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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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105.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 ウォズの街は、想像以上に賑やかだった。


 石畳の道に、色とりどりの露店が立ち並んでいる。

 魚介の焼けるいい匂いが漂い、威勢のいい売り声があちこちから飛んでくる。

 港町特有のごった煮感というか、活気と雑踏が混ざり合った空気が、なんか好きだ。


 私はキャンピーを街外れの空き地に停め、人間になってもらう。そしてテンコとそーちゃんを連れてギルドへ向かった。


「スミコ、あの焼き魚が良い匂いです」


「あとで。今は仕事」


「あの貝も」


「あとで」


「あの——」


「あとでって言ってんでしょ!!」


 テンコが恨めしそうな目でこちらを見てくる。

 いや、そーちゃんはもうすでに露店のおじさんに向かってよちよち歩いていた。


「そーちゃん! こら! 戻っておいで!!」


「そーちゃん、いいにおい!」


「わかるけど! 今は仕事! 働かざる者食うべからず!!」


 そーちゃんをひょいと抱き上げ、ギルドの扉を押し開ける。


 中は思ったより広かった。

 高い天井に、木製のテーブルが並んでいて、冒険者らしき男たちがあちこちで飯を食ったり酒を飲んだりしている。

 奥にはクエストボードがあり、依頼の紙がびっしりと貼り付けてあった。


 私はそーちゃんを抱えたまま受付カウンターへ向かった。


「すみませーん、仕事の登録をしたいんですが」


 受付の女性が顔を上げた。

 私を見て、隣のテンコを見て、そーちゃんを見て。


 一拍置いて、口の端がにやりと上がった。


「……女三人で?」


「そうですが」


「うちのギルド、そういう……その、観光気分の方はお断りしてるんですよね」


 隣のテーブルから、くっくっくという笑い声が聞こえた。


 あー。

 そういう感じか。

 女だから舐められてる感じ、めちゃくちゃする。


「観光じゃないです。仕事しに来ました」


「失礼ですが、スキルは? 冒険者経験は?」


「スキルはあります。経験は……まあ」


「まあ、ってことはないってことですよね」


 受付の女性がにっこり笑った。

 笑顔が怖い。


「初心者の方には、街の清掃や荷物運びくらいしかご案内できないんです。それでよければ」


 後ろで、テンコの空気が変わった。


 ぴりっ、という感じがした。


「スミコ」


「テンコ、ちょっと待って」


「この者は我らを侮っています」


「わかってる、落ち着いて」


「馳走を持ってくるわけでもないのに、なぜ我らがそのような扱いを受けなければならないのですか」


「テンコ」


「我は怒っています」


「テンコ!!」


 私はテンコの口をがしっと両手で塞いだ。

 テンコがむぎゅっとした顔で私を見る。


「ごめんなさいね、この子口が悪くて。悪気はないんで」


 受付の女性が、少し面食らった顔をしていた。

 まあそりゃそうだ。

 神獣の口を塞いでる人間、なかなか見ないだろう。


「とりあえず、登録だけさせてもらえますか。仕事の内容はあとで選びます」


「……わかりました」


 テンコの口をそっと離す。


 テンコはむすっとした顔のまま、ふんと鼻を鳴らした。


「やめなさい」


「わかっています。やめます」


「よし」


「……ですが、次はないですよ」


「あるかどうかは向こう次第!!」


 そーちゃんが私の腕の中で「ごめんなー」と言った。


「え、そーちゃん今喋った!?」


「ごめんなー」


「なんで謝ってるの!? そーちゃん悪くないよ!!」


 カウンターの向こうで、受付の女性が小さく吹き出すのが見えた。


    ◇


 登録を終えて、私たちはクエストボードの前に立った。


「えーと……何がいいかな」


 依頼の紙を一枚一枚確認していく。

 魔物討伐、薬草採取、荷物の護衛、遺跡調査。


 討伐系はキャンピーのスキルで何とかなりそうだが、神獣二匹を連れて遺跡に入るのはいろいろ面倒くさそうだ。

 薬草採取は地味だがお金になる。

 荷物護衛は港町らしい依頼だ。


「スミコ、決まりましたか」


「んー……」


「食べ物の依頼はないのですか」


「食べ物の依頼って何よ」


「美味しいものを探してくる依頼とか」


「そんな依頼あるか!!」


 そーちゃんが私の肩によじ登り、ボードを覗き込んだ。


「そーちゃん、あれ」


 小さな前足が一枚の紙を指した。


「ん? 港の荷下ろし作業の補助……日当払い、即日可……」


 悪くない。

 体力仕事だが、キャンピーのスキルを使えば楽に終わる。

 何より即日で金が入るのがありがたい。


「よし、これにしよう」


 紙を剥がして受付へ向かおうとしたとき、さっき笑っていたテーブルの男たちの声が聞こえた。


「おい見ろよ、あの女たち」


「港の荷下ろしだって。女だけで? 無理だろ」


「ガラクタみたいな犬連れてさ」


 テンコの耳がぴくりと動いた。


 私は素早くテンコの尻尾をつかんだ。


「離しなさいスミコ」


「離さない」


「我は神獣です」


「知ってる」


「あのような輩に好き勝手言われて黙っているほど、我は温厚ではない」


「今日二回目だよ!? 落ち着いて!!」


「ガラクタと言われました」


「聞こえてた」


「スミコは怒らないのですか」


 私はちょっと考えた。


「……まあ、怒ってないとは言わないけど」


「では」


「でも別にいい」


 テンコが目を細めた。


「なぜですか」


「どうせわかる。仕事ぶりを見せれば、それでいい」


 私はテンコの尻尾を離し、受付カウンターへ向かった。


 テンコはしばらくその場に立っていたが、やがてふんと鼻を鳴らして後についてきた。


「……スミコは変わっています」


「よく言われる」


「褒めていません」


「わかってる」


 そーちゃんが私の肩の上で、またのんきに「ごめんなー」と言った。


「だからそーちゃんは謝らなくていいって!!」


 港町ウォズでの出稼ぎ生活は、どうやら賑やかになりそうだった。

【お知らせ】

※3/17(火)


新作、投稿しました!


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