第五話 エルフと言ったら貧乳美少女だろう。男はお呼びで無い。美少女を出せ!美少年でも可
2014/5/9 話結合
「どうか姫をお救い下さい!」
コイツらは初対面の俺に何をいっているんだ?
エルフたちはイブに叩きのされると態度を一転させた。
イブに叩きのめされたというのは誤字ではない。
あれから一年がたった。
俺の愛情を一身に受けたイブは立派に育ち、見た目は15歳くらいに成長していた。
もうとっくに私を抜かしてしまった。
このスピードで成長したらあっという間におばあちゃんになってしまうのではと思ったが何故成長は15歳程で止まってしまった。
「姉様。どうする」
まだ、子どもっぽく甘えん坊だが成長と共に滑舌も滑らかになった。
その為、当初の目的通り姉様と呼ばせている。
すみません、反省はしてます。
だが……、やるぜ!俺は!!
「パス」
いきなり襲ってきておいて頼みごととは御門違いでは無いだろうか?
まず謝罪するのが筋というモノではないか?
「貴様には聞いていない!ガキは黙っていろ」
ほっほぅ?
だが私は温厚だ。
相手が盗賊でない限り知的生命体なら極力手出しはしない。
確かに聞いていたのはイブにだ。
口を出すべきじゃ無かったな。
「姉様?」
「イブが助けたいと思うなら、そうするといいよ」
俺は優しく微笑みイブの頭を撫でながら言った。
それに合わせエルフ達は期待にイブを見上げる。
「じゃあ姉様と一緒。パス」
「だ、そうだ。残念だったな!」
「そ、そんな」
フハハハハ!!!
イブはお姉ちゃん大好きっ子だ。
俺の意見に反するワケないじゃないか!ブワァアァァカ!!
一瞬折れそうな雰囲気を出して突き落としてやったわ!!
俺は今、最高にイヤな顔をしているだろう。
もし俺がそんな顔をされたら何もかも忘れて殴りかかるかもしれない。
だが、そんなこと関係ない。
大変に気分がよい。
「お、お待ちください!」
男は私の足にすがり付く。
俺は無視して蹴り飛ばそうかと思ったが。
そんなことしたら死んでしまう。
「………先ずは、謝罪からでは無いですか?…………話はそれからです」
勝利の余韻もあってか冷静になった俺は大人な態度を示した。
これでダメなら他をあたれ。
面倒事は御免だ。
「………申し訳、ありませんでした」
言葉を噛み締めながら謝罪するエルフの若者。
そんなに謝るのがイヤかね?
ま、いいや。
※
エルフと人間は100年以上紛争状態らしい。
そんなこと初耳だが、それなら襲われるのも致し方ない。
そこまでは分かる。
納得は出来ないが理解は出来る。
だが、いくら俺達の腕がたとうと発見次第攻撃を仕掛けるような仇敵にモノを頼むというのはどういうことだろうか。
「姫を拐ったのは人間だ。私たちでは人間の領土に入る事すら難しいのだ。
お前は襲った我等を無力化するのみで殺さなかった。敵意があるなら殺しているだろう。故に敵意が無いと判断したのだ。
本来、人間などに頼むなどもっての他だか背に腹は変えられん。姫の奪還をして欲しい」
喧嘩売っているのか。
売ってはいないのだろうなぁ。
きっと彼らは素直なのだ。
人間と戦争になるのも分かる。
取り合えず概ね事情は分かった。
だが面倒臭すぎる。
何のためにわざわざ一年もかけてここまで来たと思っているのだ。
藪を避けて歩いたら棒に当たってしまった。
なんだこれは。
よくRPGゲームであるアレか?
この先は橋が落ちて進めません、正規ルートをお進み下さいか?
ここは、適当に言い繕ってバックレるのが吉だな。
もし、何か言われても私たちには荷が重すぎたとか適当に言えばいい。
「事情は分かりました、お任せ下さい」
「おぉ!引き受けてくれるのか。ありがとう」
………………。
まぁ。
機会があったら助けるよ。
※
というわけで、リターントゥガナ王国だ。
『ガナ王国』が何処かって?
俺達が最初にいた国だ。
戻るのは面倒だが、人間の我々はエルキアに居ても歓迎されないだろう。
あ、俺はスライムだった。
この世界は地球のように国境付近でギスギスしているワケではない。
寧ろ国境際は緩い感じだ。
土地は沢山あるしな。
なら、何故争っているのか。
理由は簡単だ。
人間にとってエルフの利用価値は高いからだ。
全ての人間ががそうというワケでは無いが人間の業というものは深いな。
人間、エルフ、魔族、獣人、龍人、ドワーフ、妖精族など様々な種族が存在するが奴隷制なんてモノがあるのは人間だけみたいだし。
元々エルフという種族は領土という意識は低い。
ただそこに密かに住み自然と共存するのだ。
故に100年もそんな種族と紛争を続けている人間の業の深さがお分かりだろう。
ふふ、一年何もしていなかったワケでは無いのさ。
ちゃんとやることはやっているのだ。
まぁ、今言った内容は昨日調べた事だが。
『ウワァァアァアァ!!』
「姉様!」
「ん、聞こえた」
森の奥から叫び声が木霊する。
慎重に接近すると馬車が見えた。
魔物に襲われて居るらしい。
シルバーウルフの群れだ。
C級の魔物だがその連帯から冒険者たちに忌み嫌われている。
それを冒険者らしき人たちが必死に戦っている。
一人、負傷者もいる。
しかし、人間か。
ここはまだ一応エルフの領土なのだ。
胡散臭い臭いしかしない。
だけど、あの馬車は欲しいな。
「イブいける?」
「ん」
イブは、スッと前に出た。
訓練の成果もあってイブの冒険者ランクはBだ。
元々の才能もあるのだろうが、技のキレがパネェのだ。
様々なモノから技を吸収して自分の中で昇華させていく。
俺は異世界の葉問と心の中で呼んでいる。
それに相まって魔力量が人間離れしているらしい。
何でだろうね?
私を越える日もそう遠く無いだろう。
因みに私のランクはEだ。
暇なとき薬草収集でコツコツ上げた。
イブは接近様に吹き矢を打っていく。
俺がプレゼントしたものだ。
ふっ、俺には意味のない物だからな。
矢の当たった何体かのシルバーウルフの動きが鈍った。
あの矢には麻痺毒が仕込まれているのだ。
地面スレスレにまで姿勢を低くして旋回しながらシルバーウルフに近づく。
群れの端にいたシルバーウルフに接近すると糸を絡ませて無力化させる。
イブは優しい子なので敵であっても余り殺す事はない。
育て方が良かったのだろう(ドヤァ。
糸も俺があげたモノだ。
俺の身体で作った特別製だ。
やっとイブに気付いたシルバーウルフはイブに襲いかかる。
イブは確かに優しい。
だが判断を誤る事はない。
くるりと避けるとその動作の余力で曲剣を抜刀し二体のシルバーウルフの喉元を正確に切り裂く。
残りは三匹。
イブは他の冒険者らしき人に襲いかかっていた一体に剣を投げ仕留める。
飛び掛かってきた一体に敢えて距離を詰めシルバーウルフの胸元に掌底らしきモノをたたき込んだ。
シルバーウルフはその場に沈むと動かなくなった。
原理は分からないけど、凄い威力だ。
俺は武道家じゃないんだ。
深くは突っ込まないでくれ。
最後の一匹を睨み付けると睨まれたシルバーウルフは痺れていたシルバーウルフと逃げていった。
「あ、ありがとう」
「………」
リーダらしき男が礼を言うがイブは答えない。
曲剣をシルバーウルフから抜くと血糊を払い、刀身を無言で鞘に収めた。
パーティの援護職らしき女の子がぽぉっと顔を紅く染めイブを見詰めている。
惚れたか?
「ほ、本当に助かりました。名前をうかがっても?」
「………」
尚も男(リーダ)は挑戦をするが、イブはジイッと見つめ返すのみで答えない。
イブさん、マジクール。
このままでも埒があかないので俺は彼らに近づいていった。
「姉様」
俺の出てきた気配に気付いたのかイブは振り向くと俺に寄ってくる。
他の人には分からないと思うけど俺にはわかる。
褒めて欲しそうな顔だ。
具体的に言うと「私、凄く頑張ったの。べ、べつに撫でて貰ってもいいんだからね」という感じた。
「ん。お疲れさま」
私は微笑みながらイブの頭を撫でると彼らに向き直った。
どうでもいい事だがが自分より背が高い人を撫でていると不恰好だな。
いや、逆に微笑ましいか!
「始めまして。私たちは冒険者ですが貴殿方もそう認識しても?」
「あ、あぁ。俺達も冒険者だ。俺の名前はジョニー・フォスター。冒険者ランクはC。パーティランクはDだ。商人の馬車の護衛をしていたところ襲われたんだ。助かったよ」
聞いてもいないことをペラペラと話す男。
だがまず聞かなければ成らない事がある。
ここはエルキア。
人間と100年争いを続けるエルフの領土だ。
そんなところに商人が来る理由など多くは無い。
「積み荷の中を聞いてもいいですか?」
「あ、ん、いや、悪いな。俺たちも知らないんだ。積み荷の中を聞かない事まで依頼内容に入っていたからさ」
怪しすぎる。
そんな依頼など私なら絶対に受けない。
「おい、いつまでかかるんだ!!終わったなら早くしろ!!!」
俺達がそうして話していると中から太ったおっさんが現れて喚き始めた。
ひでぶっ、と言わせたいが後にしよう。
「イブ」
「ん」
※
【イブのステータス】
》総合能力A級
冒険者ランクB
》外見
15歳ほどの少女
身長:165cm
髪は白銀色に腰まで下ろしたポニーテール
》スキル
学習 『高い集中力で周囲の情報から学習し自分のモノ とする』
》持ち物
ミルが作ったメイド服
刀
吹き矢
弓
糸
その他
》所持金『0G』(ミルに全て渡してしまっているため)
依頼が更新されました。
【エルフの姫を救え】
エルフの姫の居場所をつきとめ、奴隷商人に捕らわれた姫を救い出せ。
》成功条件
ハイエルフ『アリア』の奪還及び『エルキア』までの護送。
》失敗条件
『アリア』の死亡。
》サブミッション
>『アリア』が処女のまま奪還。
>『アリア』との新密度を高める。
>人間と敵対値0のままクリア。