75.そういえば、野外活動聖女だった
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
魔蟲を撃破し、ガラスもピカピカ。
テンションあげあげレッツらご~~~~~~! といきたいところだが。
私は、インパネの計器類を見て、すぅっと血の気が引くのを感じていた。
「……やっば」
「どうした? また敵か!?」
ラディアスさんが即座に銃を構える。
いや、敵じゃない。
もっと現実的で、切実な問題だ。
「ガス欠寸前」
「がす……けつ?」
「あー……魔力切れってこと。ハイビームと、常時結界と、反重力……。調子に乗って使いすぎた」
エンプティマークが、ピコンピコンと赤く点滅している。
まるで私の寿命へのカウントダウンのように。
いや、洒落になってない。
まあでも、エンプティマークが点いても、すぐに車が止まることはないと、私は知っている。
前に走行中に切れかけて焦ったことあるけど、そこからまあまあ走れた経験がある。
が、切れそうなことには変わりない。
「ま、まずいのではないか!? 魔力が切れたら、この結界も消えるのだろう!?」
「そーね。そしたら車体ごとドロドロに溶けて、全員仲良くあの世行きだね」
「笑い事じゃあない!」
ラディアスさんが顔面蒼白で叫ぶ。
別に笑ってないが。え、笑ってるのかな? 自分の顔ってわからないね。
でもまあ、大丈夫。
「給油すりゃいいだけだし」
「きゅうゆ?」
「燃料を入れるの」
私は運転席から立ち上がり、出入り口へと向かう。
「じゃ、ちょっくら入れてくるわ」
「入れてくる……って、どこでだ?」
「どこって、外の給油口だけど」
私がドアノブに手をかけた瞬間。
「ば、馬鹿なことを言うなあああああああ!」
ラディアスさんが、私の腕をガシッと掴んだ。
すっげえ力。痛い痛い。女子の握力じゃあない!
万力か何かか!
「外は死の世界だぞ!? 忘れたのか、私の足が一瞬で溶けたのを! 最強の防護服すら無意味だったのを!」
「覚えてるよ」
「ならなぜ行こうとする! 自殺願望か!? それとも、我々を見捨てて自分だけ死ぬ気か!」
必死な形相でまくし立てるラディアスさん。
部下たちも、「召喚者殿、早まらないでください!」「我々が代わりに……いや、我々でも無理だ!」とパニックになっている。
あー、もう。
めんどくさいな。
「大丈夫だって。私には『スキル』があるから」
「スキルだと……? 毒耐性か? だが、ここの瘴気は耐性程度では……」
「いいから見てなって。キャンピー、ドアオープン」
プシュー。
制止を振り切って、私はドアを開ける。
紫色の毒霧が、もわっと入り込んで……こない。結界があるからね。
私はサンダル履きの足を、一歩、外へ踏み出す。
「あっ……!」
ラディアスさんが、顔を背ける。
私が溶ける音を聞きたくないのだろう。
しかし。
スタッ。
私は普通に着地した。
足は溶けてない。
服も綺麗なままだ。
「……え?」
恐る恐る目を開けたラディアスさんが、ポカンと口を開ける。
私はそのまま、毒の沼地と化した地面を歩き、車体側面の給油口へ。
周囲の毒霧が、私の肌に触れる直前で、まるで恐れるように避けていく。
「ガソリンを購入っと」
私は空中にホログラムウィンドウを展開し、購入ボタンをポチッとな。
ブォン。
空間が揺らぎ、何もない虚空に黒い穴が開く。
そこから、黒光りする機械的な給油ノズルが、ニューッと生えてきた。
異空間直結の、ガソリンスタンドである。
私はそのノズルを掴み、給油口に差し込んでレバーを引く。
ドボドボドボドボ……。
給油の音が、静寂な死の森に響く。
なんともシュールな光景だ。
「な、な、な……」
ラディアスさんが、窓ガラスにへばりついて震えている。
まるで幽霊でも見ているかのような目だ。
「なぜだ……? なぜ溶けない!? なぜ平気な顔をして立っていられる!?」
「んー? 言ったじゃん、スキルだって」
カチャッ。満タンの音。
給油を終え、キャップを閉める。
ノズルは自動的に異空間へと帰っていった。
私は何事もなく車内に戻り、ドアを閉めた。
手をパンパンと払う。
「ふぅ、満タン」
「満タン……ではない! 説明しろ! なぜ生身で外に出て無事なのだ! 貴様は不死身か何かか!?」
詰め寄ってくるラディアスさん。
まあ、不思議に思うのも無理はない。
「私の固有スキルだよ。【野外活動】」
「やがい……かつどう? あうとどあだと!?」
「そ」
「なんだそれは!?」
「外で最強無敵」
「……は?」
ラディアスさんが固まる。
「野外で安心安全に活動できるって名目で、実質外なら無敵って話」
いやぁ、そういえば私、野外活動聖女だったわー。
この野外で最強スキルが、私のアイデンティティーのひとつだったわー。
べ、別に、そういえば最近このスキル使ってなかったなーとか!
感想欄を見て、やっべ、忘れてたーとか!
思ってないんだからね!
勘違いしないでよね!
「おかしいだろう! それはもう『野外活動』というレベルではない! 『世界改変』とか『理外の生存』とか、そういう類のものだろう!」
「いやー、キャンパーたるもの、どんな過酷な環境でもテント張れなきゃね」
「限度があるわっ! ここは酸の海だぞ!?」
ぜぇぜぇ、と肩で息をするラディアスさん。
「……召喚者殿の常識は、どうなっているのだ……」
「ん? 常識? 普通だよ?」
私は首を傾げる。
便利なものは使う。
それが、私のジャスティス。
『人の子よ。ラディアスの顔が死んでいますよ』
テンコが興味なさげに、ラディアスを見ながら言う。
あら、ほんと。
【おしらせ】
※1/9(金)
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