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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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92.ごほうびパンケーキ&プリン

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 騒がしい連中とはおさらばだ!


 ラディアスさんと軍の部隊、そしてドナドナされていったきらりんは、別のルートで護送車に乗って帰っていった。

 私たちは、その隊列とは距離を置き、マイペースにキャンピーを走らせている。


「ありがとね、キャンピ~。帰りも運転任せちゃって」


 ポンッ。

 カーナビの画面が変わる。


 【(`・ω・´)まかせろー


 うーん、これは有能……。

 ふと、私は思った。


 あれ……?

 今回私、ほぼ何もしてなくない……?


 い、いや、そんなこと……ない……よね?

 振り返ってみよう。


 魔蟲の大群を追い払ったのは……キャンピー(と蚊取り線香)。

 神樹を治療したのは……キャンピー(のウォッシャー液)。

 ボスの女魔王蜂クイーン・デモン・ビーを倒したのは……テンコ(とキャンピーのプレス)。


「…………」


 あ、あれぇえ!?

 わ、私マジで何もやってなくない!?

 ついてっただけ!?

 ハンドル握ってただけ!?


 あれぇええ!?

 ど、読者ももしかして、そう思ってる?

 私が、キャンピングカーの付属部品だって!?

 そんなまさか!


『まぁま、どちたのー?』


 膝の上に座っていたソーちゃんが、不思議そうに私を見上げる。

 そ、ソーちゃんもほら、何もしてないからっ!

 なお赤ちゃん……。


「なんでもないよー。ママは役立たずじゃあないよー。ね?」

『? まぁまは、やくたたずじゃあ、ないよー』


 イエス!

 ……赤子に言わせて、自尊心を保つ女とか言わないで……!


 さて……気を取り直そう。

 車内は静寂と、平和な空気に満ちている。


「ふぅ。やっと一息つけたね」

『ええ。あの喧しい女がいなくなり、空気が浄化された気分です』


 テンコが後部座席で伸びをする。

 ソーちゃんも、私の膝上でウトウトと船を漕いでいる。

 激戦(主に物理)と、その後の修羅場(主にきらりん)で、みんなお疲れモードだ。


「さて、と。あとはよろしくキャンピー」


 プップ~♪


 私は運転席から立ち上がり、後ろへ移動する。


「邪魔者もいなくなったし、約束を果たしますか」

『約束……!』


 テンコの狐耳がピクリと反応する。

 黄金の瞳が、期待に輝いた。


『まさか、例の……!』

「もちろん。今回は頑張ったテンコへのご褒美だもん。特大の『プリン』を作るよ」

『むふー! プリン! 妾、プリン所望します!』


 テンコの尻尾がパタパタと左右に揺れる。

 扇風機代わりになりそうな勢いだ。


「それだけじゃないよ。せっかく『極上の蜂蜜』が手に入ったんだからね。ついでに『パンケーキ』も焼いちゃおう」

『ぱんけーき!』


 寝ていたはずのソーちゃんが、ガバッと起きた。

 現金な子たちだ。


 私はキッチンに立つ。

 今回の主役は、もちろんこれだ。


 テーブルの上に置かれた瓶。

 中には、黄金色に輝くドロリとした液体が入っている。

 【女魔王蜂の極上ロイヤルゼリー】。

 女王蜂が美容と健康のために貯め込んでいた、最高級の蜜だ。

 蓋を開けた瞬間、濃厚な花の香りが車内に広がった。


「いい匂い……! これだけでデザートになりそうです」

「こいつを贅沢に使ってやろうじゃないの」


 私はKAmizonで取り寄せた最高級の卵と牛乳を取り出す。


 まずはプリンだ。

 砂糖の代わりに、ロイヤルゼリーをたっぷりと混ぜ込む。

 卵液を濾して、滑らかにする。

 蒸し器に入れて、弱火でじっくりと熱を通す。


 その間に、パンケーキの準備だ。

 卵白を泡立て、ツノが立つまでしっかりとメレンゲを作る。

 これがフワフワの秘訣だ。

 生地をフライパンに落とす。


 ジュゥゥ……。


 バターの焦げる香ばしい音と香りが立ち上る。

 蓋をして蒸し焼きにすること数分。

 生地がふっくらと膨らみ、倍くらいの厚さになった。


「よし、完成!」


 私は皿に盛り付ける。

 プルプルのカスタードプリン。

 そして、赤ちゃんのほっぺのように柔らかい厚焼きパンケーキ。

 仕上げに、追いロイヤルゼリーをトロリとかける。


 黄金の滝が、パンケーキの山を流れ落ちていく。


『ごくり……』


 私はリビングスペースへ運ぶ。

 テンコ、そしてソーちゃんが、待ちきれない様子でテーブルにかじりついている。

 二人の視線が、皿に釘付けになっている。


「はい、おまたせ。召し上がれ」

『い、いただきます!』

『たべりゅー!』


 テンコがおっかなびっくり、スプーンをプリンに入れる。

 スプーンの重みだけで沈んでいくほどの柔らかさだ。

 黄色い宝石を掬い上げ、口へと運ぶ。


『んっ……!』


 テンコが目を見開いた。


『……とろけます……!』


 彼女は頬に手を当て、うっとりと目を細める。


『これは……美味!』


 テンコの尻尾が、ブンブンと高速回転を始めた。

 喜びのあまり、浮き上がりそうだ。


『甘くて、美味! フワフワ……美味! フワフワのアマアマで……美味!』


 うん、今日もテンコさんの語彙力が大爆発している。

 美味しすぎて知能指数が下がっているようだ。


 一方のソーちゃんは、パンケーキにかぶりついている。


『ふあふあー! あまーい!』


 ナイフなどいらない。

 唇で挟むだけで切れるほど、生地はフワフワだ。

 ソーちゃんの口の周りが、蜂蜜でベタベタになっている。

 幸せそうな顔だ。


「私もいただこうかな」


 私もパンケーキを切り、口に放り込む。

 ……美味い。

 噛んだ瞬間、シュワリと溶けるメレンゲの食感。

 そこにロイヤルゼリーの濃厚な滋養が染み渡る。

 ただ甘いだけじゃない。

 体の芯から力が湧いてくるような、パワフルな味だ。

 さすが魔蟲の女王のエネルギー源だ。

 疲れた体に染みる。


「ふぅ。最高だね」


 窓の外を流れる森の景色を眺めながら、極上のスイーツタイム。

 これぞキャンピングカー旅の醍醐味だ。


 しばらくして、完食したテンコが顔を上げた。


『スミコ、おかわりは……』

「うわっ! まぶしっ!?」


 私は思わず目を覆った。

 テンコが発光している。

 いや、正確には、彼女の金色の毛並みが、異常なほどツヤツヤになり、光を反射して輝いているのだ。


『な、何事ですか!?』

「テンコ、鏡見てみなよ。LED照明みたいになってるよ」


 どうやらロイヤルゼリーの美容効果が凄まじすぎて、即効で表れたらしい。

 神獣の毛並みが、神々しいレベルまでランクアップしている。


『あらやだ……お肌もプルプルです。凄いですスミコ! これなら毎日食べたいです!』

「毎日は無理かな。鼻血出るよ」


 ピカピカに輝くテンコと、お腹いっぱいで満足げなソーちゃん。

 そんな二人を乗せて、キャンピーは軽快に走る。

 サラディアスの街は、もうすぐそこだ。

【お知らせ】

※1/22(木)


新連載、スタートしました!


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― 新着の感想 ―
ロイヤルゼリーと蜂蜜が混同されているのが気になる
ロイヤルゼリーって甘くないのよ。 むしろ苦くて酸っぱい。お菓子にはあんまし…
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