第二話 服を探す少女
2014/5/9 話結合
不味いことがある。
これは直ちに改善しなくては成らないだろう。
俺は今服を着ていない。
つまりはどうゆう事か。
俺が変形したのは初恋の女の子だ。
俺の初恋は小学校の時、つまり相手は小学生の女の子だ。
と言うことは俺が変形したのは小学生の女の子。
小学生の女の子が裸で森を徘徊しているのだ。
背徳的な匂いがする。
体の一部を服に変形させれば良かったのだがその時の俺はその事に気が付かなかった。
嘘ではない。
可愛い自分を客観的に見れるからと言って楽しんでいるわけでは断じて無いのだ。
故に早急に服を探す必用がある。
裸で人里に行くわけにはいかないからな。
だが人里に行かずしてどのように服を手にいれるというのか。
まぁ兎に角歩くか。
幸い時間だけはある。
急ぐ必要はない。
※
そんなこんなで3日程散歩していると人の形跡があった。
洞窟に扉。
宝でもありそうな雰囲気。
扉をぶち壊し、中に入ると洞窟は奥まで続いていた。
奥に行くと、武器などを保管している空間についた。
悪いとは思ったがいくつか拝借しよう。
怒られたら後でお金を払えば問題ないだろう。
たぶん。
シンプルなローブを着る。
大人用なので袖が多く余り裾も引きずってしまう。
裸にローブとかレベルが上がった気がするが、まぁいいだろう。
それから………、こ、これは!!
スニーキングゲーム愛好家であった俺の触指をくすぐるアイテム。
吹き矢に短剣、弓矢。
ありがたく貰おう。
さて、そろそろおいとまをするか。
「な、なんだお前は!」
なんだお前は?
それはこっちの台詞だ。
洞窟に付いていた扉をぶち壊し中に無断で入ってアイテムを物色していたらいきなり人が表れたのだ。
……よくよく考えたら俺の台詞でも無いな。
仕方がないので自己紹介する。
お手紙は書かないよ?
「あちしミルっち。お前ゲロ犬」
「なんだと!」
俺がそう言うと男が襲いかかってきた。
野蛮なお人だ。
ははーん。
さては奴は盗賊だな。
ならば倒すのみ。
「悪即断!」
俺は手刀を降り下ろすと盗賊を真っ二つにした。
驚いたことに人形になると体当たり以外の攻撃も可能のようだ。
さて、長居は無用だ。
服も手に入れた事だし人里に向かうか。
と思ったら奥から人の気配がした。
盗賊の仲間だろうか。
そう思い近付いて見るとそれは人間の赤ん坊だった。
盗賊が拐ったのだろうか?
ここに置いといたらいずれ餓死してしまうかもしれない。
連れていくか。
そう思った私はベビーキャリーの中に赤ん坊を入れ背負った。
裸にローブ。
その上、赤ちゃんを背負う小学生の女の子。
大丈夫だ。
まだ、いける。
※
困ってしまった。
赤ちゃんが泣き止まない。
たぶん、お腹が空いたのだろう。
残念ながら俺からおっぱいは出ない。
小学生だからとか妊娠してないからとかそう言う問題ではなくてそもそも俺はスライムだ。
いくら俺が万能スライムと言えど出るモノと出ないモノがある。
おっぱいは後者だ。
どうするか。
俺の体の一部を栄養体として与えてみるか。
自分では食べたことは無いが毒では無いはずだ。
それに俺は半液体素材だからきっと赤ちゃんでも食べられるだろう。
俺は赤ちゃんに指をくわえさせる。
おぉ、吸ってる!
自分自身が食べられるというのは二度の人生で初めての経験だけど何て言うかアレだ。
うん、アレだな。
満足したのか吸い終わると赤ちゃんは指から口を放した。
清々しい表情を見るに大丈夫のようだ。
一時はどうなることかと思ったがなんとかなったな。
暫く撫でてると赤ちゃんは寝てしまったようだ。
「ふぅ。俺を食べるんだ。立派に育てよ」