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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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55/87

55.帝国到着と同時に捕まる!?



「どしぇー……でっけえ……」


 初めて帝国に来たんだけど、その異様な威容に、私は口をあんぐりと開けてしまった。

 見上げるほど高い、黒鉄の外壁がどこまでも続いている。

 壁の表面には継ぎ目がなく、金属的な冷たい光沢を放っている。


 そして、何より異様なのが「門」だ。

 巨大な鋼鉄製の扉が、ひとりでに開閉している。

 人の姿はどこにもない。門番すらいない。


「キャンピー、ここって帝国の首都じゃあないんだよね?」


「…………」


 キャンピーがこくこくと頷く。

 首都でなくて、このでかさと近未来的な設備とは。

 いやぁ、凄いもんだ。


『早く参りましょう。腹が減ってます。妾もそーちゃんも』


『はんぐり~……』


 そーちゃん、マジどっから言葉を覚えてくるのやら。

 

「二人とも、わかってるね」


『ふむ? ナニガですか』


「君たちは神獣です。目立ちます」


『当然ですね。妾たちは高貴なる存在ですから』


 ナチュラルに上から目線っすね君。まあ、特別な存在として生まれ、育ってきたから当然っちゃ当然だけども。

 しかしそーちゃんにまで、その言葉遣いがうつってしまわないか、お母さん心配です。


「神獣だって事がバレるとすっごく面倒なので。君たちは……霧狐フォッグ・フォックス、そして火蜥蜴サラマンダー亜種ってことにします」


 どっちもこの世界には普通にいる、魔物達だ。

 神獣って言うより、霧狐と火蜥蜴サラマンダーって言った方が、騒ぎが大きくならずにすむ。


『むぅ~……。仕方ないですね』


「おやあっさり。『どうして妾が嘘をつかねばならぬでおじゃる!』とか言うんだと思ったけど」


『そうしないと人の子らに迷惑が掛かるんでしょう?』


 ここで言う人の子らというのは、私たち……つまり、私+キャンピー+そーちゃんってことだ。

 自分一人だと嫌だけど、仲間に迷惑が掛かるのは嫌だと。ふふふ。


『……なんですか、その生暖かい目は』


「いやぁ、なんでもないよ。可愛いとこあんのね、あんたも」


 よしよし。もふもふ。


『か、からかうのはお止めなさい……わ、妾は高貴な神獣なのですよっ』


 ぶぉんぶぉん!

 抗議の言葉とは裏腹に、尻尾が嬉しそうに振られている。かわよー。


「さ、ふざけてるのはこれくらいにして……はい、じゃあ復唱。まずはテンコ。あなたはだれ?」


『霧狐』


「YES。じゃあつぎそーちゃん」


『あいっ。そーちゃは、しゃらみゃんだー!』


火蜥蜴サラマンダーね。よしよし。そして次に……魔物は基本しゃべれません。なので、人前では念話を使いましょう」


 こく、とテンコがうなずく。


『そーちゃは?』


「あ、そういえばそーちゃんってできないんだっけ……。悪いけど、何か伝えたいときは、私の耳元でこそっとお願いね」


『ん! そーちゃ、ときどきろちあごでぼそっとでれる!』


 そーちゃん、テレビの見過ぎはよくないっすよ。


「そーちゃん、テレビは一日1時間」


『やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』


 すっごく反発された。どんだけテレビ好きなのよ。

 地球の娯楽は世界一ぃ……! って、某這い寄る渾沌こんとんも言っていたもんね。


『やー! やー!』


「わかったわかった。でも見る時間は少なくするんだよ」


『ぜんちょしますっ!』


 政治放送でもみてるのかな。

 これ善処しますっていって、治らないやつや。


「…………」くいくいっ。


「どうしたのキャンピー?」


「…………」じ~?


 ふむ。


「テンコさんなんて言ってるんですか?」


『【わたしはわたしはっ?】だそうですよ』


「あ、いやキャンピーは人間姿してるし。そのままで良くない?」


「…………」しゅん。


 キャンピーが露骨に肩を落とす。

 なんか寂しそう。みんなみたいに、あれしてこれしてって役割を与えて欲しいのかな。


「そうだね……じゃあ、キャンピー。君は……妹!」


「…………!」


「君は私の可愛い妹ってことで、よろしくね」


「…………!」おー!


 ぱぁぁぁっ!

 役割を与えられ、キャンピーの顔が輝いた。

 まあ可愛い妹の役って、それ演じるまでもないんだけども。可愛いし。


「そんじゃ……対策したところで、いざゆかん、帝国へ!」


 前の話でもやった気がするけど、今度こそ、帝国へ向かう私たち。

 サラディアスの門にさしかかる。


「門番って居ないのねー」


『ふむ……たしかにオカシイですね。どこの人の街にも、人間は入り口に立って、入るのを制限してるのに』


 私たちは小首をかしげる。

 しかし、私たちの前にいた馬車は、誰に止められることもなく、自動で開いた門の中に入っていく。


「入っちゃってもいいのかな?」


『別に良いのでは?』


「だよねー。ってことで、おじゃましまーす」


 私たちが門を通りかかった、そのときだった。


 ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


 鼓膜をつんざくような警報音が、頭上から降り注いだ。


「え? え? な、なにっ? なんなのっ?」


 ガシャンッ!!


 目の前で、鋼鉄の門が落下するように閉ざされた。

 さらに、背後の門まで閉まり、私たちは閉じ込められてしまう。


 ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ!


 重厚な金属音が響き渡り、壁の一部がせり上がった。

 そこからぞろぞろと現れたのは、人間ではない。


 全身が金属で構成された、無骨な人型兵器――魔導人形ゴーレムだ。

 しかもただのゴーレムではない。彼らは帝国軍の軍服を着用し、その手には、銃剣のような魔導兵装が握られている。


『警告。警告。未登録の巨大魔力反応を検知』


 無機質な音声と共に、数十体のゴーレムが一斉に銃口をこちらに向けた。


「ひぇっ!?」


 お邪魔しますって言っただけなのに、いきなり蜂の巣にされるの!?


【お知らせ】

※12/27(土)


好評につき、先日の短編の、連載版、投稿しました!



『【連載版】スキル【リサイクルショップ】で捨てられた悪役令嬢(英雄)や神器を仕入れて修理したら、いつの間にか最強国家になってました 〜捨てられ貴族の楽しい領地改革〜』


https://ncode.syosetu.com/n0648lo/


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>『警告。警告。未登録の巨大魔力反応を検知』 あー…… >お邪魔しますって言っただけなのに、いきなり蜂の巣にされるの!? そりゃあ、向こうからしたら現代に例えると控えめに言っても完全武装の軍人100…
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