第四話 エリクサーと温かい頬っぺた
「ハル」
「何?」
「呼んだだけ」
「そっか」
「ハ~ル」
「何?」
「呼んだだけ」
「ハ~~~ル」
「・・・・・・・・・」
「ハル?」
「・・・・・・・・・」
「グスッ、ハルが無視する!!」
「オレが悪いんか!?」
何度も名前を呼ばれて特に意味がなかったので黙っていると半泣きになられた
助けた後からいつもそばに居ようとするアリスちゃん
特に最初から敵対していたわけではないがそもそもあまりしゃべらない性格らしく特に接点はなかった
この行動もきっと彼女の必死のコミュニケーションなんだろう
・・・もっと何かないか?
まあ、そんなこんなはさて置き
最近、先生と離れ離れになることが多くてツラい
あの事件で見事誰も犠牲者を出すこともなく解決した先生は今やゲームのシナリオ通り街の英雄扱い
アリエスパンとか総菜屋必死すぎるだろ
そのせいで今まで見た目のせいで声をかけ辛かったのが一遍して英雄のネームバリューで困ったときのアリエス先生という感じになってしまいまた、困っている人を見捨てられない性格なので普段からあまり孤児院に居なくなった
てか国王は名前と容姿で娘だと気づくんじゃ・・・
まあ色々あって先生にべったりだった生活からアリスちゃんにべったりされる日々になったわけですねまるっと
アリスちゃんは現在9歳で種族はハーフフェアリー、髪は燃えたぎる火山のように輝く赤で瞳はそれと対照的にどこまでも冷たいアイスブルーで顔は流石妖精様なのかすでに何か大人としての綺麗さがある
まあフェアリーは12,3くらいで成長止まるからあんまり大人もくそもないか
現在身長は1、2メートルとまあまあこのままおけば1、4メートルくらいになるんじゃないかなついでに先生よりは小さいが多分Dくらいにはなるんじゃないかな
女性の容姿を褒めるのに燃えたぎるってアウトくさいけども
アリスちゃんというと私の方がお姉ちゃんだとアリス姉と言わされているわけだがまあお姉ちゃんポイと言えばぽいかなぁ~
確かに世話焼きだけど束縛が厳しいです
少し先生を見てると頬つねられるし
お前はオレのかあちゃんか!!
使い方あってますよね?
さて、では恒例の鬱フラグどうやって折りましょうか脳内探求を始めますか
さてあのオークに足を食材に替えられた日から一週間程、先生との約束で先生がいないと訓練ができないのでひたすら庭を駆けまったり魔道書を読んだりあと気と魔力循環くらいの単調なエブリデイを送ってんす
でもこのペースじゃあ緩やかすぎるので早く森に行ってモンスターを狩りたい
「ねえ外に行って追いかけっこしようよ」
「嫌、おままごとがいい」
「それ昨日もやったじゃん」
「じゃあ今日もやろうよ」
「・・・・・」
「グスッ、ハルが無視する!!」
「オレが悪いんか!?」
くっ、この幼女は泣けば大体言うこと聞くのを知って最近こんなんばっかする
泣かすと先生に怒られるし
とりあえずおままごとの体裁を布敷いて包丁もどきにあとまな板っぽいのを置くので整えて
はぁ~狩りに行きてぇ~
「ただいま」
「おかえり、ん」
「はい」
「うん」
「あ」
「ん?」
「いい」
「そう」
・・・彼女は何を求めてるんだ
結局毎回こんなんばっかで耐えきれす誤魔化すためにアリスにひざまくらや抱っこをせがんでだりする
まあもうそれで満足してくれるならいいか
というわけでいつも通り有耶無耶にしようとした時
天使が居た
「先生!!」
「わっ、びっくりしたは、ハルただいま」
「うん、お帰り先生」
とりあえず天使に特攻して思いっきり胸に抱き着く
あ~癒される~
最近は夜遅くとはいかないまでも夕方に帰ってきたりすることが多いので今日はなかなかレアな日だ
とりあえずいいかげん背中の肉が限界なので先生の腕から降りる
わっしょいっと
華麗な着地を決めてクールなターンでアリスちゃんの方を向く
「おかえりなさいアリエス先生」
「うん、ただいまアリス、ハルは大人しくしてた?」
「はい」
「そっか、いつもありがとう」
そういってオレにするように優しく髪をすいていく
いつも泣くとき以外はあんまり表情に出さないアリスが陽だまりに寝転ぶ猫のように目を細めながら嬉しそうな表情を浮かべる
先生の撫でテクはもはや麻薬だね!!
とりあえず先生の予定を聞かなきゃ
「先生今日は狩りに行ける?」
「ん~、そうね、時間的には微妙ね」
そう言って先生は数秒考えてこういった
「よし、ハルかくれんぼをしましょう」
「ん?」
「まずは、ハルこの世界はステータスっていうものがあってそれで結構明確に強さが判定できるの」
「うん」
「でも、大人と子供では体格とか耐久性とかに色々差が出るのここまで大丈夫?」
「うん」
「で、そういう状況で真正面から挑んでも勝つのは難しいのはわかるよね?」
「うん」
「というわけで不利な状況で勝つには相手の隙を突かなければならないの理想は奇襲で一撃で仕留めるのが一番安全性が高いは」
「つまり、かくれんぼで隠密の練習をすると?」
「そうよ、じゃあやりましょう!!」
きっと最近あまり孤児院の子供と遊んでいないことを気にしているんだろう
みんなで遊べてかつ修行にもなるものか
というわけで先生が皆を集めて説明をしていく
鬼の役は先生で隠れれる範囲は孤児院の敷地内のみということになった
どこに隠れるか?
そう考えているとアリスがちゃんが寄ってくる
「ハルはどこに隠れる?」
「まあ、無難なとこで屋根裏か樹の上とかその辺かな」
「じゃあ、行こっか」
あまり場所にこだわりはない
基本的に先生は気配察知がかなり得意な方なのでその場所に気配がしなければそもそも探さないので場所にこだわるより気配の消し方にこだわる
そもそもそういう修行か
というわけで食堂の屋根裏にやってきました
「何でこんなにきれいなんだろう?」
「ハルは知らないのね、先生の生活魔法はすごく範囲が広くて屋根裏まで綺麗にするのよ」
「へぇ~、生活魔法か便利そうなら覚えてみるのもいいかもね」
ゲームでは未実装だった未知の魔法の生活魔法に興味がないわけではない
でもあんまり時間くわれるのはなぁ~
時間の兼ね合い次第でというのが結論かな
てかここ狭いな
「ハルもうちょっとあっち寄って」
「うん」
人が生活するのを考慮していないために凹凸が多く普通に座れる場所とそうでない場所がある
まだ子供なのでぎりぎりそのスペースに体を押し込める
「ねぇ、聞いてもいい?」
「何が?」
「どうして、あの時助けてくれたの」
「うーん、先生のため」
「はぁー、だと思った」
何ていうかここで君のためみたいな事を言っても普通にあの時ほぼ他人だからな先生なら純粋に困ってるからと言えるかもしれないが残念ながらかなり打算的な思考がそこにはある
「今なら、私と先生どっちが好「先生」
食い気味に言ったのがお気に召さないのか先生と言ったのがお気に召さないのか非常に不愉快そうな顔をしている
綺麗だよ怒った顔も・・・・・・・・・・・・・・先生のな
流石にこのままだと泣きそうなので今思っていることを伝えるか
「えっと、聞いて欲しいんだけど」
「うん」
「先生の方が好きなんだ」
「ケンカ売ってるの?」
「違う、最後まで聞いて」
「うん」
「でも普通にアリス姉のことも好きなんだ」
「最低」
「嫌、確かに二股っぽいのは自覚してるけど、絶対に困っていたら危険だとしても二人とも助けると思うんだ」
「そっか」
「うん、オレが強くなりたいのは助けたい人たちが居るんだ」
「うん」
「もちろんそれにはアリス姉も入っててえーと」
何が言いたいのかあんまりよくわかなくなっているがとりあえずアリスちゃんに大切だって伝わるかな
無言で考えているとアリスちゃんが正面から抱き着いてくる
「ハルが私のこと一番じゃなくても私はハルが一番だからそれでいいよ」
「そっか」
「うん」
アリスちゃんはそう言って花が綻ぶように笑った
彼女とまた少し分かり合えた気がしてすごく心が温かくなった
だから先生こっちを見ながらにやけないで・・・
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先生に見つかった後、もう一度かくれんぼをしたがその時は一人で隠れて30分程先生の襲撃を耐えきってまあまあな練度を誇った
その日から約二日後、先生は今日も街に向かいアリスちゃんは子供達全員に課せられているお手伝いをしている
というわけで今日は珍しく一人で行動する日です
というわけで一人の時にしかできないゲーム時代の知識を活用した戦力強化を行いたい
では、まずこの街の特色について
この街の主な産業としては辺境というだけあってモンスターの襲撃が多くそれを返り打ちにしその素材を売り払うことそれゆえにモンスターを狩るのを生業とした冒険者が多く滞在しあまり治安はよろしくないですねまた、冒険者は命を張っているだけあって金をもっていて血の気が多く奴隷や麻薬が売れたり盗掘品などの違法な品もかなりの数が売買されてそれに群がる犯罪者もいます
総括すれば昼はその犯罪者の集まりやすい特色のために騎士団が多数巡回して治安はよく夜はアンダーグラウンドな危険な街と言う感じ
本編では先生が無くなったことにより王国からのクエスト「消えた聖女の行方」で王が適当にお涙ちょうだいの先生とのストーリーを作って主人公をこの街に導く
まあクエスト事態は成功しようが経験値が稼げるとかレアアイテムが手に入るというサブクエストなのでこのクエストが消えてもメインストーリーには影響が出ないはず加えて言えば別のクエストでもこの街に来る
説明もこれで一区切りとしてこの街でオレが手に入れたいものは3つ
1つ目はエリクサーのレシピ
残念なことに材料はこの街付近では揃わないが後々必要になるイベントがあるので早めに確保しておきたい
2つ目は太古の魔水晶
これはこの街の地下に決まった手順を踏めば現れる隠し部屋があるのでその門番を倒せば手に入るが門番の能力はかなり高めで今は手が出せないしかしこれは隷属魔法を打ち消すので確保は必須と言える
3つ目は女神の気まぐれなペンダント
完全に私利私欲のためでこれを装備すると幸運が日によって上昇値は違うが必ず運にプラスがある
運は3だしねぇ~
錬金王の釜は金さえあれば手に入らないこともないのでわざわざここで手に入れる理由もないので保留
今日のターゲットは一番入手しやすいエリクサーのレシピ
このレシピを手に入れる手順は三段階に分かれる
前提条件としてこの薬を求めているのはアレクリイス帝国の王女様
この街に居ることを知っているのは帝国の上層部の一部とほとんど知る人はいなくまたそもそも第一王女が病弱すぎるのでその顔を実際に知っているのもやはり一部のみなのでこの国に侵入しても誰にもばれてはいない
では何故わざわざこの国に来ているのかと言えば一つは両親が王女を大切にしているからである
設定上アレクリイス帝国には第一、第二王女が存在していて第二王女の母は4大侯爵家の出なのに対して第一王女の母は子爵家と力の差がえげつないことになっていて侯爵家やその恩恵に預かっている貴族が毒殺誘拐狙撃にトラップなど無駄に頭をひねって暗殺しようとしてくる四六時中かつ結構露骨に
てか他国の方が安全な王室ってどうなの?
現在は影武者を立てて、まあ顔は国民が見ることはないので顔は全然似ていないが暗部からその手のエリートの同年代を配置している
二つ目にこの国のこの街がこの国を乗っ取った集団の始まりの街だらである
少し長くなるが元々現在のシーワォード王国の王族はこの国の前身のカタリナ諸部族連合では他だの片田舎の貴族にすぎなかったしかし、連合の頭が抜け落ちて連合は12の勢力に分かれて争い合ったこれが今日の王国十二翼家の始まりなのは別の話
個人的にこいつらの八家くらいは嫌な奴ら
その時のシーワォード家の当主であったバジル=シーワォードは非常に強大な魔力とまた天才的な頭脳を用いて国をまとめ上げてこの国を作った
っでその昔、王家が納めていた街がこのアルーシャの街だったそうでそもそもバジル氏は国王になるつもりなんてなくこの地に引き篭もろうとしたそうですが当たり前にそういうわけにもいかず子孫たちには王家とか政治に関係なく自由な魔法の研究をしてほしくて自分の研究資料のすべてをここに置いて行ったそうです
その研究成果で子孫に殺されたりまた成果を奪い合って一回アルーシャの街が全損しかけるとは夢にも思っていなかっただろうが
つまり、その騒乱で亡くなった伝説の研究に姫の病気くらいは直せるんじゃないかとこのまま既存の方法では普通に助かりそうにないので中々なげやりというか賭けにでた感じである
前提条件が長くなったが改めてクエストの三段階をおさらいする
一段階目にとにもかくにも身分を隠すために第二城壁の中、平民街に商人の娘という身分と偽りをして住んでいる王女の関係者との信頼関係の構築
第二段階はレシピに必要な最後の物について調査をしてそれが現在製法すらわからず所在も不明ということを報告に向かう
第三段階として調査の結果既存のもので代用可能なのを解き明かしてそれを納品し報酬としてエリクサーのレシピを手に入れるというまあオーソドックスなもの
この時に身分が明かされてこのクエストをやっておくと帝国での関連クエスト「血塗られた革命」という第一王女が王位につくまで助けてかなりおいしい報酬をもらうクエストがある
この世界えらく生臭いはな
つらつらと頭の中で情報を列挙していると目的地の薬剤屋さんについたので店に入る
「いらっしゃい」
どこかメンドそうにカウンターに座った老婆が声をかけてくる
この老婆がクエストのカギを握る人物で名前はシェスタという偽名を名乗っておりバジル氏の直系の子孫であり最後の物質に必要な物の製造法を教えてくれる
すでにクエストをクリアしているオレにはあまり意味がない情報なので特に関わり合いになることはせずに必要な物を注文する
「こんにちは、空のポーションのビンに漏斗と漏斗台にろ紙、後ビーカーにスリ鉢、最後にシーリアンの葉にイエローポーションとレッドポーションをもらえますか」
この婆さんは中々いい性格をしているためさっさとこの店でしか手に入らないものを手に入れて出ていきたい
婆さんが一瞬鋭い目をした後にこういった
「坊主あんた何を作るんだい」
「それは言わきゃいけないこと?」
「・・・・・・・・」
金が大好きな婆さんは頭の中まで金塊でできていなかったようですぐにエリクサーの原料の代わりの材料と関連性を見出すあたり中々侮れんな
このままだとややこしいことになりそうなので適当に誤魔化す
「僕は将来薬剤師になりたくてそれの練習だよ」
「ほぉー」
とってつけたような理由に納得はしたのかしていないのか商品は手早く集め合計金額をつげる
「大銀貨一枚と小銀貨二枚さね」
「はい」
この国の通貨は小銀貨、銀貨、大銀貨みたいなノリで銅、銀、金と三種類で構成されている
今回の買い物は中々高価な買い物だと言える
適当にへらへらしてたら婆さんも多分金持ちの遊びかなんかと勘違いしたのか興味をオレから無くす
誰がアホ面やねん
とりあえず店を出て小走りに一端孤児院の建物の裏にいく
先生の荷物から拝借してきた、先生に特に断りはいれていないが貸してもらった火の魔石をポケットから取り出す
ポケットを叩けば肉まんが一つっと
さて誰もいない内にさっさと作ってしまうか
まず少しだけ使える亜空間収納に入れていたゴブリンの耳を5本ほど取り出して木に刺して焦げるまであぶり続ける
それを済むと大きめのすり鉢にその耳を入れて最初にレッドポーションを入れて十分溶解させる
次に同様にイエローポーションを入れて少し温めながらかき混ぜる
くっさ~~
この工程で液体に揮発性がでるのでマスクを用意した方がいいというアドバイスがあったけどゲームの時はあんま気にしなかったが中々刺激臭が辛い
揮発した液体が赤から黄色に変わったタイミングで漏斗を漏斗台に固定してろ紙を4つおりに・・・上手く四つ折りにできたしばしにやけた後手早く液体をろ過する
この間、何故か普及している水道で水を汲んでくる
ろ過が終わった液体を水を入れて煮沸して粘性の液体になれば完成
確か煮沸するのはいらない成分を飛ばすためやったかな
量が少し多いのでいらない分は穴を埋めて木の根っこらへんに埋めて後はビンに詰める
できた!!妖精の霊薬モドキってね
正確には違うがエリクサー調合においてのみ代価可能なのでそれ以外使い道はない
目標は達成したので荷物を全て収納して目的の商会に向かう
先生にゴブリンを換金してもらったので中々お金持ちなんです(ドヤッ
お姫様のご機嫌伺いの為に時空次元を使ったパフォーマンスに必要な物を買い揃えたりついでに好物は甘いものなんだそうで適当にプリンは数日前に自作して先生に超褒められて満足っす!!
あれ何か話が逸れたかな?
目的の商店であるアルル・ルリーナ商会本店についた
絶対子供とかにあそこの店ル多すぎwwみたいにいじられてそう
この店の売りは食料品ですね
多分、他国に来てストレスのたまってるだろう姫にせめて食事くらいはってことかな
わざとらしくならないのを気をつけつつ周りを買い物してるふりをしながらうかがう
結構繁盛しているようでたくさんの人が居る
確かに海産物は扱ってるとこ少ないしね
さてお目当ての人物を発見できたのであんまり回りくどいのもめんどくさいので直球で行ってみる
商人の恰好が似合いすぎている青色の髪の近衛騎士に近づいてこう切り出す
「妖精の霊薬」
「なっ!!」
突然自分たちが求めていたものを言われて騎士は腰に手を回すが当然そこに剣はない
間者かもしくは暗殺者なんかと勘違いされたのか目の前のお兄さんが合図を出すとおそらく近衛騎士なんだろう店の奥と買い物客に扮していた人たちが逃げ道を塞ぐように囲む
「へぇ~、結構人数は居るんだね」
「黙れ貴様は何者だ!!」
「大きい声出すと他の人が怯えてるよ」
「うるさい!!ついてこい!!」
まずいと思ったのかどうかは知らんがとりあえずオレに逃げられないようにボディーチェックをした後に素早く買い物客の目から隠すように店の奥の方に連行される
・・・・誰だよ今尻触ったやつ
威圧感バリバリの倉庫に連れて行かれて尋問が始まる
「貴様は何者だ」
「孤児です」
「ふざけるな!!」
「その質問ってオレがどう答えても信じませんよね」
「うるさい、そんなことはどうでもいいそれよりどこで情報を手に入れたのかを吐け」
三人くらいの騎士が尾行者がいないか外に確認に行き他の騎士はオレを脅すかのように刃物を見せつける
「落ち着いて、別に姫様に危害を与えようとしているわけではありません」
「信じられるか貴様のような怪しいやつのことを」
「まあ、確かに顔かくしてたのはこっちの落ち度だけどフード上げるときも特に抵抗しなかったからこれで敵対していないことになりませんか」
「なるわけないだろう」
「それより欲しくないんですか霊薬」
「貴様はそれを持っていると」
今までまったく話を聞かなかった目の前にいる近衛騎士隊の将来の隊長と期待されている四大侯爵家出身のレオル=アーデ
まだ年齢も若く猪突猛進な性格であるが基本的に腕が立つのと全然政治に興味はなく不正は断固として
ゆるさない、そういう性格であるので他国でのこの過酷な任務を任された
「もちろん」
「それを渡せ」
「嫌だよ、渡したら殺すでしょ」
「黙れ、渡さなくてもどの道ここで死ぬぞ」
「アッハッハ、面白いこと言うねそうすれば姫様が死ぬまでにお薬は間に合うのかな?」
「ハッ!そもそも貴様の言ってることが本当とは限らんしな」
「じゃあ、この機会をみすみす逃すと」
「いちいちうるさい餓鬼だ何が目的だ金か?権力か?それともエリクサーか?」
今の状況を少し確認しておこう
おそらくこの人たちの戦闘力の評価は目の前の男がぎりぎりCで後はD,Eの半々ってところかな
どこの国の一般兵も平均的にDとEの間なのでまあまあ優秀な方だと言える
オレの戦闘力の評価は密室の至近距離戦闘で武器が短剣、後魔法をなりふり構わずに使うことを考えると好意的に見てDと言えないこともないかなぁ~程度なので戦ったらふるボッコにされるのは間違いない
しかし、最近時空次元魔法がⅡになったこともあり短距離であるがショートワープを使えるようになったので店先にマーカーを配置していて逃げるのは簡単
ちなみに尻触った奴はぎりぎりCにならない程度と結構強かった・・・・解せん
さてどうしたもんかと目の前の「血塗られた革命」で姫様を護って死ぬ騎士様にどう納得してもらおうか考える
「とりあえずエリクサーは要るの要らないの?」
「貴様わかってて言っているだろう」
「オレはエリクサーを作れるよ」
「だからき「今も姫様は苦しんでるよ、一人迷惑をかけないように耐えながら」
流石に王家に忠誠あつい騎士様にはこの言葉が聞いたのか思案顔になって他の人と話合う
さ~て上手いこといくかなぁ~
今回の達成目標は二つ
ひとつはエリクサーのレシピでもう一つはハルの第二の悲劇、クラウンワールズⅡの悪神達との戦争で死んでしまう彼女の運命を
だからなるべく恩は売っときたい
「はぁ~、わかったどうせもう知っているのだろうが我々は材料は妖精の霊薬以外揃っているが製造法はわからない」
「うん」
知ってるよばれないように魔法で材料今後のためにもらってるし
いやぁ~これ高価なんだよね
「もし本当に霊薬を作って姫様を救ってくれるのなら我々は貴様に一切危害を加えず望みをできる限り叶えることを誓う」
「なるほど、わかった信用するただ調合は姫様の目の前で行う」
「それは何故だ」
「ふ~ん、怒らないんだね、まあいいか、理由は姫様の症状で必要量がかわるからこれでいい?」
「そういうことならもんくはないただし姫にもしもの事があれば困るので手荷物のといっても何も持っていないかまあ変な行動はするな」
「わかった」
材料の分量云々はもちろん出任せで流石に姫の前で流血沙汰みたいなことにはならないのでこれで安全は確保された
先導する騎士に三階の奥の方の姫の部屋に連れて行かれる
部屋に入ると大きく豪奢なベットが真ん中に置いてあり一人の女の子が苦しそうにこちらを見た居る
アレクリイス帝国第一王女シルフィエット=アレクリイス
濃い深海のような深くどこか謎めいた青色の髪に全てを見通すようなその体調に反してどこまでも強い輝きを示す金色の双方、顔は先生やアリスのように全ての人に尊敬をさせてしまう綺麗さというより全ての人に命に替えても手に入れたくなるような女神のような可愛さがあった
まだ10歳ながらも将来先生に匹敵するポテンシャルをその体系から感じることができる
「えーっと、こんにちは貴方は誰?」
「始めまして王女様、貴方の病気を治しに来た魔法使いです」
そう言って大げさにお辞儀をすると
「フフッ、似合ってないよ」
「ひどい!!」
「かしこまらなくてもいいよ」
「後ろのお兄さんが怖いんでやめときます」
「そう、それで小さな魔法使いさんはこの病気を治してくれるの?」
完全に子供扱いされてる
別にいけど
「任せてください報酬は姫様の笑顔で」
「あら、中々おませさんなのねじゃあ病気が治ったらお嫁さんになってあげようかしら」
あ~これ多分精神的に疲れてるから楽しませるために連れてこられた同年代の子供かなんかだと思ってるのか?
いくらなんでも病気の人間に知らん子連れてこんでしょう
まあその辺の考えは年相応かな
「姫様お戯れは程々にしてください」
「約束ですよ」
「貴様ふざけるのもいい加減にしろ!!」
「病人の前で叫ぶのはどうなんですか?」
「いいの、レオル」
「しかし、姫様」
「レオル」
「わかりました」
騎士は飼い主に叱られた犬のようにしょんぼりしている
ざまぁー
姫様もそんなしんどいのに無理しなくてもいいのに
じゃまあさっさと治療しますか
「じゃあ冗談はこの辺にして」
「冗談だったの残念ね」
「茶化さないでください、では今からエリクサーの生成を始めます」
そう言って騎士に合図をだしてベットの近くの机に用意した道具を並べてもらう
エリクサーの生成は最後に妖精の霊薬を入れるの以外は適当にぶちこんでかき混ぜるだけだけど一様それっぽく見えるように行った
最後にポケットから妖精の霊薬もどきを入れて完成
「はいできました、これを飲んでください」
「え、えっと」
「大丈夫必ず治りますよ」
騎士は毒見したそうだけど健康な相当重傷な状態じゃないと普通に体が腐るからな
てか姫様よ結構真面目にやってたのに信じてなかったのか
「早く飲んでください」
「で、でも」
「も~」
目の前で辛そうにしているのを見てるのは嫌なのでスプーンで口元に差し出す
「はい、あ~ん」
「あ、あ~ん」
恥ずかしそうにエリクサーを全部飲みほすと効果は急激に現れた
「う、嘘!?」
さっきまであれ程血色が悪かった肌の色は今は薄桃色に
また、苦しそうだった息も今は落ち着いている
「本当に、本当に治ったの?」
「だから言ったじゃないですか」
「よかった、ほんとうによがっだ」
「ええ、よかフグッ!?」
突然泣きじゃくりながら抱きしめられて一瞬パニックになる
あ~やっぱり不安だったんだな
不治の病と宣告されていつ死ぬかわからない状況の中、いつ暗殺されるかわからないプレッシャーと見知らぬ土地での生活そうとう子供には答えただろう
だから今だけは子供らしく甘えさせてあげよう
オレはいつまでも姫様の頭を撫でていた
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「ほいっと!」
「きゃあすごい」
あの後、泣き止んだ姫様は完全に病気から回復して何度もお礼を言われた
それを見て満足したのでまた来るねというと姫に帰っちゃいやよダダをこねられて
困った騎士に報酬は出すから姫の相手をしてくれと頼まれたので今マジックもどきをしている
「姫様お腹空いてませんか?」
「うーん少し」
「それとプリンって知ってます?」
「プリン?」
「このおかしなんです」
そう言って手の平を重ねて魔法でいきなりプリンが出現したように見せかける
時空次元魔法は存在を知られていないからな
「すごいはどうやったの!!」
「まあまあそんなことより、食べてみて」
「わかった」
一口食べると姫様の目が輝きだす
「こんなに甘いの初めて!?」
「そっか、よかった」
その後も夕方になるまで姫様と色々話した
「もう帰るの?」
「うん、みんなが待ってるから」
「そう・・・・」
悲しそうに俯く姿に罪悪感を刺激される
「でも、また来るから安心して」
「絶対だよ!!」
「うん、約束する」
そう言うと満足そうに笑うのでもう大丈夫だと別れの挨拶をする
「じゃあまた明日」
「待って」
「ん?」
「最後にお話し聞いてもらってもいい?」
「うん」
「あのね私本当はもう助からないと思って怖かったんだ」
「うん」
「でも、みんなに迷惑かけちゃいけないからと思ってその平気なふりしてて」
そう言った姫様の顔が痛々しすぎて直視することができなかった
「でもね、ハルが私を助けてくれたの」
「うん」
「だから、そのえっとその」
「うん?」
「えい!」
顔を真っ赤にしながら突然キスをほっぺたにしてきた
柔らかい唇を頬に押し付けられる
「えへへ、その大好きだよ!!」
「・・・・・・」
「じゃ、じゃあまたにね!!」
そう言って姫様は布団に顔をうずめた
その日はずっとほっぺたが温かかった気がする