34.蒼銀竜に襲われたので、教習所で習った「禁じ手」を使いました
順調に山を登っていった、んだけど。
「うわー……山道なくなっとるやん……」
さっきまでは、山道があった。登ってこれる道があった。
でも! 今目の前にあるのは、壁。
かんっぜんに壁!
これでどう歩いてこいやっていうんだよ。
「これもう登山じゃん……」
ほぼ垂直の壁を、よじ登ってこいやって?
無理だから!
ぷっぷ~♪
「キャンピー?」
【b^ー°)】
まさか、おぬしいけるのか?
はっ! そういえばっ。
CPで採れるスキル一覧を開く。
~~~~~~
壁面走行
→壁の上でも走ることができる
~~~~~~
キャンピー!
あなたって子は!
「なんでもできちゃうわね……! 偉い!」
ぷっぷ~♪
褒められてご機嫌なキャンピー。
『ばりぼり……人の子よ……ぼりぼり……早く問題を片付けて……馳走をばりぼりばりぼり……』
振り返ると、テンコがせんべいをかじっていた。
料理するのが面倒だったので、KAmizonで買ったせんべいを、与えていたのだ。
最初は『手抜き』だの『こんなのおいしいわけがない』だのと、ぶつぶつ文句を言っていた。
でも、食べ始めたら、何も言わなくなった、んだけど、またぶつくさ言ってる。
それで我慢してなさい。
「じゃ、キャンピー。壁面走行!」
CPを消費し、新しいスキルを獲得。
キャンピーが壁にくっつく。
ぐるぅん!
おかしい。
現状、キャンピーは壁に対して垂直に張り付いてる。
つまり、ジェットコースターで言うところの、坂道を登っているような状態だ。
重力を感じるはず、だが。
まったく、苦しさを感じないのだ。
「ふっしぎ~。垂直に走ってるのに、全然負担を感じない……っていうか、平時と全く変わらないんだけど」
察するに、このキャンピーのなかは、異空間になってるんだろう。
だから、外の空間の影響を受けない、とか? わからん。わからんが、まあ、うちのキャンピーさんが、チートってことでひとつ。
壁面走行を行い、キャンピーは楽々と頂上へ。
と、思ったそのときだ。
ビョウオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「突風です!」
ぐらぐら、とキャンピーが揺れる。横殴りの突風の影響だ。
キャンピーが体勢を崩す!
「風……! テンコぉ!」
『ふふ……そう焦ることはありませんよ。風は友達、怖くないです』
あんたは翼君かな!?
『妾に従うのです、山から吹く風よ……!』
そ、そうか!
テンコは風の神獣。山風すら、操ることができるのかっ。
「さすがっすよぉお! テンコさん!」
『フッ……妾にかかればぬわぁああああああああああああああ!』
車体がさらにバランスを崩す!
私たちは側面にたたきつけられる!
「いってぇ……! ちょおっとテンコさん、何やってんだおまえぇ……!?」
どこぞの海賊王みたいになってしまった私。
『ば、馬鹿な……風が言うことを聞かないですって……これは一体……まさか……!』
「何が起きてんのよっ」
『……攻撃を受けています! キャンピーが!』
「なにんぃいい!? 攻撃ぃい!?」
私は窓ガラスにへばりついて、外の様子をうかがう。
そこには、青銀色の、美しいうろこを持つ、竜が居た!
「で、でかっ! 綺麗だけど……でかっ! 何あのドラゴン!?」
「蒼銀竜ですわ……!」
シュナウザー女王が、外にいるドラゴンを指さす。
「あれが……蒼銀竜? なんで攻撃してきてるわけ!?」
「わ、わかりません!」
蒼銀竜さん、なんだか気が立ってるようだ。
『グギシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
口を大きく開くと、こちらに向かって、ブレスを放ってきた!
「キャンピー、全速前進DA……!」
エネミーコントローラーとか言い出しそうな勢いで、私は言う。
キャンピーが素早く動いて、蒼銀竜の攻撃を躱した!
どごんっ!
なんか攻撃受けたっぽい! 結界で防いだ、のかな?
『蒼銀竜……! おやめなさい!』
テンコが外の竜に向かって語りかける。
『我々は賊ではありません。蒼銀竜よ。そなたの様子がおかしいと聞き、様子を見に来たのです』
おお、説得を心がけてる。いいぞテンコ!
『ネログーマの女王も一緒です。ほら、我々は敵では……』
『ギシャァアアアアアアアアアアアアアアアア!』
蒼銀竜がまたブレス放ってきたっ!
くそぉお!
キャンピーが全力で逃げようとする。
だが、スピードが思うように出ないっ。
くそっ。山の斜面だからかっ。
ドガガガガガっ!
攻撃は結界で防げた。でも、結界は燃料を食う。
何度も受けていたらガソリンがなくなってしまう。
そうなると、どうなるか?
ガソリンなくなる→キャンピーが走れなくなる→私たち落下する。
ぎゃああああ!
「テンコ、攻撃! 風でなんとかして!」
『しょうがありませんね……。風よ! 竜を吹き飛ばすのです!』
テンコが山風を操作して、蒼銀竜に攻撃。
しかし、やつはびくともしていない。ひぃい!
「なんでなん!?」
「蒼銀竜のうろこは、魔を乱す効果があると聞いたことがあります」
「魔を乱すって……まさか魔法をかき消すの!?」
「ええっ!」
シュナウザー女王さんぅう! そういうの早めに言っておいてくださいよぉお!
ああちくしょうっ、このままじゃ燃料切れ起こして、墜落してしまう。
どうする、どおしよう、どうすれば。
1.天才澄子さんが天才的な策を思いつく
2.何らかの天災的なものがおきて、蒼銀竜が退散していく
3.やられる。現実は無情である
個人的には2番を期待してえところだが、そんな運否天賦でなんとかなるとは思えない。
3は論外。こちとら女王を乗せてるんだ。
答えは、1番です!
「みんな! しっかり捕まっててね!」
「な、何をするのですか、聖女様!」
「雪道で絶対やっちゃいけないことをよぉお!」
私は教習所で習ったことが、ある。
雪などが降って、道が凍っているとき、絶対にやっちゃいけないことを!
『ギシャシャァアアアアアアア!』
蒼銀竜がこちらに向かって攻撃してくる!
「まずは……急ブレーキ!」
キキキーーーーーーー!
ここは雪山、当然路面は凍っている。
「続いて急発進!」
ブレーキからの急発進。車体がちょーぐらつく!
「そして最後に……急ハンドルだぁあああああああああああああ!」
みんな、覚えておこう。
雪道で、急発進、急停止、そして急にハンドルを切るとどうなるか。
答えは!
「ま、回ってます!?」
『スミコぉおおおおおおおおおおおおおおおおお! キャンピーが高速回転してますよぉおおおお!』
答えは、スリップ!
超高速で回転しながら、キャンピーは雪面を転がり、そして、スリップ!
車体が浮く。回転しながら、飛んでいく!
そして!
「ロードローラーだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
『野外活動車でしょうがぁああああああああああああああああああああああああああ!』
キャンピーは蒼銀竜に激突し、そのまま落下!
ドガシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
あいたたた。
「いっつぅ~……みんな無事~……?」
「し、死ぬかと思いましたわ……」
『……スミコの馬鹿。あほ。間抜け。おたんこなす。かぼちゃ』
もうすっかり神聖がはがれおちた、テンコ。
みんな無事のようだ。
そらそーよ。このキャンピーは結界に守られてるんだから。
山から落下しても、だいじょうぶいよ。
「キャンピーも大丈夫だよね?」
【^ω^#】
きゃ、キャンピー!?
「もしかして、怒ってる?」
【^ω^#】
ひぃい! やっぱし!
「ご、ごめんって……荒っぽい運転して……でもほら、脅威は取り除いたから……」
『いや倒してはないですよ』
なぬ!?
『何を驚いてるんですか、そなたは……。というか、相手この国の神獣……殺したらどうするつもりだったんですか……』
「い、いやそれは……女王の命のほうがだいじでしょうがぁ!」
『忘れてましたね……』
いやだって、命掛かってたんだよこちとらさぁ!
現状、キャンピーの落下は、山道の途中で止まっている。
正面には、蒼銀竜。
ぐぐぐ、と蒼銀竜が体を起こす。
『わが……わが妻を狙う不届きものめ……! 妻とおなかの子は……絶対に、守る!』
ん? 妻? おなかの子?
「ひょっとして……蒼銀竜って、二匹いるの?」
「そ、そんなはずはないです。蒼銀竜は一匹だけのはずですわ……」
「でも妻とかおなかの子とかおっしゃってますよ、あの竜……?」
どないなっとんねん?
いや、待て。それよりだ。
蒼銀竜は、しゃべれた。そりゃそうか。テンコがしゃべれるんだもん。
ならば!
「ちょ、蒼銀竜さん。落ち着いてください。我々は別に、襲いにきたんじゃあないですよ」
『嘘をつくなぁあああああああああああああああああ!』
ひぃ! めっちゃ怒ってる!
『……当然ですね。人の子が、キャンピーで押しつぶそうとしたんですから』
あれは正当防衛でしょうがぁ!
ああもうっ。どうすりゃいいんだこれっ!
『旦那よ……! 待つのじゃ!』
そのとき、頭上から、女の声が聞こえてきた。
ばっさばっさ、と翼を広げながら。
「ま、また蒼銀竜……?」
なんか、目の前のガチギレドラゴンと、同じみための竜が降りてきたのだ。
でも声は女だし。
もしかして、この雄ドラゴンの、奥さん?
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