35.蒼銀竜の出産、緊急オペを開始します
目の前に現れたのは、蒼銀竜、しかも2匹!
私たちを襲ってきたのは、声の感じからして、どうやらオスのドラゴンだ。
そこへ、雌のドラゴンが現れた、って状況。
『夫が迷惑をかけて、すまないのう』
「あ、いえ……」
「神竜様っ。どうなさったのですかっ?」
シュナウザー女王が、雌に話しかける。
あ、そっか。たまに通話してるんだったっけ。
その相手がこの雌ドラゴンってわけか。
「何かお体に障るようなことがあったのですのっ?」
『うむ……実は、我は身重なのじゃ……』
身重、って。
「妊娠してるの?」
『うむ……。しかし、卵が……なかなかでてこなくての……困っておったところなんじゃ……う……』
なるほど、卵詰まりってわけね。
インコとかであるやつ。まあこの子ドラゴンだけどもさ。
「って、それ早く卵取り出さないと大変じゃん」
おなかの中で卵がくだけちゃ、母子ともに大変なことになっちゃう。
『しかし我にはどうにもできず……ぐううう!』
雌ドラゴンが苦しそうにうなる。
『ど、どうしたおまえぇ……!』
雄ドラゴンが慌てて近寄る。多分陣痛がはじまったんだろう。事態は一刻を争う。
「テンコ! 風を使って、その雌ドラゴンをキャンピーの中に!」
『よいが、一体何をするんじゃ?』
「緊急オペよ!」
できるかわからないが、ほっとくと、ドラゴンたちの命が危ないもんね。
『お、おぺ……? どういうことだ? 何をするつもり……』
「あんたはだまっとれ!」
慌てふためくことしかできない、雄ドラゴンを一喝。
私たちは、キャンピーの中に、雌ドラゴンを運び込む。
キャンピーの結界を発動。これで、細菌などが入るリスクを減らせる。
続いて、空気清浄スキルを発動。
治癒スキルであるこれを使うことで、体への負担を減らす。
「その次は……?」
「……外科手術をするっきゃないわ」
「げか……? しゅじゅつ……?」
「お腹を切って、卵を取り出す」
「!? そ、そんな……死んじゃう!」
「だ、大丈夫よ。空気清浄が発動してるし……」
「外科手術なんて、やったことあるんですの……?」
やったことあるかだって?
そんなもん。
「あるに決まってるじゃあないの!」
大嘘だった。だってさー、不安にさせたくないじゃん!
「聖女様は……そんなことまでできるんですね?」
「お、おうよ。だから……オスドラゴンと一緒に、外で待ってて」
「はいっ!」
取り残される、私、テンコ、そして雌ドラゴン。
『……人の子よ、大丈夫なのですか? そんな嘘をついて』
嘘を見抜けるテンコが、不安そうに尋ねてくる。
「大丈夫。見たことあるから」
『その手術というやつをですか?』
「うん、医療ドラマで」
『なんだか猛烈に駄目な気がしてきました……!』
成せば成る、成さねば成らぬ!
「テンコ、風で刃作れる」
『できますが……』
「風の刃でこの子の腹を切って。卵だけ傷つけないようにして」
『肉だけを切るんですね。容易いことです』
容易いんかい。でも助かった。
「雌ドラゴンさん。今から手術を行います」
『うむ……任せるのじゃ。我の命、おぬしに』
よし。
「テンコ。眠らせて」
『うむ。【いやしのかぜ】』
テンコが何らかのスキルを発動。
雌ドラゴンが、かくんっ、と意識を落とす。
テンコがしっぽを伸ばし、スッ、と母親の腹をなぞる。
出血が、少ない。でも、皮も肉も避けていた。それだけ、鋭いんだろう、風の刃。
私はKAmizonで買った、マスク、および外科手術に使うグローブをはめる。
ついで、外科手術用の手術着も買った。KAmizonってすげえな! なんでもあるわ!
私は腹をかき分けて、あった!
ずる、と卵を取り出す。
「できたっ!」
空気清浄スキルが発動。開いた腹が、元に戻っていく。
ふぶきの鎌鼬のおかげで、出血もほぼゼロ!
「やった……なんとかなるもんだ……」
卵、表面にいくつもひびが入っていた。
ぱかっ。
「ぴぃーぴぃーぴぃー」
「う、生まれたっ! 生まれたよっ!」
「ぴぃーぴぃーぴぃー」
ふぃ~。良かった、上手くいって。
『おい! どうなった! 妻と子はどうなったんだっ!』
雄ドラゴンが外で騒いでいる。
私は子ドラゴンを抱えて、外に出る。
「無事ですよ」
『おおおお! 我が子よ! よくぞ、元気にうまれてきてくれたっ!』
雄ドラゴンが手を伸ばす。
「ちょ、やめてくださいよ。そんな鋭い爪でさわるなんて」
この子、まだ生まれたばっかりで、ぷにっぷになのだ。
爪で傷ついてしまうじゃあないか。
『う、うむ……すまん……』
一方で、シュナウザー女王が私に尋ねてくる。
「神竜様はっ?」
「無事だよ」
「よ、よかったぁ~……」
シュナウザー女王はその場にへたり込み、涙を流す。
私は、ぐっ、と親指を立てる。それこそ、医療ドラマに出てくるような、凄い女医みたいに。
【召喚者は、たしか免許がなければ、医療行為はしてはいけないのではないですか……?】
【ここ、異世界だから。現実ならアウトだけども】
【トンデモナイ理論ですね……】
しょうがないじゃんっ。緊急事態だったしっ!
【作者からお願いがあります】
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