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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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36.新しい仲間!なお食いしん坊



 私たちは蒼銀竜山の、頂上へとやってきた、んだけども。


「なんじゃここ……」


 山頂は、なんとめちゃんこ暖かいのだ。

 極寒の山中とはうってかわって、春の陽気が広がっている。


 草花が生えて、蝶々が舞っている。

 また、奥にはログハウスがあって、その前にはたくさんの野菜が植えてあった。


「しぇー……なんじゃここ。ここだけ別世界じゃん」


「ぴー♪」


「……ん?」


 足もとから可愛い声が。

 見やると、ちっこいドラゴンがいた。青いうろこの、かわゆいやつ。


「ぴー♪ ぴー♪」


「なんじゃい?」


「ぴ~♪」


 なんだか、なつかれていた。私なんもしてないが、まあ、可愛いので抱っこしてみる。

 おお、ひやっこい。


「ぴ~♪」


『ふふ……なるほどのぅ』


 雌ドラゴンが近付いてきた。


「なるほどって?」


『おぬしを母親だと思ってるようじゃな』


「ふぁ……?!」


 な、何を言ってるんだぁ!?

 母親ぁ!?


 そのときだった。

 パァア! と雌ドラゴンが光り輝く。


 みるみるうちに、縮んでいく。そして、そこには、ドレスを着た女性が立っていた。



「変化……?」


「うむ、そのとおり」


「……なんで狐耳?」


 ドラゴンが変身するのは、まあ、わかる。定番だし。

 でもわからないのは、どうして竜なのに、狐耳としっぽが生えているんだろうか。


「我は九尾という狐なのじゃ」


「は……? き、狐……?」


「うむ」


「狐がどうして竜の姿に……?」


「さるお方からこの地を治めるよう言われておってな。狐だと迫力がでないゆえ、竜の姿をしておったのじゃ」


「ほえー……」


 ん?

 んんっ? いろいろおかしくないかっ。


「え、でも旦那さんは……?」


「蒼銀竜じゃな」


「息子? 娘さんは?」


「我が娘は……」


 ああ、雌なんだこの子。


「娘も蒼銀竜じゃな」


「いやでもあんたは狐なんじゃ……」


「我は蒼銀竜の体に変化可能なのじゃ。生まれてくる子もまた、蒼銀竜なのじゃ」


 脳裏に、ポケ●ンのメタ●ンって単語がよぎっていった。

 リアルメ●モンじゃん。

 が、考えるのをやめた。


「つか、なんでそんなややこいことしてるの……?」


「うむ。本来は将来独身でいようと思ったんじゃが……旦那と出会い、ほれてしまってのう……」


 で、結婚して子どもを作ったってわけか。


「ちなみに旦那さんはそのこと知ってるの?」


「無論じゃ。のぅ?」


 すると、蒼銀竜(雄)が近付いてきて、こくんとうなずく。


「あんたはよかったの? 相手同族じゃあないことについては?」


『愛があれば種族なんて関係ない』


 なるほど、良いことを言う。


『お~~~~~~~♡ よちよちよちよち~~~~~~~~♡ ぱぱでちゅよぉ~~~~~~~~~~~~~♡』


 いきなりどしたの?

 と思ったら、雄ドラゴンが、子ドラゴンに顔を近づけてる。


『んほぉ~~~~~~~~~~♡ おれのベイビー♡ ちょ~~~~~~~~~かわわあ~~~~~~~~~~~~~~♡』


 なるほど、親馬鹿か。


「ぴゅ?」


 しかし父親を見ても、はてと首をかしげている。


『ぱぱでちゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~♡』


「びゃっ!」


 子ドラゴンが私の腕の中で、丸くなってしまった。

 私には、この子が父親を拒んでるように見えた。


「どーなってるの?」


『刷り込みじゃな』


「刷り込み?」


『うむ。鳥などで見られるやつじゃ』


 あー、あれか。初めて見たものを、親って認識、す、る。


 問題!

 この子ドラゴンちゃんが、初めて見たものはなんでしょうっ?


 答え!

 卵を取り上げた、私!


「え、じゃ、じゃあ……この子、私を親だと思ってるの?」


「そうなるの」


「やっぱし……」


 まじか。なんてこったい。


「ごめんね、雌ドラゴンさん。お腹いためて生んだ子なのに……」


「よいのじゃ。それもまた運命」


 よしよし、と母ドラゴンが、子ドラゴンの頭をなでる。

 子ドラゴンは『きゅ?』と首をかしげていた。自分のままだよって。


「ときに、聖女よ」


「! 気付いてたんだ」


「まあの。我にも知り合いに聖女がおってな。近しい雰囲気を感じた故」


 だから聖女だってわかったと。


「聖女らしい力見せてないけど」


「そこの車が人間になった時点で、バレバレじゃ」


 キャンピーは人間モードで、テンコと待機していた。なるほど。

 てか、母ドラゴンは車って知ってるんだ。まあ長く生きてるっぽいし、知ってるか。


「助けていただいたお礼をしたいのじゃ」


「え、いや……別にそんなの気にしなくていいよ」


「そうもいかん。我の気がすまんよ」


 ぼんっ、と彼女の前に謎の四角い箱が出現する。これって。


「アイテムボックス?」


「そうじゃ。おぬしにプレゼントをと思っての……」


「いやマジでいいんで……」


「はい3000万円」


「アイエエエエエエエエエエエエ!?」


 なんで!? 3000万円なんで!?

 しかも、現実の世界の札束じゃん!


「どどど、どうなってるのこれ!? なんで現金持ってるの!?」


「知り合いからもらったのじゃ。我では使えぬが、おぬしは召喚者、上手いこと使えるんじゃあないかと」


「ありがてえええええ!」


 食いしん坊×2のせいで、結構お金無くなっていたんだよねっ。


「マジで良いの?」


「うむ。無論じゃ。それと……野菜を持ってくがいい」


「野菜って……」


 この山に生えてる野菜のことを言いたいらしい。


「新鮮で美味い野菜たちじゃ。アイテムボックスに入れるだけ入れてくがよい」


「おー、助かります!」


 現生も手に入れたし、料理に使うお野菜までゲット!

 ははは! ついこないだまで、金欠にびびっていたけど。これで余裕のある生活が送れるじゃあないかっ!


「そして……お願いが一つあるんじゃが」


「なんじゃい?」


「我が娘を旅に連れて行ってあげてほしいのじゃ」


「……ほ? た、旅に……つ、連れてく……?」


 え、え、えー?


「な、なんで。母娘を引き剥がすようなことできないよ」


「すまぬが、我が娘はもうおぬしを母と思ってるようでな」


 だからさっきから、私の胸に、顔をこすりつけているのか。

 って、ミルク飲ませてあげないとっ!


「おいで」


「きゅ?」


 母ドラゴンは、子を抱くと、おっぱいを飲ませようとする。

 しかし子ドラゴンが嫌がっていた。


 でも、腹が減ってるのか、しぶしぶと、お母さんのおっぱいを飲んでいる。


「この通り、娘は我を親と認識しておらんのでな」


「はぁ……」


「それに、竜族はしばらくの間、他者に預けて、社会経験を積ませるという風習があるのじゃ」


「なるほど……」


 うーん、どうしよう。

 いや、親から生まれたばっかりの子をとりあげるの、まじで申し訳ないなんだけど。


 でもなぁ、親って思ってるらしいし。


『ぷはっ。きゅーきゅー♡』


 ぱたぱた、と子ドラゴンが飛んで、私のもとへやってきた。


「頼む。助けると思って。さっきの3000万円は、このこのたびの支度金だと思ってほしいのじゃ」


「ぐ……」


 うーん。まあ、しょうがない。とりあげちゃったもんね。私が。


「わかったよ。じゃあ、この子連れてくね」


『う゛ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん! パパは悲しいぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


 父親がギャン泣きしていた。


「まあまあ、いつか子は旅立つものじゃし」


『早すぎるよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


 よしよし、と母ドラゴンが夫の背中をなでる。なんか申し訳ない。


「子ドラゴンちゃん、いいの? 私についてきて」


『パパと一緒にいてもいいんだよ!?』


「きゅー♡」


 すりすり、と子ドラゴンが私に頬ずりしてる。父親のことなんて、見向きもしてなかった。かわいそう。


『ぐぬぬぬぬぅうう~……。はぁ……聖女よ。我が……ぐす……娘を……たのんだぞ……』


「あ、はい。お預かりします」


 こうして、私の旅に、新しい仲間が加わったのだった。


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― 新着の感想 ―
初乳は…?
この赤ん坊ドラゴンめっちゃ食うんだろうなw
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