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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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75/94

75.そういえば、野外活動聖女だった

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 魔蟲を撃破し、ガラスもピカピカ。

 テンションあげあげレッツらご~~~~~~! といきたいところだが。

 私は、インパネの計器類を見て、すぅっと血の気が引くのを感じていた。


「……やっば」

「どうした? また敵か!?」


 ラディアスさんが即座に銃を構える。

 いや、敵じゃない。

 もっと現実的で、切実な問題だ。


「ガス欠寸前」

「がす……けつ?」

「あー……魔力切れってこと。ハイビームと、常時結界と、反重力……。調子に乗って使いすぎた」


 エンプティマークが、ピコンピコンと赤く点滅している。

 まるで私の寿命へのカウントダウンのように。

 いや、洒落になってない。


 まあでも、エンプティマークが点いても、すぐに車が止まることはないと、私は知っている。

 前に走行中に切れかけて焦ったことあるけど、そこからまあまあ走れた経験がある。

 が、切れそうなことには変わりない。


「ま、まずいのではないか!? 魔力が切れたら、この結界も消えるのだろう!?」

「そーね。そしたら車体ごとドロドロに溶けて、全員仲良くあの世行きだね」

「笑い事じゃあない!」


 ラディアスさんが顔面蒼白で叫ぶ。

 別に笑ってないが。え、笑ってるのかな? 自分の顔ってわからないね。

 でもまあ、大丈夫。


「給油すりゃいいだけだし」

「きゅうゆ?」

「燃料を入れるの」


 私は運転席から立ち上がり、出入り口へと向かう。


「じゃ、ちょっくら入れてくるわ」

「入れてくる……って、どこでだ?」

「どこって、外の給油口だけど」


 私がドアノブに手をかけた瞬間。


「ば、馬鹿なことを言うなあああああああ!」


 ラディアスさんが、私の腕をガシッと掴んだ。

 すっげえ力。痛い痛い。女子の握力じゃあない!

 万力か何かか!


「外は死の世界だぞ!? 忘れたのか、私の足が一瞬で溶けたのを! 最強の防護服すら無意味だったのを!」

「覚えてるよ」

「ならなぜ行こうとする! 自殺願望か!? それとも、我々を見捨てて自分だけ死ぬ気か!」


 必死な形相でまくし立てるラディアスさん。

 部下たちも、「召喚者殿、早まらないでください!」「我々が代わりに……いや、我々でも無理だ!」とパニックになっている。

 あー、もう。

 めんどくさいな。


「大丈夫だって。私には『スキル』があるから」

「スキルだと……? 毒耐性か? だが、ここの瘴気は耐性程度では……」

「いいから見てなって。キャンピー、ドアオープン」


 プシュー。

 制止を振り切って、私はドアを開ける。

 紫色の毒霧が、もわっと入り込んで……こない。結界があるからね。

 私はサンダル履きの足を、一歩、外へ踏み出す。


「あっ……!」


 ラディアスさんが、顔を背ける。

 私が溶ける音を聞きたくないのだろう。

 しかし。


 スタッ。


 私は普通に着地した。

 足は溶けてない。

 服も綺麗なままだ。


「……え?」


 恐る恐る目を開けたラディアスさんが、ポカンと口を開ける。


 私はそのまま、毒の沼地と化した地面を歩き、車体側面の給油口へ。

 周囲の毒霧が、私の肌に触れる直前で、まるで恐れるように避けていく。


「ガソリンを購入っと」


 私は空中にホログラムウィンドウを展開し、購入ボタンをポチッとな。


 ブォン。


 空間が揺らぎ、何もない虚空に黒い穴が開く。

 そこから、黒光りする機械的な給油ノズルが、ニューッと生えてきた。

 異空間直結の、ガソリンスタンドである。


 私はそのノズルを掴み、給油口に差し込んでレバーを引く。


 ドボドボドボドボ……。


 給油の音が、静寂な死の森に響く。

 なんともシュールな光景だ。


「な、な、な……」


 ラディアスさんが、窓ガラスにへばりついて震えている。

 まるで幽霊でも見ているかのような目だ。


「なぜだ……? なぜ溶けない!? なぜ平気な顔をして立っていられる!?」

「んー? 言ったじゃん、スキルだって」


 カチャッ。満タンの音。

 給油を終え、キャップを閉める。

 ノズルは自動的に異空間へと帰っていった。


 私は何事もなく車内に戻り、ドアを閉めた。

 手をパンパンと払う。


「ふぅ、満タン」

「満タン……ではない! 説明しろ! なぜ生身で外に出て無事なのだ! 貴様は不死身か何かか!?」


 詰め寄ってくるラディアスさん。

 まあ、不思議に思うのも無理はない。


「私の固有スキルだよ。【野外活動アウトドア】」

「やがい……かつどう? あうとどあだと!?」

「そ」

「なんだそれは!?」

「外で最強無敵」

「……は?」


 ラディアスさんが固まる。


「野外で安心安全に活動できるって名目で、実質外なら無敵って話」


 いやぁ、そういえば私、野外活動聖女だったわー。

 この野外で最強スキルが、私のアイデンティティーのひとつだったわー。


 べ、別に、そういえば最近このスキル使ってなかったなーとか!

 感想欄を見て、やっべ、忘れてたーとか!

 思ってないんだからね!


 勘違いしないでよね!


「おかしいだろう! それはもう『野外活動』というレベルではない! 『世界改変』とか『理外の生存』とか、そういう類のものだろう!」

「いやー、キャンパーたるもの、どんな過酷な環境でもテント張れなきゃね」

「限度があるわっ! ここは酸の海だぞ!?」


 ぜぇぜぇ、と肩で息をするラディアスさん。


「……召喚者殿の常識は、どうなっているのだ……」

「ん? 常識? 普通だよ?」


 私は首を傾げる。

 便利なものは使う。

 それが、私のジャスティス。


『人の子よ。ラディアスの顔が死んでいますよ』


 テンコが興味なさげに、ラディアスを見ながら言う。

 あら、ほんと。


【おしらせ】

※1/9(金)


新作、投稿しました!


ぜひ応援していただけますとうれしいです!

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よろしくお願いいたします!


『辺境の【魔法杖職人】が、自分の作る杖は世界最高だと気付くまで ~「魔力ゼロ、愛想もない」と婚約破棄された私が、帝都でひっそり店を開いたら、いつの間にか国中の英雄が並ぶ行列店になっていました~』


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>感想欄を見て、やっべ、忘れてたーとか! >思ってないんだからね! うそをつけっ!澄子!
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