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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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73.魔蟲を久々のぶっ殺し光線で倒す


 反重力機構により、どんな悪路でもスイスイっと進めるようになったぞっ。


 ……てゆーか、これがあるんだったら、雪山登ってるときに、さっさと取れって?


 残念!

 その時には、まだCPキャンピング・ポイントが、足りなかったのだっ!


 CPがないんだから、取りたくても取れないって話よ。

 決して、あの時に、作者が思いつかなかった訳じゃあないから。

 そこんとこ、勘違いしないでよね!


 ……ってことで、地上50センチほど浮いた状態のキャンピーは、するする~っと巨大樹の森の中へ突入していくわけだけど……。


「やっべえわ……ガソリン消費……えぐ……」


 私はメーターを見て顔を引きつらせた。

 スキルを使うと、キャンピーはガソリン(魔素変換エネルギー)を消費する。

 反重力を使った状態での移動は、当然ながら通常以上にガソリンを食うのだ。


 さらに、ここは瘴気の海。

 結界を常時フルパワーで張っていないと、キャンピーのボディが溶けてしまう(し、中に居る私たちもバイオハザードになる)。


 ゆえに、妖精郷アルフヘイムでの移動には、

 【通常の移動燃費】+【結界維持費】+【反重力機構】。

 この三つが同時に掛かる。

 つまり、普段の三倍のガソリンが、湯水のように消えていくわけである!


「テンコ、あんた……しばらく食事量ひかえなさい」

『むぅ……仕方ないですね』


 なん……だと……!?


「て、テンコ、あ、あんたどうしたのよ……素直に言うこと聞くなんて」


 しかも、食事関連で、不平不満を述べないだなんてっ。

 明日は槍でも降るんじゃないか?


『妾が大食いすることで、人の子、そーちゃん、そしてキャンピー。皆に、迷惑が掛かるではありませんか。ここが正念場であることくらい、妾にも分かります』

「…………」

『無言で頭を撫でるの、やめなさいっ。子ども扱いするではありませんっ』


 いやぁ、ほんと。

 憎めないよねえ、この子。

 やる時はやる神獣様なのだ。


 それはさておき……。

 食費を抑えれば、まあなんとかガソリン持つでしょう……持つかな。

 持つよね……?

 た、多分……大丈夫っしょ!


「召喚者殿! 前! 前!」


 その時、後ろからラディアス大佐が、切羽詰まった声を上げてきた。

 身を乗り出して、フロントガラスの前方を指差している。

 その額には大汗、そして、顔色は土気色。

 そっから分かるのは……かなりヤバい事態が進行してるってことだ。


 キキーッ!

 キャンピーが急停車する。


 結界があれば、敵の攻撃なんて一切受け付けないはずの彼女が、止まる。

 それ即ち、それくらい……緊急性の高い事態が起きてるってこと。


 私はギュッとハンドルを強く握り、前方を見やった。


「なんじゃ……あれ……? 玉……?」


 そう、玉。

 巨大な球体としか思えない代物が、一本道のど真ん中に鎮座しているのである。


 意表を突かれ、少し……息をついた。

 なんだ、てっきりヤバい魔獣が現れたのだと思った。


 単に障害物たまがあるだけ……いやいや、待て!

 

 ブンブン!

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


 玉が……唸りを上げてる!?

 しかも……これ、直径が2、3メートルはあるし!


 再び手にじわりと汗が滲む。


「なんだろあれ……?」

魔蟲まちゅうです!」


 ラディアス大佐が叫ぶ。

 さ、さっき説明していた、デカい虫モンスターか。あれがそうなのか。

 いやでも……。


「普通に球体なんだけど……って、こっち来るし!」


 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 トンデモナイ速さで、黒光りする玉が転がってくる!


 接近して初めて分かった。

 あれはただの玉じゃない。

 漆黒の甲殻を何重にも重ね合わせた、装甲の塊だ。

 隙間から見える無数の足。そして、硬質な輝き。

 まるで、巨大なボウリングの球が、殺意を持って突っ込んでくるような威圧感!


「ダンゴムシか、あれっ! キャンピー!」


 ドゴォオオオオオオオオオオッ!


 キャンピーの結界に、巨大ダンゴムシが激突する。

 轟音が響き渡る。


 だが……。


「し、信じられない……中に全く衝撃がこないぞ!」

「なんて堅さだ……」

「すんげえ……」


 軍人たちが目を剥いている。

 彼らは魔蟲まちゅうと戦ったことがあるのだろう。

 相手の突進力、そして破壊力の高さを知っているのだ。本来なら、装甲車ごとひしゃげるような威力のはず。


 そんで、そんな攻撃を受けても、中が微塵も揺れない。

 そんなキャンピーの、理不尽なまでの高い防御力に、みんな驚いてるってわけよ。


 軍人さんたちは全員窓に張り付いている。

 額に汗をかきつつも、しかし目は輝いてるように見えた。

 すごいキャンピーがいれば、大丈夫、そんな安心感を覚えてるんだろう。


 相棒が褒められて嬉しい……んだけど。

 前を向いて、メーターを見て……私は、思わずメーターに顔をくっつけてしまう。


「って、ガソリンメーター、今の一撃で1メモリ分削られたんですけど!?」


 つまり、あの物理的衝撃を防ぐのに、めっちゃ魔力を消費したって訳だ。

 これはまずい。このまま体当たりを受け続けたら、ガス欠で立ち往生だ!


「皆、攻撃だ! 軍人として、魔蟲まちゅうを排除するのだ!」


 ラディアスさんが叫び、銃を構える。


「窓を開けても?」

「多分大丈夫。結界が毒ガスを防いでるから。念のため外にあんま顔出さないのと、マスクしてね」


 言われた通り、軍人達が準備をする。

 ……少しでもガソリンを温存させておきたい。

 だから、彼らに攻撃を頼む。それでダメなら次の手だ。


『妾もおりますよ?』

「わかってる。でも、あんたも動くと腹減るでしょうが」


 軍人さん達で対処できるのであれば、任せておきたい。

 リソース(金と食料)は無限じゃあないのだ。


 軍人達が、開いた窓から身を乗り出し、銃口を向ける。


「撃てぇええええええええええ!」


 ドパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 一斉掃射。

 放たれた無数の魔力弾が……巨大ダンゴムシに直撃する。


 キンッ! カンッ! チュンッ……!


 軽い音が響いただけだった。

 全く傷ついていない。

 くっ。

 球面だから、銃弾を受け流しているのか、それとも単純に堅すぎるのかっ。

 ダンゴムシは、我関せずといった様子で、再びゴロゴロと助走をつけ始めている。


 ああもう……。


「やるっきゃない! いくよ、キャンピー!」


 久々に……アレをやるっきゃない!


「な、何をなさるのだっ? 帝国最新式の魔法銃、その一斉掃射を受けても、びくともしない相手に!?」


 唾を飛ばしながら、ラディアスさんが言う。

 まあそんだけ切羽詰まってるんだろう。


 私も余裕があるかって聞かれると、そうじゃあない。

 でも……それでも、私には……とっておきの『装備』がある。


「いけ! キャンピー! 久々の……魔物ぶっ殺し光線(ハイ・ビーム)!」


 私は、ハンドルの横にあるレバーを、手前にカチリと引く。

 それは、夜道を照らすための、ただの切り替えスイッチ。

 しかし、キャンピーにとっては、必殺のトリガーだ。


 カッ!

 ヘッドライトに、太陽ごとき膨大な魔力が充填される。


 ビゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 二つのライトから、極太の光の奔流が放たれた。

 それは闇を切り裂く閃光。

 浄化の概念を物理的な熱量に変えた、聖なる波動砲だ。


 光の柱が、突っ込んでくる巨大ダンゴムシを飲み込む。


 ジュッ……!


 断末魔すら、なかった。

 圧倒的な光量と熱量の中、強固な甲殻は瞬時に蒸発し、中の肉体は塵となって霧散する。

 光が収まった後には……ただ、抉れた地面と、消え去った空間だけが残されていた。


「なん……だと……」


 ラディアスさんが呆然とつぶやく。


「あの魔蟲まちゅうを……一撃で……倒した!? あ、跡形もなく消滅させた……だと!? な、なんだ……何だ今のは!?」

魔物ぶっ殺し光線(ハイ・ビーム)です」

「なんだそのふざけた名前の攻撃はっ!?」

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― 新着の感想 ―
主人公は野外にて最強だし普通に外に出て給油してるんじゃね
 ガソリンはどうやって補給しているのでしょうか?
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