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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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26.仲直りのホットケーキ。 ~ハチミツたっぷりの甘さに、神獣も相棒もメロメロです~

 翌朝。

 私は目を覚ます。すると、直ぐ近くに、もの凄く柔らかい感触があった。


「なんだこれ……」


 目を開けると、もっふもふの塊があった。この毛並み、モフモフ感。


「ははん……羽毛布団かぁ……」


 くるまる。はー、あったけえ。やわらけーよぉ。って。


「違う……羽毛布団なんて持ってない……じゃあこれは……」


 よくよく見てみる。


『くぅ~……くぉん……くぅうん……』


「…………」


 テンコさんが私の隣で眠っていた。

 おかしいな。昨晩は、リビングで寝るとか抜かしていたような。


 なーんで、私のベッドに居るんですかねえ、このでっかい狐様は。


「おい、でか狐。テンコ」


『ぬぅ……なんですか……』


「あんたなんで私のベッドにいるのよ」


 いや、別に嫌じゃあないよ? でも純粋に疑問っていうか。


『はっ……! いつの間に……』


「無自覚だったんかい」


『ええ……。なんだか、知らぬ間にここにいました……人の子よ。そなたがわらわをここに引き連れたのではないですか? モフモフが欲しいからっ』


「んなわけねー」


 まあ、昨日は特に寒かったし。暖かいところに来たかったんだろう。人肌が、あー。なるほど。


 私は、遅まきながら気付く。

 この子、寂しかったのね。だから、人のぬくもりがほしくて、私のそばにやってきたと。


『な、なんですか……その生暖かい目はっ』


「いーや……。可愛いとこもあるもんだねって思ってね」


わらわを愚弄しないことですねっ。人の子よっ』


「はいはい」


 ま、別にいっか。まだ子どもだしね、テンコ。甘えたいんだろう。

 まあ、他人ならNOだけど、ま、テンコが相手なら、甘えさせてあげようかね。


「ん~。よく寝た。さ、街にお金取りに行ってさっさと出発するよー」


『ところで人の子よ』


「はい」


『ご飯はまだですか?』


 ごはんぅう~?


「あんたねぇ~……昨晩あんなに、カツサンド食べたじゃあないのよ……」


 まだ食べたいってか?


『それは夕飯。今は朝。朝食を、わらわは所望しているのです』


「っつてもねーえ……」


 朝から手の込んだもんなんて、作りたくないです。


『馳走を。馳走を早く。馳走を用意するのですっ!』


 まーた飯の催促だよ。うるさーいっての。はぁ。 

 まあ、これ何か食べさせない限り、黙らないだろう。


「はいはい、わかったよ。じゃあ簡単なやつ作るね」


『それでいいのです』


 私はキッチンスペースへと移動。


「おはよ、キャンピー」


 可愛い相棒に朝の挨拶をしておく。


「昨日はごめんよ。もうすねてない?」


 返事はない。あの子はしゃべれないからな。


『キャンピーは【激おこぷんぷん丸】と言ってます』


「…………OH」


 キャンピ~。そんな、怒らないで~~?

 まあ、たしかにちょっと仲間はずれにしちゃったけどさぁ!


 えーっと、どうしよう。どうやって仲直りすれば。

 うーん。


『人の子よ、馳走を』


「だーっ! うっさいわ! ……って、そうか。朝ご飯か」


 朝ご飯を一緒に食べよう。そうしよう。


 私は朝食の用意をして、それらをアイテムボックスに入れる。


「テンコ。外行くよ」


『外で食べるのですか?』


「そーゆーこと」


 私たちはキャンピーの外に出る。

 キャンピーが人間の姿へと、変化。


 ちみっこメイドさんは、ちょっと頬を膨らませていた。


「…………」つーん。


「おー、キャンピー。我が可愛い相棒。許してちょ」


「…………」つーん。


 あかん。機嫌を損ねている。これは一大事ですよぉ。


 ってことで、機嫌を直してもらうために、朝ご飯を一緒に食べる。


 キャンプテーブルのうえに、大きめの器。そして。

 アイテムボックスから、【それら】を取り出す。


『……なんですか、それは?』


「ホットプレート」


 と、キャンプで使えるポータブル電源だ。


『ほっとぷれーと? なんです……あつっ! 敵ですか!?』


「ちがうっつの。触るなっての。熱いから」


『早く言いなさいっ!』


 言う前に触っちまったんでしょうが。


「キャンピー。ご飯作るよ」


「…………?」


 ボウルをキャンピーに差し出す。

 お玉で、中の液体を掬う。


「あとは、ホットプレートの上に液体をたらす……」


 じゅうう、という音を立てながら、それが膨らんでいく。


『なんと! 液体が、固まっていきます。珍妙な……』


「少し膨らんできたら、へらをつかってひっくり返す」


 ぱたんっ。

 じゅうう~。


「…………」ほぁあ~……


 キャンピーは膨らんでいくそれを見て、目を輝かせていた。


「やってみる?」


「…………」こくん。


 キャンピーと手分けして、朝ご飯を作る。


「完成! ホットケーキ!」


『ほっと……けーき? なんですかこれは?』


 くんくん、とテンコができたてホットケーキの匂いを嗅ぐ。


『なんと……甘い……におい! お菓子ですかっ!?』


「朝ご飯だよ。さ、食べて食べて」


 すんすん、とテンコがホットケーキのにおいを執拗に嗅ぐ。


『ふ、ふんっ。朝からお菓子なんて。腹が膨らむわけありませんっ。もっとしっかりした馳走を用意して貰わないと……ぱくっ。美味いぃいいいいいいいいいいいいいい!!』


 即落ち2コマどころか、1コマもせず、陥落するテンコさん。ちょろ~。


『はぐはぐっ! なんですかこれっ。あったかくって。あまくって、美味!』


「…………♡」


 キャンピーも美味しそうに食べている。


 あれ?

 今更だけど、キャンピーって、人間の食べ物食べれるの?


 君の食事って燃料じゃ。

 ま、まあいいか。食べられてるし。今は人の姿してるしっ。


「蜂蜜をかけるともっともっとおいしいよ~」


「……!?」


『早くかけるのです! 早く!』


 KAmizonで購入した、市販の、蜂蜜をとろぉりとホットケーキにかける。


 それをフォークで切り分けて、口に運ぶ。ぱく。


 じゅわぁ~。

 ふぉおお、あめえぇ。


『なんと……甘い……♡ 美味……♡ 脳に……ガツンとくる甘さ……♡ 美味……♡ 美味~……♡ ふぉおお……♡』


 まーた美味美味しか言えなくなってるよ、テンコさん。


「…………♡」


 キャンピーは両手でほっぺたを押さえて身もだえしてる。


「どう? おいし~?」


「…………」


 キャンピーが、両腕を使って、【C】を作った。


「C?」


『おいC、だそうです』


 なるほど。可愛い奴め。

 うまうま、とキャンピーがホットケーキを頬張っている。どうやらすっかり機嫌がもどったようだ。


『人の子よ! スミコ!』


「あーはいはい、足りないのね」


『わかっているならっ、早く焼くのですっ。わらわはまだまだ満足できてませんよー!』


「へいへい……」


 まあこうなるのは想定の範囲内だ。

 たくさん作ったホットケーキミックスを、キャンピーと協力して焼いていく。


 やっぱ、共同作業すると、仲が深まるよね。

 もうすっかり、キャンピーってば、昨日のすねたかんじがなくなっていた。

 

『美味っ。おお、美味っ! 美味~!』


 テンコは、ほんとに美食家かってほど、貧弱貧弱ぅ! な語彙で料理をたたえる。


 私は美味しいご飯を、友達といっしょに、食べるのだった。


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