52.袋麺アレンジに、骨抜き神獣たち
腹ぺこ神獣赤ちゃん達に、お昼ご飯を用意してあげた。
今日は袋麺。チキンラ●メンに、卵をインしただけの簡単手抜きラーメンである。
たまには、手抜きしたいでしょ?
『ずるずる……はふはふっ。な、なんですかこれはっ! 神食感……!』
それを言うなら新食感ではないんだろうか。
『ちゅるちゅる~! おいちー!』
そーちゃんもどんぶりに顔を突っ込んで、食べている。
『ちゅるんって、ちゅるんって! びみー!』
美味しいを表現する語彙の元が、貧弱語彙の狐さんなので、そーちゃんの語彙力もまたお察しレベルだ。
まあ、まだ赤ん坊だしね。そのうち言葉が達者になっていくでしょう。
『ふむ……。美味。ああ……美味! ちゅるるんっ……美味!』
君は幼いけど、もう赤ちゃんじゃあないはずなのに。
どうしてそんなにワンパターンなリアクションしか取れないんすかね。
もうちょっと料理漫画とか、本とか、読むべきじゃあないですかね。カクヨムで絶賛連載中の、『ダンジョン深層ソロキャン配信めし』とかね!
ちょうど、第一章が完結して、とても良いタイミングです!
よろしければ是非……!
はっ! 今私は何を口走っていたんだろうか。
たまにあるのよね、謎の電波をキャッチする瞬間が。疲れてるのかな、私。
憑かれてるのかも。多分。きっと。うん。
『人の子よっ。スミコよっ。この美味なる馳走、なんというっ?』
「チキンラ●メン」
『チキンラー●ンなんと美味なることです! 早く作れて、こんなにも美味なんて……!』
「はい」
『……? なんですか、はいって?』
「どうぞ、ぎゃふんって言って」
グッ……とテンコが言葉に詰まる。
ちょっとそれが面白くて、つい悪戯心がこんにちわしてしまう。
「ほらほら、どうしたの? さっき言っていたよね。こんなの美味しいわけがないって。でも美味連呼してますよね?」
『ぐぐぐっ……!』
「神獣なのに、こんなお手軽料理に美味連呼しちゃってまー」
『ふ、フッ……ひ、人の子よ。妾は……まだぎゃふんと言いませんよ!』
ほぅ?
『まだです。この程度の美味では……妾はぎゃふんを言いません!』
ふーん。なるほど。
認めないと。美味しいって言ったことに。ほーん。
普段偉そうな態度を取っている、テンコさん。
そんなカノジョに対して、ちょいとマウントを取ってやりたい、そう思ってしまうスミコさんがいるわけです。
『そーちゃはね、がふんっ! がふんっ!』
がふんっ?
「ああ、ぎゃふんね。おいし?」
『おいちー!』
おおよしよし、可愛い子だよぉ。素直な子が一番かわいいねえ。
『竜の子よ、そーちゃんよ』
新しい表現がでたな。竜の子って。
いや、正確に言うとふぶきは九尾であって、竜の子じゃあないんだけど。
まあこの辺の説明はカット。前の話を見てね。
『竜の子そーちゃんよ、ぎゃふんを安売りしてはなりません。我らは神獣。もっと誇りを持つのです。ぎゃふんなどいう、はしたない言葉を言ってはなりません。格が落ちますよ』
『てんこちゃの言ってること、よーわからないなー』
ねー、わからないよねー。
「ま、もっと美味しいもの食べさせればいいんでしょ?」
『ほぅ? この上がさらにあると』
「ええ、ちきらーには、アレンジレシピというものがあるのですよ」
『アレンジレシピ……。ふっ、なんですかアレンジって。それって結局は、元のおいしさにちょっと食材を足すだけでしょう? そんなもので、この妾の心が、屈するとでもっ?』
はい前振り完了したところで、さっそく調理に入っていきましょう。
このキャンピングカーにはWi-Fiが搭載されている。
ちきらーのホームページを見ながら、私はアレンジレシピを作る。
「ではまずKAmizonでカマンベールチーズを買います」
市販のカマンベールチーズが、ぽんっ、と虚空から現れる。
続いて、キッチンに備え付けてある、オーブントースターで、チーズを少し焼く。
『……じゅる』
「早い早い早い早い」
まだチーズを焼いてるだけなのに、なにこの狐は、よだれを垂らしてるんですかね。
弱すぎないですか君。
このまま焼いたチーズを食わせるだけで、ぎゃふんと言わせることは容易そうだ。
まあ、でも美味しいもの食べて欲しいしね。料理は完了させる。子育てもする。両方しないといけないのが、リーダーの辛いところだな。
「続いてちきらーをゆで、麺をざるにあげます」
『なんとっ。スープを捨ててしまうのですかっ。あのしょっぱくて、香ばしい香りのするスープを捨てるなんて。何を考えてるのですかっ。愚かなる人の子よ!』
袋麺のスープを使わないだけで、『愚かなる人の子よ!』だなんて、神話にでてくるようなセリフを吐かれるとはね。
まあいいけどさ。
「んで、最後に器に焼いたカマンベールチーズ、ちきらーをのっけて、完成」
カマンベールチーズが、麺の上でとろっと溶けている。
もう見てるだけで美味しそうだ。
『ふ、ふふ……人の子よ……。なんだ……チーズをただ……じゅる……のっけただけ……じゅるう……じゃないですか……』
テンコさんのよだれが、滝のように流れている。
もう食べたくてしょうがないのね。はいはい。
付き合いの浅いやつならまだしも、私とこの子は、そこそこの長い時間一緒にいる。
えばってるけど、それは演技。
子どもが、背伸びしてる。ただそれだけなのだ。
だから、この子のちょっとした発言に、私は腹を立てないのである。怒ることじゃあない。
「さ、どうぞ。テンコさん」
『いただきましょう……はぐっ!』
テンコが、チーズをかじり、そして麺と一緒に食べる。
『ん゛ぅふぅうううううううううううううううううううううう♡』
ぶぉんぶぉん!
とんでもない勢いで、テンコの尻尾が揺れる。
バッ……!
テンコの尻尾が9本に増えて、扇のように広がる。
『ぎゃふんっ……!』
「はいぎゃふんいただきましたー」
『はっ! 言うつもりなかったのにっ。か、体が……! ぎゃふんを言ってしまいましたっ! ああっ! 神獣としてのプライドがぁ~……』
最初からないよ、そんなもの(にっこり)。
『あー! あー! そーちゃもぉ~……』
「はいはい、そーちゃんの分のカマンベールちきらーもありますよー」
『わーい!』
そーちゃんもチーズをかじる。
『おいちー! なぁにこれぇ!』
「それはチーズ」
『おいちー! おいちーずー! きゃははは! おいちーずぅー!』
私もどれ一口食べようかな。
ずる……。
うん、カマンベールチーズのクリーミーさと、ちきらーの麺とが合わさってうまい。
スープがないから、ちょっと物足りないかなって思ったけど、そんなことはない。
代わりに、チーズがクリーミィさ、濃厚さを担ってくれている。
『スミコっ、よいですか。先ほどぎゃふんと言ったのは、妾が意図して言った訳じゃあないですからね。口がつい動いてしまったわけであって、妾の意思ではありませんからね』
「……で?」
『まあだからその……うむ。人の子よ。大変、美味でありました。作ってくれたこと、感謝しますよ』
「ん。よろしい」
ちゃんとそーちゃんだけでなく、テンコの教育もする。
はー、私ってば、教育ママなんだから~。
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