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第三話 オレと先生と月だけの秘密

 八百屋に武器屋に服飾店ついでのおまけに花屋さんかな

 先生と共にアルーシャの街に来て1時間ほど

 流石は辺境伯のいる街だけあって中々発展しているのが見て取れる

 発展具合はちょっとちぐはぐだけども

 まあここらへんはゲームの時と変わらないですね

 な~むっと

 相変わらず過保護な毎日を送っています

 気になって何でこんなに過保護なのか聞くと基本的にこの世界は八歳になるまでは魔力が使えないので自衛の手段があまりないという理由で親の傍からあまり離さないみたいですね

 あ、エルフだ初めて見た!!

 まあ理由としては一番大きいのは目のせいかなぁ~

 先生に忌み子であることを肯定するとその日からもっと過保護になった

 きっと幻想魔法で目の色をとっさに誤魔化す為とかばれた時に先生以外なら多分ひどい目に会うとかそういう理由だと思う

 そのせいで周りの子供からはいない者扱いされてますけども・・・・

 別にいいですよ先生が居るし


 「ハル大丈夫疲れてない?まだ結構歩くけど平気?」

 「大丈夫、結構鍛えてるから」


 ここ数日、来たるべき悪夢を潰すために毎日修業は欠かしていない

 魔力を循環させてみたり気を一気に肥大化させてみたりぶっ倒れるまで走ったり

 流石は裏ボスさんの才能

 1日前は500メートルで倒れたが次の日には一気に10キロぐらいいけた

 こんな簡単に強くなれるのに外伝で何であんな目の前でぷぎゃーされたんだろうね・・・

 考えたらテンション下がりそうなので棚上げ横置き


 「そっか、確かに毎日走ったりしてたもんねでも無理はダメよ」


 無理するよ~

 いやだよゲームでスキップしたけど目の前で先生が解体されるシーンとか見たくないしどこの魔女裁判だよって全米がそう突っ込みしそうな今からこの湖に潜れ、それで三十分以内に上がってきたら反省してないから処刑なついでに魔力使っても同罪耐えれたら無罪だ好きに生きろ

 それってどちっもあれなんじゃ

 なんて疑問は空のカナタ


 「うん、わかった」

 「ふふっ、案外素直なのね男の子だからもっと頑張れるって言って無茶しそうなんだけど」

 「そんな意地っ張りじゃないよ」

 「そっか」


 ニコニコしながら頭を撫でられればもう反発なんてできない

 オレってちょろいなぁ~

 リアルに先生に言われたらお昼寝も辞さない覚悟

 うん、若干眠いんだは

 荷物は先生の冒険者が大好き―なアイテムバッグ先輩に入れているので手ぶらで街を散策中

 今回の買い出しは主に食料品や日用品みたいに細々したものを買いに来ているので種類がたくさんあって色んな店に行った

 とりあえず先生に邪な目線を向けてきた輩には・・・

 くっくっくこれ以上は秘密だなただ蹴り、急所、崖っと検索すれば自ずと答えは出てくるだろう

 そんなことより最近はそろそろ森に入ってモンスターを狩りたいと思っている

 いくら鍛えているからと言ってもレベルに伴う能力の上昇はバカにできないものがある

 あと約三年という時間の中で最悪国と戦う可能性があるわけで

 ついでに可能性として自身のような転生者についても問題だ

 もし、その転生者がハルのことを将来的に危険だと判断して弱い内に仕留めようなんてことになれば勝てる可能性は相手の実力次第だが今現在はちょっと強い一般人くらいの、まあ年齢を考慮すればすでにいろいろ規格外すぎるが、能力しかないので主要キャラあたり、つまり現在大人のそれも冒険者や騎士、魔術師なんかに狙われれば即アウト

 いくら先生が居ると言っても英雄クラスの相手となるとあまり戦闘を得意としていないので分が悪いのは明白である

 それをぶちまけて森に入らせてっと言えるはずもなくまだ森に行く算段は立っていない

 まあ、案としては先生の忙しいときにでもっというのが今んとこ最有力候補かな

 これは取らぬ狸のカルキレーションか

 あれ?てか何か周りが静かなんだけど?

 神でも降臨したか?ジーザス!!

 とりあえず先生もあんまりわかっていなさそうなので何故か割れた人垣の方を注視する

 コツッ、コツッ

 馬車が一台だけ周りの状況何てお構いなしに道のど真ん中を進んでいる

 しらーっとした顔で周りの顔を窺えば

 大体恐怖のあと嫌悪や怒りっといったよろしくない感情が見受けられた

 ついでに馬車のエンブレムを確かめると、赤い竜と白い六角形

 ボクコドモダカラワカンナイ

 てぇーてれって、てぇてれって、てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、てぇ、てぇ、てぇ、てっれ~♪

 辺境伯の一家っとその取り巻きが現れた

 うわぁー普通に嫌だは

 何で先生と楽しくお買いもの中にあんなクソ野郎見なきゃいけないんだよ

 これで目を付けられたらたまったもんじゃ

 ギー

 何か止まったんですけど

 なにこれあれ!?フラグ建設乙ってやつ!!

 無理だよ!!今抗っても確実に負けるし先生が周りの被害無視で魔法なんて使わないし

 まずい女の人は顔かくして浚われるぞ!!

 先生も不安なのか手を強く握りしめてくる

 それに気づいてオレも不安が顔に出てしまったのだろうか

 さっきまでの不安な感情をみじんも感じさせず優しく微笑みかけてくれた

 ああやっぱり先生はすごいな

 自分も不安なのにオレのために平気そうに強がる

 でもきっと一人で頑張ろうとして失敗するんだろう

 だからそうならないようにオレが先生を護ろう

 意地っ張りで寂しがり屋で人一倍頑張り屋で優しい先生が笑顔でいられるように強くなろう

 そのためには今の状況を何とかせねば

 とりあえずは奴らの出方次第なので黙って耳を澄ましてみる


 「我が領民たちよ!!私は税の徴収に来た!!」


 辺境伯の長男、ボルゴス=イグニスが大きな声を大きな腹から出した

 その場は皆動揺して騒然となる

 税の徴収は一か月前にしたはずだというかそもそも徴税権は領主のみが持っているはず


 「だが、我が領民たちは先の税の支払いを終えて現在税を支払うことに疑問を感じるだろう!!」


 珍しく領民思いなことを言っている評判のよろしくないボルゴスの言葉に皆驚きが隠せないようだ


 「だが我が国は今国難に面している!!」


 国難、国難ね

 これはおそらく竜による影響のことを言っているのだろう

 竜の活動活発化に伴い魔物の増加及び能力の向上また特定地域での自然災害の発生や疫病の発生

 追い打ちをかけるように魔力の影響で土地がやせ始める

 国の上層部はこの原因をすでに把握しているが混乱を避けるために秘匿されていたはず

 これはあくまでゲーム設定だがな

 だが概ねこのタイミング付近で情報が公開されるのはシナリオ通りなのでそこまで相違はないようだ

 ゲーム通りならこの時期から竜を倒すために世界中で行動が開始される

 この世界、正確には人界には四つの大国がある

 人類最大の宗教、ラタトスク教の総本山があり人界すべてに影響力を及ぼすラタトスク聖教国

 人類で最大の軍事力を誇るアレクリイス帝国

 魔術大国にして今現在住んでいる国シーワォード王国

 最後にⅠの主人公が生まれる国で初代剣聖が建国した剣の国ヴァジリア連合国

 正確な日にちはわからないがあと二年ほどすれば主人公の村が焼かれて竜を倒すたびに向かうはず

 正直、胸糞悪すぎるイベントなので村の襲撃を止めたいが残念ながら場所がわからんというか存在を知るのは村人のみという秘匿された場所だしあそこの国はかなり排他的で入国できるか怪しい

 まあ強くなったら力技で何とかするかな


 「ゆえに、我が国の勇敢なる兵士のために力を貸して欲しい!!」


 そう言ってボルゴスは一瞬にやりとどこか粘着質な目を先生に向けた気がした

 こっちみんなバーカ


 「ではやれ!!」


 そういうと周りの兵士たち、もちろんボルゴス何かに仕えているのでロクなやつはいないが

 一斉に動き始め女性たちを捕まえ始めた


 「な、何するんですか!?」

 「やかましい我が国のためにその体を貸してもらうだけだ」


 前の方にいた女性の悲鳴に兵士はそう答えた

 なるほど英気を養うんですね・・・ハゲればいいのに

 先生が腕を引っ張ってきたのでそちらを向くと


 「いいハル、振り返らないですぐに孤児院に向かうの」


 真剣な目でこちらに目線を合わせながらそう言われた

 思い出した!このイベントで確か先生に目を付けた豚が三年越しで色々やらかす奴だ

 このイベントは先生が暴れてそれを何事かと見に来た辺境伯によりボルゴスに謹慎という罰が与えられて収束するものであるつまり別に先生じゃなくても目立てばそれで問題解決という比較的解決はしやすいものである

 ゲームでは先生が太陽魔法を使い兵士を無効化しながら幻想魔法で正体を隠して無双したけど腕の立つのが一人いて幻覚魔法を無効化されるみたいな感じ

 くそー!!外伝ではハルは同行していなかったから今日じゃないと思ってた

 既に原作とは違う動きしているからあんまりあてにならんが


 「まって!!」

 「ハル、お願いいい子だから言うこと聞いて」

 「いや」

 「ダメよ早く逃げてここはあぶないの」


 そんなに震えてるのに一人にできるわけないでしょ!!

 そりゃ怖いはな、先生の実力なら兵士を戦闘不能にするのなんか簡単やろうけどそのあとボルゴスのあほがどんな報復するのか元王女の先生ならわからんはずがない

 それでも困っている人のために戦おうとする先生はやっぱりオレの憧れの人だ


 「先生聞いて、多分目立てば辺境伯が来て事態を収拾してくれるはず、それにあの馬車の後方にいる魔法使いには気を付けて戦闘自体はあんまり強くないけど魔法を破壊するのが得意で先生の幻想魔法でもすぐに潰されると思うだから初めにあいつを仕留めて」

 「え!?なんでそんなこと・・・いやそれは後ねわかったはだからハルは行って」


 先生は困惑したような表情から一転して何か感じるところがあったのか一つ頷くともう一度だけ手を強く握るとこちらに背を向けて駆けだした


 「さて、じゃあ行きますか」


 さて思いもよらず森に行く絶好の機会に恵まれたわけなので

 先生は正直あの程度は赤子の手を捻るがごとくの実力者だし結局豚野郎に負けるのも子供達を人質に取られたからなのであんまり心配はない

 というわけでオレは森に行くぞー


***********************************************


 孤児院の近くにある森に来てみれば予想以上に近くで安全性どうなってるんだろうなっという疑問があるがそんなことはいい

 多分先生がたくさん狩ってるんだろう

 時間的にはどうせあの場に居たものは辺境伯に質問か何かされたりしたり先生は世話焼きなので泣いている人を慰めたりと忙しくなるので夕方くらい、あと6時間ぐらいは余裕なはず

 じゃまがんばりますか

 貧民街とか言われているが特に城壁などという贅沢な物はなく1メートルくらいの柵があるだけの緩すぎる警備を背に前に進む

 いいんだよ日陰にならないから洗濯物干しやすいし

 テクテクとゆっくり気配を消しながら歩くとゲームの時には聞こえなかった鳥や狼などの野生動物たちの声が聞こえてくる

 誰だよパオーンって鳴いたやつ・・・・

 今回のターゲットは主にゴブリンさん

 初心者時代に大変お世話になったキングオブ雑魚

 まあその前にステータスを確認するか

 ステータスオープン!!


Name  ハル=レッドフィールド

Age  5

Class 子供

Award 運命の子 (この称号を持つ者は幸福か不幸の両極端に偏る)

HP  17900/17900

MP  8000/8000

TP  43260/43260

STR 2200

DEF 860

INT 990

MID 1400

DEX 3300

SPD 4200

LUK 3

GEN UNKNOWN

Skill

 無限直感 (自分の危険を感知したり、問題の答えを導いたり無限の可能性がある)

 時空次元魔法Ⅰ

 限りなき憧憬 (尊敬する人のための行動にプラス補正)


 HP、MP、TPの人族の最高値は十万で神族は百万

 他のステータスの人族の最高は一万で神族は十万

 で評価は能力値一万と千ごとにI~Sまでされている

 まあ、あくまで能力的なものなので相当能力が離れているとかじゃないとまったく勝ち目のない事態とかはない

 さて、この能力ですがまあすさまじいの一言かなぁ~

 一般的な大人の平均ステータスがだいたいH評価くらい

 それをこの歳ですでにEに片足突っ込んでるとか理不尽すぎるは

 ちなみにこの裏ボス能力値に限界が無いもう一度言おう限界が無い

 才能に至っては測定できないとか・・・

 まあいいっす、とりあえず幸運低すぎるは!!

 なめとんか3って

 ちなみに先生もチートなので限界は百万飛んで一千万

 いってても始まらないのでとりあえず孤児院でかっぱっらて来た短剣を装備してゴブリンを探しに行く

 仮にも街の近くということだけあってあまりモンスターが居ない

 ゲームの時代この街は中々終盤に出てくるので少々強さ的な不安を持っていたがこの分ならなんとかなるかな

 油断しすぎないように気にしつつ通った道に印をつけて迷わないようにしたり起伏の多い道でこけて怪我しないように体は以外と正確に動いてくれる

 なんとなく右の方に行けばいい気がしているのでとってって音を殺すように向かっていく

 ビンゴ

 目標のゴブリン達がウサギ何かを捕まえて食べているところだった

 三匹か

 若干考える

 ゴブリンの情報は戦闘力の評価的にはHでまあ駆け出しの冒険者に乱獲されるのを見ればああ~もうすぐ冬だなぁーっと季節の風物詩的な扱いを受けている

 だから一対一ならステータス的には全然引けを取らない

 しかし中々連携とは厄介なもので結構痛い目を見たことも

 それに不安要素としてはやはりこの体

 戦うのに大人の体で慣れてしまっているので感覚の差で行動にミスが出たりしないかが心配

 さてはて、とはいいながらもタイムリミット3年で国と戦えるようになるためには無茶なんて当たり前でやらなくてはいけない

 三秒だけ目を閉じ開いた時にはすでに覚悟を決めていた

 決意が鈍らないうちに体を前に動かす

 こちらの一番近くに一人が背を向けて座りその前にウサギを囲むように二匹が居る

 理想は一対一を三回するのが安全性が高い

 先に拾っておいて石ころを左手に握りながら真っ直ぐ一番近くのゴブリンに接近する

 一撃では仕留められないことを理解しているので後ろから短剣をゴブリンの前に回し目の位置付近を切り裂く

 ギャギャ!!

 おそらく目にちょうど当たったんだろうゴブリンが悲鳴を上げながらうずくまる

 それだけ確認すると二匹の動きを察知

 弓兵を真っ先に潰したで遠距離攻撃の心配はないので少しだけ心に余裕ができる

 ロングソードを持ったゴブリンはオレに突進をして来て槍を持ったゴブリンは突進したゴブリンと45°

を保ちつつ槍を構えてオレの動きを待つ

 狙う相手間違えたかも・・・・

 よく見たら体格ちょっとちゃうやん!!

 あっさり奇襲に成功してイケると思ってけどこいつらソルジャーゴブリンか

 能力の評価値はGで集団になるとさらに上にFにまでいく中々厄介な相手

 とりあえず近くに来たゴブリンが剣を振り下ろしてくるので槍のゴブリンから見て剣のゴブリンを挟むように体を移動させる

 相手もそれは承知なのか既に槍のゴブリンも動き出している

 剣を避けられても体ごとタックルしてくるゴブリンにステータス的にスピードの差を遺憾なく発揮して距離を後ろに開けるように避ける

 すると同時にその行動は読まれていたのか槍が襲い掛かってくる

 それに対して左手の石を当たる事だけを考えて投げる

 当たりはしなかったが避けようとして一瞬行動が止まる

 そのタイミングを利用して剣を横凪に振ろうとしているゴブリンに強引に近づき左手で振られる前の勢いの乗っていない手を抑え込みその勢いのまま短剣を喉に突き立てる

 なかなかいい角度で入ったがこの程度でモンスターはしなない

 しかしほっとけばすぐに戦闘不能になる

 すぐにバックステップを行うぎりぎりで槍を回避すると槍ゴブリンから見て反時計回りに移動して二匹から距離を取る

 二匹もオレと距離を取って様子見を行う

 真横には目を押さえてうずくまっているゴブリンの武器があるが弓とか扱ったこともないので無視する

 ぶっつけ本番になるが楽な戦いなのでゲームにおいてハルのみが使える時空次元魔法を試してみる

 イメージは加速、時間を未来から引っ張るイメージ

 それが発動したのを感じた途端そのまま前に突き進む!!

 おそらくほんの一拍か二拍ほど動きが増加しただけだがこれは戦闘において大きな戦果を生む

 ロングソードのゴブリンを正面においてやはり槍のゴブリンは側面からこちらを狙ってくる

 振り上げた剣を振り下ろすゴブリンと自身に魔法を駆ける

 頭に少し頭痛を感じるが無視する

 相手の剣は二拍遅くオレの動きは二拍早くする

 合計四拍の動きの差が如実に表れる

 それに動揺し動きが鈍くなってしまうゴブリン

 いっきに先程攻撃した場所に重ねるように短剣を突っ込む

 今度は根元まで刺さり完全に絶命する

 後はステータスに物を言わせて槍のゴブリンを討伐し弓のゴブリンにとどめを刺す

 戦闘後の評価は上々だろう

 まだ力も弱いし動きも短剣にあまり慣れていないので微妙だが魔法の恩恵を受ければ高確率な安全を保ったゴブリン狩りを実施することができる

 戦えば戦うほどすさまじい成長が約束されているのですぐに次の獲物を探し始めた


***********************************************


 結構な数を討伐しステータスも数時間からだいぶ伸びたがまだまだ総合力はF程度と見るのが無難

 それでもこの年齢なら相当化け物だしスピードだけならDと判断してもいいかもしれない

 あまり激戦らしい激戦もなかったがボロボロになってしまった短剣を見る

 はぁ~疲れたかも

 とりあえず証拠隠滅のために短剣は森の入口あたりに隠しとこう

 さっさとその場を後にし心持ち早足を心がける

 結構奥ポイっな

 戦いに夢中であんま場所とかを考えていなかったのがあだとなった

 別に迷っているわけでもないのでえっちらおっちらと迷うことない帰り道

 今度はもう少し奥まで行ってダークウルフぐらい狩るかなっと計画を立てながらしっかり周りの気配を探ると

 ん?冒険者か

 声が聞こえたので好奇心からそこに向かって方向を修正する

 段々と近づいてくると中々楽しげな雰囲気であるのが感じられる

 悲鳴とかではないので人と人が争っているのではないだろうか

 見つかってもめんどいので低い身長をさらに低くしながら目的の現場に向かう

 川沿いの野営するのに適したような広めの空き地のような場所に8人くらいの人が居る

 耳を澄ませば会話が聞こえてくる


 「ねぇ、もうそろそろ帰らない?」

 「えぇ~もうちょっとだけいいじゃんか」

 「そうだよもう少し遊ぼうよ」


 こいつら孤児院の子供たちか

 こんなとこで子供だけで遊ぶと危ないぞ?

 お前はどうなんだって?ほっとけ

 どうするべきか

 多分あの子達ではソルジャーゴブリンに会えばワンパンK・Oだしビックホーンラビットでも怪我して動けないですみたいなことになりかねない

 ・・・・・・・しょうがないなぁ~今回だけだぞ

 この子たちが怪我をして一番悲しむのは先生なので陰から見守るくらいはしてあげようか

 別にあんたのためじゃないんだからね!!

 ほんとに君たちのためじゃないあたりに性格がでてるね

 それから見つからないように後ろからではなくちょうど姿が隠れる草が間に生えているので子供達と並走するように付いていく

 そっちは奥の方向ですよお兄さんがた

 言えるはずもなく来た道を逆走するような形になり若干後悔をする


 「お腹すいた」

 「そうだなもうそろそろ帰るか」

 「そうね、それがいいは!!」


 皆、お腹が空いたし歩き疲れたのは来た道を最初より口数少なめで引き返す

 オレがゴブリン達を狩りまくったのが良かったのか特にモンスターも出ることなく帰れるかと安堵のため息をついたのもつかぬま・・・


 「キャァァーーーー!!」

 「あ、あれなんだ!!」

 「オークだオークが出たぞ!!」

 「誰か助けて」


 だと思ったよチクショウ!!

 そりゃ出るはなだってここ森の奥の方だし

 あ~もーあと二時間くらいで先生が帰ってくるのに

 あくまで予想だけど

 心で盛大に愚痴りながら武器を握り直してオークの方向に向かう

 オークの能力の評価値はほぼFといってもいいだろうオレと評価的には変わらないので油断すれば負けるかもそこらへんは実力でカバーするしかないな

 子供たちが道を引き返すように固まって逃げてしまったのでオークは行動に迷いが無くまっすぐ子供たちに接近する


 「セイッ!!」


 横から人間が突然現れて一瞬動きの止まったオークの足のあたりを狙って短剣で攻撃

 太腿あたりを切られて中々痛かったのかこちらに憎悪の目線を向ける

 子供たちがこっちを振り向いて叫んでくる


 「お、おい大丈夫か早く逃げろ!!」


 状況見てみん♪

 オークの動きは中々隙が無いしリーチの差がすさまじいことになっている中返事するのも難しい

 防戦一方とまではいかないが合間合間に突き刺す攻撃も相手をひるます程度の効果しか見えない


 「いいから逃げろ!!」

 「そ、そんな自分より小さな子を置いていけるわけないでしょ!!」


 あっぶな!!

 今かすったよねぇかすったよ!?

 後ろの子供たちにターゲットがいかないように危ないながらも合間合間で攻撃を捻じ込まないといけないこの状況がオレの焦りを加速するし体が子供なのでどこかいつもの動きを再現しようとするとずれが生じてやりにくいことこの上ない

 だからオレは叫ぶ


 「足手まといはいらない!!」


 これ言われると反発するかも知れないけど変な自信で魔法とか使われてオレに当たったりするのが一番怖いので早く退散願う


 「大人を呼んでくるからそれまで耐えろ!!」


 ナイス判断だ!!

 声的にこの前オレに絡んできた10歳くらいの男の子が冷静な判断を下し他の子達を連れて離脱していく

 もちろんそれを良しとするはずのないオークは食べにくい餌より食べやすい餌を優先した

 またオレの攻撃がそこまで強くないことを理解したのか一人少し遅れている赤毛の9歳くらいの女の子に狙いを定め突進する


 「行かせるか!!」


 攻撃の後避けることを前提にそこまで前に重心を載せていなかったが今回は捨身で行く

 魔法を発動し自分と相手に駆けるとあの時のように頭痛が頭を苛む

 そんなことは気にしてられずアキレス健は固くて弾かれるので膝の関節を狙て連撃を仕掛ける

 一撃目に水平に剣を振りそのまま二連撃目に最初の回転のまま左手を叩きこむ当然その程度ではとまらないがスピードはガクンと落ちたのでこれであの子も逃げ切れるかと思ったが

 オークの方が動いたので多分棍棒を投擲する気なんだろう

 あ~もう

 自分に加速をオークと女の子に減速の魔法を駆けると鼻血が出てきた

 頭いてぇーー!

 女の子の背後に一気に走り寄り後ろから思いっきり抱き着く

 女の子が体をビックとさせるが構っている暇はないのでそのまま体を横にずらす

 体格差的に非常に苦労したがステータスのSTR評価Eはだてではないのか女の子を棍棒の間からのかせることができた


 「グェッ!?」

 「えっ?」


 女の子の目の前で棍棒がオレの体にめり込む

 やばい!!

 女の子以外の子供は全員もう遠くに逃げているがこの子はオレの方を見て泣き出してしまう

 オークは既に勝利を確信したのかゆっくりとこちらの恐怖を煽るように近づいてくる

 あ~もうダメっぽいな

 肺に骨が刺さって息もしづらいし体が上手いこと動かん

 せめて女の子だけはと覆いかぶさるように抱きすくめると女の子は泣きながら笑うという中々高度な事をしている


 「ごめんね助けられなくて」


 本当に申し訳ないその気持ちを込めて謝罪すると

 女の子はただ頷いて強く抱きしめてきた

 最後に先生、命を助けてもらってありがとうございました恩返しはできないのが唯一の心残りです

 そこでオレの意識は途切れた


***********************************************


 「・・・・・・・・・・・・・・・・生きてるか」


 おそらく先生の太陽魔法で治療してくれたんだろうか特に体に不調はない

 夜中なのか窓から入る月の光だけがこの部屋を照らしていた

 横を向くと先生が枕元に座ってこちらを見下ろしていた


 「ハルなんでこんなことしたの」


 こんなこと

 勝手に森に入ったことだろうかそれとも無茶して怪我をしたことだろうか

 おそらくどっちもではあるな


 「心配かけてごめんなさい」

 「ええ、ものすごく心配したは私が付いた時にはあなたがアリスを護るように抱きしめていて両足が無かったのよ」

 「・・・・」


 あんの豚野郎!!確実にアリスちゃん?を怖がらすためにオレで遊びやがったな

 絶滅させてやろうかまったく

 煮えたぎるような怒りは先生の顔を見た途端に霧散した

 泣いていた

 ゲーム時代例え火炙りにされた時でさえハルを怖がらせないように笑っていた先生を泣かしてしまった


 「え、えっと」

 「バカ」


 どうしていいかわからずに俯くオレを先生はその存在を確かめるように強く強く抱きしめる

 まるでどこかに行くのを怖がっているようだ


 「あなたが強いのも知ってるは、魔力も戦闘技術も普通に冒険者としてやっていけそうなのも知ってるはでもねあなたは私の子供なのお願いだから危ないことしないで」


 愛されているんだということが痛いほどわかる

 叱るわけでもなくひたすら悲しみながら懇願されると心が痛い

 でも


 「先生聞いて」

 「うん」

 「今回心配かけたのは本当に悪いと思っています」

 「うん」

 「だから次からは怪我をしないように気をつけます」

 「違うでしょ!!」


 先生は鼻声になりながら言い募る


 「お願いだから危ないことはしないで誰かが居なくなるなんて嫌!!」


 そんな悲しそうな声をだされると心が悲鳴を上げてしまうがここで引くわけにはいかない


 「多分今回と同じようなことはまたすると思う」

 「バカなこといはないで!!あなたはまだ子供なの!!だから危ないことなんてして私を心配させないで!!」

 「ごめんなさい、約束はできないです」

 「どうして」


 全部伝わるように思いを込める


 「きっとこれから先に大きな波が来ると思うんです」

 「・・・・」


 オレの特殊な能力を考慮しているのかそれとも先生は先生で何か予兆を察知しているのか続きを泣きながら促す


 「その波がすべてを飲み込んでたくさん死ぬと思いますここの子供たちはもちろん先生さえも」

 「・・・・」

 「そんな無茶苦茶な物を壊すのには力が必要なんです!!」

 「・・・・」

 「先生を護りたいんです!!だからお願いします、オレが鍛えるのを認めて欲しいんです!!」


 先生はすごく悲しそうな声でこういった


 「私はそんなに頼りない」

 「そんなことないです!!」

 「じゃあ何で私を護るためにハルが怪我をするほど危険な目をしなきゃいけないの!!」

 「それでも、それでも絶対に強くなって先生を護る!!」


 理屈何てクソ喰らえきっと感情論のぶつかり合い

 言い募る言葉に絶対にオレが意見を曲げないと感じたのか先生はこちらの目を見据えながら言う


 「わかったは、あなたが修行するのも認めます」

 「ほんとに!!」

 「ただし必ず私の前でやることまた私がやめなさいと言ったことは止めることこれを護れますか?」

 「はい、守ります」

 「そう、なら許すは」

 「ありがとう先生」


 先生はまだどこか納得のいかない顔をしているがもう言質は問ったのでこっちのもの

 ヒャッハ―無双してやるぜーー!!

 一人心の中で狂喜乱舞していると

 先生が少し改まった表情を浮かべてこちらを向く


 「えっとねハル」

 「はい何ですか?」

 「その護ってくれるって言ってくれたのすごく嬉しかったよ」


 ・・・・・・・・・・・・・

 頬を染めて一生懸命恥ずかしそうにお礼を言う先生の姿が可愛すぎて困る


 「今日はもう寝ましょう!!」


 照れ隠しのようにいつも通りオレの横に寝転がりながら抱きしめてくる

 う~ん6番目くらいかな

 少しだけ先生に気持ちが届いた気がしてただ幸福な気持ちで眠った

 この後に待ち受ける荒波が予想を超えているともしらずに今はただ当たり前の幸せを噛みしめて月の優しい光に抱かれながら 

 アリスちゃんはヒロインにするべきかいなか・・・

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