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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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64.帝国での初仕事



 で、翌日。

 外でキャンプした私たちのもとに……。


「なんであんたら、私の居場所わかるの……?」


 OTK(おたく)商会のオタッキー、そして、帝国軍のラディアス大佐が、やってきたのだっ。

 ここに居ることを、二人には告げていないのにっ。


【入国許可証には、入った者の位置を知らせる魔法が掛かってるそうです】


 と、テンコがラディアス大佐の心を読んで、私に念話で教えてくれる。

 こわっ! え、それ発信器じゃーん。

 GPS機能付きとか聞いてないよ! プライバシーの侵害じゃん!


「昨晩は、気持ちよく眠れましたか?(にっこり)」


 オタッキーが満面の笑みで言う。

 ひぇ……。昨日私、このイケメンが用意した超高級ホテルを使わなかったんだよね。

 それを知っててなお、寝心地聞いてくる……。目が笑ってないよ!


「いやぁ、なんつーか、あのホテル高級すぎて、ちょっと庶民の私には合わないかなーって思って……あはは」


 ……ほんとはこのイケメンに借りを作るのは、不味いと思ったからなんだけどね。


「で、今日はどのような御用向きで……? もしかして粛正……とか……?」


 用意したホテルを使わない、そんな不届き者に天誅を! みたいな?

 いやぁ、こわーい。

 ……まあ、うちには最強オトモたちがいるから、大丈夫だけども。来るなら来いってんだいっ。


「あはは、まさか。貴方様にたてつくような、愚かなマネはしませんよ」


「あ、そ、そう……」


 そーいや、こっちが神獣連れている+召喚者だって事は、バレてるんだったね。


「私からは、昨日の料金のお支払いに」


「料金……あ、ビー玉の」


「はい。お金と、それと魔道具です。アイテムボックスに入ってます」


 そういって、オタッキーは何もない空間に手を伸ばす。

 ズブ……ッ。

 空間に水面のような波紋が広がり、オタッキーの手首が虚空へと沈んでいく。

 いつ見ても不思議な光景だ。

 彼が手を引き抜くと、そこにはずっしりと重そうな革袋が握られていた。


 ゴトッ。

 テーブルの上に、大量の金貨の入った革袋が置かれる。

 そして……。


「これ……なに? 指輪……?」


 添えられた小箱に入っているのは、銀色の小さな指輪。

 それが何個か。


「これは『錬金武装』と言います」


「れんきんぶそう……?」


 ジャ●プで連載してそう。


「錬金武装は、錬金術を組み込んだ魔武器です」

 

 オタッキーが実演とばかりに、自分の指に指輪をはめる。


「展開!」


 カッ……!

 指輪が幾何学的な光を放ったかと思うと、ドロリと液体金属のように変形を始めた。

 ガシャッ! キィィィン!

 金属が複雑に組み替わり、伸び、固定される。

 一瞬のうちに、小さな指輪が、身の丈ほどもある無機質で美しい『弓』へと姿を変えたのだ。


「うぉ! すご……あんなちっこい指輪が、弓になった」


「しかも放たれた矢は必中必殺の威力を持ちます。魔力を供給すれば、効果は無限につづきます」


 やべー武器だった。

 なるほど……帝国の魔道具は高く売れる……か。

 むふふ。これで当分は、お金の心配をしなくて良い……。

 か、かなぁ? わからない。うちには食いしん坊が三人もおるから……(汗)。


「じゃ、じゃあ代金はもらっときますね! 用事は以上ですね!」


 なーんか嫌な予感もしたし、さっさと退散願う私だった。


「私からの用事は以上です。私からの……はね」


 含みのある言い方~。やめて~。

 次に、ラディアス大佐が一歩前へ出る。


「私から召喚者殿に、依頼がある」


 ひぃ、来たぁ。


「な、なんでございやしょうか……。あっしはしがない旅の商人なんで、たいしたことはできゃーせんけども? へへっ!」


 私は全力で揉み手をする。


【なぜそんな卑屈な態度を取るのです。人の子は天狐の友なのですよ? もっと堂々と、人を見下さないと】


 堂々と人を見下すってなんだよ。右を見ながら左を見ろってか?

 そんなの影分身しなきゃできないってばよ。


【あんたちょっとステイ】


【がるるるるる……】


 犬かよ……。

 どうにも、うちのテンコさんは、このイケメンがお気に召さないご様子。

 毛を逆立てて、私の肩の上で威嚇している。

 理由? 知りません。イケメンアレルギーなんでしょ(適当)。


「で、ラディアスさんは、何のご用事で?」


「実は……妖精郷アルフヘイムまで、ご同行願いたいのだ」


妖精郷アルフヘイム……? なんですそれ」


「帝国にある、聖地の一つだ。一般人には開放されていない」


 ネログーマで言うところの聖域みたいなもんか。


妖精郷アルフヘイムには【神樹】というものがある」


「しんじゅ……」


「最近神樹が腐りかけていてな。このままでは倒れてしまう。その再生を、召喚者殿に依頼したいのだ」


 うーん……。

 厄介ごとの音が、脳内で爆音で鳴っている。ディスコで流れてるような、イケイケでブギウギな奴が(?)。


「えーっと……神樹って直さないとだめなもんなんすか?」


「ああ。我らの魔道具は、神樹が成す実を核として作られている」


 さっきの錬金武装か。あれの動力源が、神樹の実だと。


「実がなくなると錬金武装をはじめとした、帝国の魔科学が成り立たない」


 魔科学ねえ。あれか、ビル作ったり、道路作ったりしてる技術のことかね。

 やっぱ、ここの技術力の高さは、外部依存だったわけね。

 神樹の実ってのがなくなると、今帝国を支えている、現代レベルの文化水準を保てなくなると。


 うーむ……。


「無論、報酬は出させていただく」


「前払いでできますか?」


 前のめりで即答する私。

 いや、ほら、ね! 金が……かかるんです! うちの子ら、もりもり食べるんでっ。

 前払いなのは、前回の反省を生かしたからだ。ネログーマでは結局タダ働きになってしまったしね。


「そう言うと思って、用意させてある」


 またも、オタッキーがアイテムボックスから、どちゃりと革袋を取り出す。

 私に最初手渡した、5000万円分の革袋。それが……2つ!


「い、いちおくえん……前払い……」


 ごくり。

 喉が鳴る音が聞こえた気がした。


「どうでしょう?」


「やりましょう!」


 即決である。

 ほら、ね。お金は大事だからね。

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