が来るの♪」

 「運命?」

 「うん!!」


 男は内心嘆息する

 三年ほど前からずっと運命が来るという言葉を言い始めたのだ

 これがほんとならばその運命とやらがリルを傷つけないか不安で仕方がない

 運命について聞いてもわかんないの一点張り

 娘の種族的に全然無視のできない信憑性があるので対策のとりようが無く困り果てている

 妻に聞いてもあの子なら大丈夫の一点張り


 「リル何回も聞いて悪いけど運命についてわかるか?」

 「うん」

 「え?ほ、本当かじゃあ教えてくれ」

 「いいよ、あのね迎いに来てくれるの」

 「うん?迎えにって?」

 「そうだよ、それでねリルを手に入れるの!!」

 「手に入れるだと!!」

 「うん、それでねリルはね運命を手に入れるの♪」

 「ちょっと待てそれは男か?」

 「そうだよ」


 嬉しそうに首を縦に振る娘に嫉妬心がすさまじい勢いで湧いてきたゼンは気づかれないように奥歯が擦り切れるくらいに歯噛みする

 内心穏やかではないがおくびにも出さず運命とやらのふとどき物を血祭りにあげるべく情報を収集する


 「そっかぁ~なぁリルその運命の苦手な物ってわかるか?」

 「もちろん、なんでもわかったの!!」


 ふんすっと得意そうに頷く娘にそれを奪おうとする運命にさらに敵愾心を掻き立てられながら続きを促す


 「リルはすごいな」

 「うん!!」

 「っで苦手な物は?」

 「うん、リルとととがママにするみたいに反省させられる人が居るの」

 「ああ、ジュリみたいなのがいるのかそいつも大変だな」

 「でも、たまに手玉に取っているの」

 「オレも確かにたまにならジュリ手玉にとれるな」

 「それでその後だいたい隠し事がばれて反省させられるの」

 「残念だなオレはこの前かわいい子に声をかけたのはばれてないな」

 「むっ、とと浮気?」

 「違うよ目の保養だな」

 「そうですか保養ですか」


 まったく気配を感じれなかったが不意にそう相槌を打たれる


 「ジュ、ジュリな、何故ここに!?」

 「あら、ここは私たちの家なのよ、何か問題でもあるのかしら???????」

 「ママ~~!!」

 「あら、リル寒くなかったの?」

 「だいじょぶ」

 「そう、それで運命については聞いたは」

 「うん」

 「それね、私もこの人を見つけた時に見たものよ」

 「ととを?」

 「なっ!!許さんぞリルはオレと結婚するんだ!!!!!」

 「はぁー、貴方はまったくそんなことリルは一言も言ってないしさっきの事は忘れてないわよ?」


 そう言って視線を鋭くすれば途端に飼い主に叱られた犬のようにしょげ返る


 「いいリル、その人が現れたら絶対に離しちゃだめよ」

 「わかった」

 「で、その人はどんな風に見えたの?」

 「傷だらけで苦しそうだったの」

 「そう」

 「でも、それでもがんばって立ち上がろうとしてかっこよかったの!!」

 「じゃあ助けてあげなきゃね」


 来たるべき者に期待をするものと嫉妬する者、あるいは試そうとする者

 結果がどうなるかは不明だがそこには温かな心地よい空気が流れていた

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