48.騎士団とバッティング、実はわたしやっちゃってました?
キャンピーさんの崖ダイブのおかげで、山を一気に下ることができた。
「キャンピー、次からは、やりたいことがあったら、事前に相談してくれる?」
【b^ー°)】
キャンピーのワイパーが、ご機嫌にキュッキュと動く。
うん、やっぱりちゃんと事前に言っておくべきだったね。ちゃんと言えばやってくれるし。
考えてみたら、この子はまだまだ幼いのだ。なんだったら、そーちゃんと同じレベルだ。
ちゃんと親が、いろいろ教えてあげないといけないのである。
教えればこの子は、やる子やで?
『ところで人の子よ。腹が減りましたよ?』
「…………」
『なんですか?』
テンコが当たり前のような顔をして、空の皿を差し出してくる。
こいつ、ほんま、はあああ……。
まあ、テンコも若いとはいえ、キャンピー、そーちゃんの赤ちゃん組よりは、歳いってるはずなのに。
口を開けばメシメシメシと、はぁ。
可愛いところとか、優しいとこもあるけど、はぁ。
『なんですか、早く馳走を用意しましょう』
『めちかっ!』
テンコの頭の上に、そーちゃんが乗っかっている。ふかふかの耳をハンドル代わりに握っていた。
「何かの上に乗るの好きだね、そーちゃん」
『そーちゃ、おーじゃだからね!』
そーちゃんが胸を反らしてふんぞり返る。
いや王者って。誰の影響を受けたんだ。
『そなたはいずれ王となる存在なのです。常に何かの上に立ち、下々のものを見下す練習をしておきましょう』
「おまえか……」
あれ、もしかしてテンコとそーちゃんって、駄目な組み合わせなんじゃ。
ちゃんとそーちゃんを教育してくれる、そんな存在プリーズ。
「ふぶきさんは~……」
「すまんがネログーマから離れられん」
「教育係~」
私は虚空に向かって手を伸ばした。
欲しいぞ欲しいぞ教育係。
誰か居ないか? 居ないか、はぁ。
『馳走を早く』
「朝ご飯食べたばかりでしょうが……それに、食材はないよ? 野菜はいっぱい仕入れたけど、それでいいの?」
『ふむ……我慢しましょう』
野菜オンリーは駄目のようですね。露骨に顔をしかめたよこの狐。
何か美味しいものって言われてもねえ。
【>ω<】
カーナビ上に、キャンピーの表情が表示される。
「どったのキャンピー?」
『ふむ……何やら、外が騒がしいと言ってまっすね』
「騒がしい……? って、マジだ」
なんか、キャンピーの外に、たくさんの獣人達が集まっていた。
獣人たちは皆、武装していた。物々しい鎧を着込み、槍や剣を構えている。
「あれは、我が国の騎士達ですわ……!」
とシュナウザーさん。騎士?
「なんで騎士が……あ。ああっ! そうかっ。シュナウザー様を探しにきたのかっ!」
私はポンと手を打った。
そういえば、お忍びでシュナウザー女王を連れてきたんだった。
あれから一日経っている。シュナウザー女王がいなくなったことに、城の人達はさすがに気付いただろう。
で、探しにここ蒼銀竜山へとやってきた、次第。
って! まずいまずいまずい!
『む? どうしたのですか、人の子よ』
「まずいよ……私ら、シュナウザー女王様を拉致った犯人扱いされちゃうんじゃない!?」
だから、外の騎士達が皆、鋭い視線でこっちをみているのではないかっ?
背中に嫌な汗がだらだらと流れる。
『人の子よ。落ち着くのです』
「そ、そうよね……まずは落ち着こう。まだ犯罪者扱いされるとは限らないし……あんたたまには良いこと言うわね」
『脆弱な人なんぞ、キャンピーの突進で一撃です。おゆきなさい、キャンピー』
「いくな……! ステイキャンピー!」
私は慌ててダッシュボードにしがみついた。
もー! まじこの偏り思想天狐、赤子たちに悪影響与えまくるんですけどー!
うわまじどうしよう。
「お待ちなさい、皆の者……!」
「シュナウザー様!?」
シュナウザー女王が、キャンピーから一人出て行ってしまったっ。
「この人達は悪い人じゃあない! 誘拐もされていないっ。だから、早まらないで!」
女王が両手を広げて、私たちの前に立ちはだかる。
「じょ、女王さまぁ~」
や、優しい。こんな素性の怪しい女(子持ち)を、庇ってくれるだなんて。
「む? なんだか様子がおかしいぞ……」
とふぶきが、窓越しに外を見やる。
様子がおかしい?
獣人騎士達は、女王に近付いて、何かを話してる。
なんじゃろか。
ほどなくして、シュナウザー女王が帰ってきた。
「皆さん、その……ちょっと、降りてきていただけますでしょうか」
シュナウザー様が私たちに言う。なんかちょっと困惑してるようだ。
なんだろう。
でて、殺される、ってことはない、と思う。女王様が説得してくれたみたいだし。
『戦、ですか? よいでしょう』
「ちげーよ」
『そーちゃも、いくさ、しゅるぞー!』
「せんでいい!」
もー、なんなのこの神獣二匹っ。
切実にペットシッター欲しいんですがっ。どこかに都合の良いシッターいないですか? 目の前に居るけど、でもこのふぶきさんはエヴァシマからでれないし、はーあ。
と思いながら、私はシュナウザー女王といっしょに、キャンピーをでる。
騎士たちの先頭にいる、いかついおっさん獣人が、のしのしと近付いてきた。
「女王陛下。と、そのお供の皆様」
お供じゃあないけど、まあいいや。犯罪者や下手人よりも、そう思われた方が良い。
『む! もがもが……!』
うちのば、直情径行狐さんが、不満の声を上げそうだったので、強制的にお口チャックさせた。
「わたしは騎士団長のボッタクルゾイと申します」
「ボッタクルゾイ……」
ボルゾイじゃあなくて? なんか悪そうな名前だな。大丈夫、こんな人騎士団長にして?
いやまあ、名前だけで悪い奴と決めつけてはいけないか。
「このボッタクルゾイが言うところに寄ると……キャンピーさんが、魔物を倒したそうなのです」
「は……? キャンピーが? 魔物を? いつ?」
ボッタクルゾイは言う。
「つい先ほどです」
「ええー……つい先ほどって……私ら崖からダイブしか……あ……」
まさか。
すっ、とボッタクルゾイが、キャンピーの車体の下を指さす。
「先ほどその鉄馬車が、空から落ちてきて、S級魔物を……押しつぶしてしまわれたのです」
見ると、キャンピーのタイヤの下で、何か巨大なものが「ぺしゃん」と漫画みたいに平たくなっていた。
「OH……」
へいキャンピー。ゆー、ジャンピングボディプレスで、クラッシュでバンディクーしてしまったてこと~?(謎外国人)
なんだクラッシュでバンディクーって。
「状況は理解しました。ボッタクルゾイ。つまり……貴方がたは、この鉄馬車、および聖女様に助けてもらったということです」
「鉄馬車の……聖女……」
? なに鉄馬車の聖女って。
もしかして私?
「鉄馬車の聖女さまだって」「鉄馬車の聖女様か」「鉄馬車の聖女様に、我らは救われたようだ……」
なんかどんどん、その名前がひろがっていっているんだけど、獣人騎士達にっ。
ざわざわと感嘆の声がさざ波のように広がる。
「鉄馬車の聖女様」
ボッタクルゾイが、キラキラした目で前に出てくる。その名前、やだなぁ~。
「貴方様が、拉致された女王様を、助けてくれた……ということですね、鉄馬車の聖女様ご一行様が」
「……………………」
えーっと、つまり?
さっきの推理は、あたっていたわけだ。この騎士達は、シュナウザー女王捜索に、ここまで来たと。
で、犯人(※私たち)を捕まえに、やってきたと。
で、その途中で魔物に襲われて、そこへ、鉄馬車が落ちてきたと。
鉄馬車の聖女さまが、騎士達を助けたと。
鉄馬車の聖女と、その女王をさらった犯人を、この人達は、別人だと思ってるわけだ。
うん!
「はい、ご指名の、鉄馬車の聖女です。女王を助けて参りました」
私はキリッと親指を立てて、良い笑顔を作った。
「おお! やはり……! ありがとうございます、鉄馬車の聖女様!」
こうして、私事鉄馬車の聖女が、爆誕したのだった。
いや、だってさぁ! 否定したら、じゃあおまえらなんなんってなるじゃん! 犯人じゃんってなるじゃん!
NOって言えるわけないでしょうがっ。
【おしらせ】
※12/24
新連載、スタートしました!
ぜひ応援していただけますとうれしいです!
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『スキル【リサイクルショップ】で捨てられた悪役令嬢(英雄)や神器を仕入れて修理したら、いつの間にか最強国家になってました 〜捨てられ貴族の楽しい領地改革〜』
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