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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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63.外でのんびりカップ麺



 ……超高級ウルトラホテルの、超絶VIPルームに泊まれることになった。

 ……タダで!


「ふぅ~……落ち着くわ~……」


【人の子よ、スミコよ】


「なぁに? テンコ」


【なにゆえ街の外でキャンプしてるのですか?】


 ……そう、私たちがいるのは、サラディアスの街の……外だ。

 そう、野外である。


 私のそばには相棒キャンピー。

 そーちゃんはお膝の上でおねむだ。


 私は焚き火台の前で、ぼーっとパチパチ爆ぜる火を見つめていたのである。

 テンコは私のすぐそばに座っている。


【ホテルには泊まらないのですか】


「うん」


【そうですかそうでしょうともっ、あんな男の用意したホテルなんぞに泊まる必要はないのですっ!】


 ……さて、どうして私が野外にいるのか?

 ホテルから……逃げてきたのだ。


 どうして?

 あんな一泊100万もする部屋に、タダで泊まったら? どうなると思う?


『タダほど高いものはない』。古事記にもそう書いてある(嘘)。


 あの何考えてるかわからない、イケメンにデカすぎる借りを「心」に作ることになる。

 次に会った時、何か無理難題を言われても断りづらくなる。

 それはちょっと……ごめんだった。


【スミコは正しい判断をしましたよっ】


「でしょ~? わかっとるねー。君~」


 ぷっぷ~♪

 キャンピーもなんだかご機嫌だ。


『んがっ! ちそーっ?』


 そーちゃんが目を覚ます。どうやら腹減ってるようだ。

 どうせテンコも腹減った腹減ったと五月蠅く言ってくるだろう……。


『そーちゃん』


 しゅる、とテンコが尻尾をそーちゃんに伸ばす。


『なぁに、テンコちゃ?』


『今日は馳走は無しです』


『えー! おなかちゅいたよー!』


『よしよし、眠るがいい』


『んが……』


 そーちゃんの目がとろんとしてきた。

 そして、コテンと倒れて深い寝息を立て始めたのである。


 不自然な動きだった。起きたとおもったら、直ぐに眠ったし。


「あんたなんかした?」


『ええ。ふふん。眠りの風を吹かせたのです』


「へえー……」


 ……頭を占めるのは「何で?」という言葉ばかりだ。

 テンコのやつは、明らかに、ぐずるそーちゃんを眠らせたのである。

 いつもなら「妾も腹が減ったぞ!」と便乗してくるところなのに。


『なんですか?』


「いや……あんたが私のために何かしてくれるの、珍しくて」


『ふふん、今日は機嫌が良いのです』


「へー……なんか美味いものでも食べたの?」


『……スミコは、妾が食べ物でしかご機嫌にならないとでも?』


「え、違うの?」


 ふんっ、とテンコが鼻を鳴らすと、伏せの体勢になる。


『愚かですね、人の子は』


「お、それだけ聞くと、なんだか神獣っぽいね」


 別に馬鹿にされようが、怒る気にはならなかった。

 この子が幼いってわかってるからかね。


 しゅる……とテンコが尻尾を伸ばしてくる。

 そして、私の腰に巻き付けて、自分の体の方へぐいっと引き寄せた。

 ぴったりとくっつく。


 もふ……。


「OH……ナイスもふみ……」


『なんですかそれ』


「いい毛皮してるねって褒めたんだよ」


『ふふ……♡ ふふふ……♡』


 テンコのもふもふ……いいね。たき火の暖かさと相まって……なんかちょーぽっかぽかだわ。


『人の子は雄なんかより、妾と旅してるほうが良いのです』


「何唐突に」


『ふふん、違うのですか?』


「いやまあ、そうだけど」


 別に恋愛に興味ないし、私。

 縛られるのごめんだ(元ブラック企業勤めだし)。


 だからまあ、あんなイケメンに束縛されるよりは、自由に、この子達と旅してるほうがいい。


『そうでしょう、そうでしょうとも。ふふんっ』


「あんた……いつになく機嫌良いよね。なんかあったの、今日?」


『ふふん。ふふん。まあ。ふふん。ふふふん』


 なんなんすかね……。何かあったのか聞いたのに答えないし。ま、いっか。


「ふぅ~……」


 ちょっと、一息つく。帝国に来てから、いろいろありまくった。息つく暇もなかったからね。

 こうして……一息つくのは久しぶりな気がする。


 くぅ~……。


「腹減ったわ。あんたは?」


『スミコが食べるのでしたら、一緒に食べてもよいです』


「……あんたまじどうしたの?」


 いつも馳走馳走&馳走! めしめしめし! なこの子が……。

 私が食べるなら食べるぅ~?

 なんじゃそりゃ……。


「熱でもあるの?」


『ふふん、やはり人の子は愚かですねっ』


 罵倒してない。笑ってる。なんなの……。私にはこの子の気持ちがわからないよぅ。

 ま、腹減ったってのはわかった。私も腹減ってるし。


「ごはんにしよ」


 つっても、なんか今からご飯作る気にはならない。

 りらーっくすしてるからね。


「ということで、ちょー簡単お夕飯にします」


 KAmizonで、購入。

 キャンプテーブルの上に、二人分のそれが出てくる。


『ふむ? これは?』


「カップ麺。前にほら、袋麺たべたでしょ? あれだよ、あれ」


『ほう……麺ですか。まあスミコと一緒ならそれでいいです』


「…………」


 本格的にどーしたこいつ……。

 熱って感じでもないし……。うーん、まじわからん。なに、急なキャラ変……?


 どうにも、あのイケメン商人と私が会って以降から、態度がおかしいんだけど……。


『調理はしないのですか?』


「あ、するする」


 つっても、鍋にミネラルウォーターぶっこんで、卓上バーナー(どれもホムセンで購入して、アイテムボックスに入っていたやつ)にかける。


 お湯が沸くまで待つ。

 しばらくすると、お湯が完成。カップ麺にお湯を注ぐ……。


『ふむ……良き香り……』


 ひくひくひく、とテンコが鼻を動かす。


『…………』


 いつもみたいに、まだかとか、早くとか言ってこない。もうつっこむまい……。よくわからないしね。


 で、三分後。


「できたーい。かっぷめーん」


 シーフードと、カレー味。


「どっちにする?」


『先に選んで良いですよ』


「……………………お、おう」


 なんかここまで来ると気色悪い通り越して、心配になってくるな。なにかあったんだろうか……。何かあったんだろうな。何かは知らないけど……。


「じゃ、じゃあ私はシーフード」


『では妾はカレー味』


 そのままだと、テンコはカップ麺を食べれないだろう。

 私はカレー用の深い皿を、アイテムボックスから取り出す。


 カレー麺をそこにいれて、テンコの前に出す。


『ふむ……』


「食事のときくらい、この尻尾の束縛といてもらえませんかね」


『それはできかねます』


「なんでやねん……」


 テンコは舌で、ペロリ……とカレー麺を食べる。


『ほぅ……これは……美味ですね』


「はいはい」


 私も麺をすする。

 ずずぅう~~~~~~。


 ん……やっぱり美味しいわ。外で食べてるからかな。

 普段よりも、カップ麺が、温かし、美味しい気がする。


 味は一緒のはずなのにね。あれか、シチュエーションって思ったより大事なのかもね。


「テンコもう食べ終わって……ない」


 この大食い狐にしては、なんだか知らないけど、ゆっくりめにご飯食べていた。

 ぺろぺろ……とまるで味わうかのように、麺を食べている。


『美味ですね』


「そーね……」


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