51.新天地へ向かう途中、簡単昼ごはん
私、乗鞍澄子。
異世界の国、ゲータ・ニィガ王国の王子によって、この世界に召喚された。
しかし、私の持っているスキルが、野外活動車という謎スキルだったせいで、国を追われることになる。
私は相棒のキャンピングカーこと、キャンピー。
道中で出会った神獣、天狐のテンコ、蒼銀竜のそーちゃんと一緒に、気ままな一人旅をすることになった。
え、登場人物が四人なのに、一人旅はオカシイって?
一人+一台+二匹(テンコ+そーちゃん)。
ほら、一人旅! ね!
単位が「人」なのは私だけだから、一人旅で合ってるの!
今日も私は、可愛い相棒達とともに、気ままな一人旅をするのだった!
◇
場所は、エヴァシマを出て、西へと向かっていた。
なんで西かって言うと、まあ、特に理由はない。強いて言えば、ネログーマに居づらくなったからとしか言いようがない。
「ゲータ・ニィガを経由するのかぁ……」
カーナビ上には、この世界の地図が表示されている。
GPSは衛星がとんでないと使えないはずなのに、どうやってカーナビ使ってるのかって?
知らん!
なんだったら。
ちらり。
背後を見やる。リビングには、一匹の巨大な獣が、お行儀良く座っている。
ふわっふわの黄金色の毛皮。ピンととがった耳。そしてゆらゆら揺れる尻尾。
あれは神獣テンコ。私のまあ、友達その1だ。
テンコはテレビの前に鎮座している。
【ぐるめ旅! 善光寺の近くを巡る!】
【地元民しかしらない! 直売所のお得ランチに感動!】
『ほぅ……五目ご飯……そういうのもあるのですね……』
じゅるり……とテンコがよだれを垂らしている。
カノジョが見ているのは、現実、つまり私が居た世界で放送されてる、旅番組だ。
どうして、現実世界の、電波が入るかって……?
知らん!
キャンピーは、ただのキャンピングカーではない。
野外活動車という、チートスキルだから……としか言いようがない。
なにせこの野外活動車、壁面は走るわ、雪上を走るわ、けが人を治すわ。
そりゃもう、いろんな事ができちゃう、超がいくつついても足りないくらいの、万能キャンピングカーなのである。
だからまあ、テレビくらい映せるのである。多分。そういうことにしておいてくれ。理屈は私にもわからないの!
『わー……ちゅげ~……おいちそぉ~……』
テンコの頭の上に、ちびっ子ドラゴンが一匹乗っかっている。
青いうろこを持った、綺麗な竜だ。つぶらな瞳がなんとも愛らしい。
この子は、蒼銀竜のそーちゃん。
生まれたてのカノジョに見られたことで、刷り込みが発生し、私のことをママと呼ぶ(思う)ようになったのだ。
『テンコちゃテンコちゃっ、このちそー……おいちそー! きゃはは! おちそー!』
『そうですね、そーちゃん。美味しそうな馳走です』
神獣たちは実に仲良しだ。
仲良きことはいいことだ。が。
私はね、いやーな予感がするんですよ。
いやーなね。
『ところで人の子よ。スミコよ』
人の子。私のことを、カノジョはそう呼ぶ。そこだけ切り抜くと、なんだか厳かな言い方になっている。
さすが神獣って、なる。が。
『腹が減りました』
「……はぁ。キャンピー、テレビ消して」
ぷっぷ~♪
ぷつんっ。
『にゃ!? てれびきえたー! どうなってるの?』
『スミコよ。意地悪するではありません。我らは神獣。軽く扱うと天罰が食らいますよ!』
「へーへーすんませんねー」
軽く扱っても、今んところ、私天罰食らったことないっすけどねー。
『謝罪を要求します。馳走を用意なさい! 今すぐに!』
『まぁまー! そーちゃ、おなかすいたー! ちそーよーいせよー! あははっ!』
そう、この二匹。とにかく食べる。食べ過ぎるのだ。食べ過ぎちゃって困るくらいなのである。
この二人に、グルメ番組を見せるのは、やっぱよくないな。うん。
腹ぺこ+美味しそうなグルメ=私の料理による負担が増える! お金もなくなる! 私の金銭的な負担が増える……!
あー!
『人の子よ、早く馳走を用意なさい。さもなくば……』
『うぇええええん! おなかすいたおなかすいたーーーー!』
『よしよし。ほら、かわいそうだとは思わないのですか。赤子が泣いてるのですよ?』
「はいはいわかりましたよ……」
しょうがない、ご飯にしよっかな。
「キャンピー、自動運転たのんます」
【b^ー°)】
カーナビ上に、顔文字が表示される。これは、我が相棒キャンピーの意思が投影されたものだ。
うちの子らのなかで、キャンピーは常識人なのである。
お母さんの負担にならないように、こうして自分でできることは、自分でやってくれるのだ。なんてできた子でしょう。
キャンピングカーですが。
「つっても、今日はご飯作るのめんどうなんだよなー」
フロントガラスから、日差しが差し込んでいる。
外はまだまだ寒いんだけど、キャンピングカーの中は暖房が効いていて温かい。
実に眠くなる。眠い。飯作るのめんどくさい。
「ので、今日は袋麺です」
KAmizonスキルを発動させる。
これは、キャンピングカーに付随するスキルだ。ネットを使って、ショッピングができるのである。
どうして異世界にいて、現実のものを買えるのかって?
知らん!
なんで異世界でネットが使えるのかって?
知らん……!
剣と魔法のファンタジー世界に、理屈とか求めてるんじゃあねえ……!
袋麺を購入し、キッチンの前に立つ。
ここにはコンロもついてる。調理器具も、こっちに来る前に買った物がある。
私はお鍋に水をいれて、お湯を作る。
沸騰させたこれに、袋麺を入れる。
『スミコ、なんですかそれは?』
「袋麺をゆでてるの」
『ほぅ……その後は?』
「ねえよ」
『なんと。ゆでて終わりですか?』
「そう、それが今日のお昼ご飯」
『ふぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~』
長く深く、テンコがため息をつく。
「なに? 文句でもあるの?」
『大ありです。なんですか、ゆでる、おしまい。そんな単純な料理……美味しいわけがないじゃあないですか』
はいでましたねー、前振りですよ。
ここ、何度もテストにでますからね(謎)。
「まあ黙ってまってなって。そーちゃんと一緒に大人しくしてなさい」
『ふぅ……妾は美食家なのですよ。この程度で満足するわけがないのに……』
ゆであがった後、私はどんぶりに袋麺をいれる。
その上に、こないだふぶきのところでもらった、卵をのっける。
「よし完成。チキンラ○メン+たまご~」
ちょー簡単お昼ご飯である。
立ち上る湯気と共に、醤油と鶏ガラの食欲をそそる香りが車内に広がる。
「ごはんだよー」
『待ってたぁあああああああああああああああああ♡』
『やれやれ……この程度の調理時間で、美味しいものが作れるわけないのに……』
そーちゃんが尻尾をパタパタさせながら、私の腰に抱きつく。
なんやかんや文句を言うテンコ、純粋に喜んでくれるそーちゃん。
テーブルのうえに、ラーメンどんぶりを二つおく。
「さぁどうぞ」
『やれやれ……こんな粗末な料理が……』
「黙ってくえ」
『ふん……いただきます』
偉そうな態度するけど、ちゃんといただきますは言うのだ。教育係の苦労が忍ばれる。
ちゅる……。
『!? こ、これはーーーーーーーーーーーーーーーー!』
ラーメンを一口食べたテンコが、目を見開いて叫ぶ。
『美味……!』
『びみー!』
……はい、これが食レポです。この小説の食レポ担当は、みんな語彙力が貧相なんで、そこんとこよろしく。
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