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困惑、そして疑惑

賊のアジトとは思えないほど静かな場所ではあるがここで間違っていないようだ。ねねから借りた地図を頼りに進むと洞窟のような場所が見えた、入口に見張りが居る事を考えると当たりのようだな

最初に周囲を確認したが入口は一箇所だった。正面から入るしかないか・・・。死角からなるべく距離を詰めて一瞬で見張りを倒し中を確認すると中は薄暗いが奥行がある事が確認できた。周辺の警戒を強めながら洞窟を進んでいくと直ぐに分かれ道があった、仕方がないので先ずは左の道を進むことにした。

しかしもう片方は後で調べるとしても、ここまで誰とも遭遇しないのは少し違和感を覚える。多方面作戦が決行されているとしても本拠地の守りがここまで薄いのは考えにくい、あるとしたら誘い出す為の罠だったという可能性だが恐らく違うはずだ。囮にしては盛大すぎるし、罠を用意してまで打ち取りたい部隊がいるとは思えない。軍隊同士の戦闘ではなく賊相手であるのも一つの要因だ、だとすれば本当に守りを捨てたのだろうか?入口に見張りがいた事を考えるとこの場所を破棄した事はないとは思うが・・・。それに詠の見立てた人数に対してこの場所の大きさでは間違いなく収容しきれないはず、そこも気になる

何れにしても状況が掴めないままだ。未だに人の気配も殺気も感じない、兎に角進むしかないか



暫く進んだ場所で人の気配を感じた。気配を消して近付くと松明に照らされて牢獄のような場所が見えた。入口では監視の為に残ったのであろう男が二人ほど会話をしていたので聞こえる距離まで近付いてみる


「親分達はうまくやってるかね?」

「まあこいつの作戦通りに行ってるなら大漁なはずだろ。なあ?」

「ああ、私は間違ったことは言っていないよ」

「ふん・・・どうせテメェも直ぐに売りさばくんだがな」


男達と話していたのはどうやら捕虜の女性の様だが作戦とは今起こっている戦闘の事だろうか?それも気になるところだが奥には何人かの女性が囚われている様だ。

これくらいなら何とか出来そう・・・か?

呑気に考えている暇は無い、とりあえずアイツ等を斬ってあの女に話を聞いてみよう。アイツだけは他の奴とは違うようだ


「おや?」

「あん?なんか言ったか?」

「ふふっ・・・いや。もしかしたら、と期待している自分がいるんだ。私も自分を中々に乙女だと思うよ」

「はあ?」

「まあ死にゆく諸君には関係ない話だがね」

「ああん?・・・ぐわっ!!」

「おい!?・・・うう・・・」


男達が牢の中を見た一瞬で二人を斬り捨てる。しかしオレに気が付いていたのか・・・?


「よし・・・とりあえず協力には感謝するよ」

「ああ、気にしないでくれ。君は私の言葉が読み取れたからここに来たのかな?」

「はあ?なんだそれ?」

「おっと言葉が足りなかったな。恥ずかしながら私も興奮しているようだ、許して欲しい」

「まあ話は後で聞くからよ、とりあえずここを出るか」

「残念だがこの鍵を持っているのは彼らの長らしいんだ。いつもは違うんだが今日は長が持って行ってしまったようだ、ここだけは私も読み違えてしまってね」

「鍵なんていらん。下がってろ」


女達を奥に下がらせた後、牢の鍵を斬った。まあこれくらいなら朝飯前だ


「すごいね君は。鉄でも関係なく切ってしまうのかな?」

「まあ弛まぬ鍛錬の成果だな。とりあえずここを脱出しようと思うんだがお前ら皆歩けるか?」

「縄を切ってくれればね。でも誰かも分からない人とは一緒に歩けないかな」

「そういえば名乗ってなかったか、オレは沖田という。今は董卓殿の下で動いている、客将だがな」

「やはり董卓軍の将だったんだね。流石と言ったところか」

「まあいい。とりあえず見つかる前に脱出するぞ。他に捕虜はいないな?」

「ああ、ここ以外には牢は無いと言っていたよ」

「よし、縄を切るから少し待っててくれ」


全部で7人か。兎に角、縄を切って直ぐに脱出する事にした。オレが先頭を勤め、警戒しながら進んでいく。往復しても賊に遭遇しない事がオレを不安にさせたのだが会話していた女は不安の一切ない晴れ渡った顔をしている。こいつを信頼していいのかよくわからないが大丈夫なのだろうか?


「ふふっ・・・君は不安そうな顔をしているがここからは襲撃されることはないよ。断言してもいい」

「なんで言い切れるんだ?」

「この状況を作り出したのは私だからね。おっと、実は黒幕だったとかではないよ?私は捕虜で間違いない」

「尚更わからん」

「まあ安心してくれ。詳しくは安全なところに帰ってからゆっくりと話そうじゃないか。私も聞きたいことが有るからね」





この女の言った通り、街に帰るまで一切の危険は無かった。腑に落ちないが先に報告をしなければ、オレは独断先行した訳だし


「アンタ一体何考えてんのよ!!一人で行くなんて正気!?」

「あの状況なら直ぐに隣の部隊と合流したいところだろ?ならオレ一人で行って部隊は援軍に送るのが良いと思っただけだよ。恋と同じでオレも一人ならある程度はどうにでもなるし」

「間違ってないけどそんなの認めるわけ無いじゃない!!目標はあくまで近隣の安全確保であって敵の本拠地の制圧ではないのよ?」

「まあ悪かったよ。次はしないよ」

「ええやんかもう。宗ちゃんも反省しとるみたいやし」

「どこがよ!!まあいいわ・・・。とりあえず捕らえられていた子達は皆責任もって送り届ける様に言っといたけど一人だけここに残るって子がいたわよ。アンタに話があるそうで」

「ああ、心当たりがある」

「まあいいわ。今回はこれぐらいで許してあげる」


結果から言うと無事に勝利。皆無事に帰還できた。敵の親玉も打ち取れたみたいだし賊も殲滅できたそうな。

でも帰ってきた時には玲に思いっきり怒られた。報告の為に門番に取り次いでもらって中に入ると即、玲にダイブされた。その後すごい勢いで怒られた、お願いだから無茶はしないでくれって泣きつかれた。ちょっと可愛いと思ったのは秘密だ




会議が終わって自由時間になったので時間を貰ってある宿屋に向かう。そこでオレを待ってる人がいると聞いた。まあ検討はついているがな・・・


「やあ、待っていたよ」

「まあそうなるよなあ・・・」

「・・・?」


オレを混乱させた女がオレを待っていた


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