第6話 神々の声 ― 運命の再起動
異世界に来て、どれほどの月日が経っただろう。
戦いの果てに手に入れた平和は、
ようやく穏やかな日常を取り戻しつつあった。
「……おい、ユウマ。そろそろギルド行くぞ!」
リオンの声で目が覚める。
窓から射し込む朝の光。
いつもの平和な一日が始まる――はずだった。
「おう、わかってる。昨日の依頼の報告もしないとな」
俺は軽く伸びをして外へ出た。
空気は澄んでいて、鳥の声も心地いい。
……だが、その瞬間。
世界が、一瞬だけ“止まった”。
風も、音も、光さえも凍りついたように動かない。
「……なんだ、これ」
視界の中心に、ひとつの光が現れた。
その中から、懐かしい声が響く。
『――ユウマ。創造の継承者よ。』
「……ルミエラ?」
『はい。あなたがこの世界に与えた“創造”は、もはや人の領域を超えています。
それゆえに、天界が動きました。
あなたの存在は、“神々の法”への挑戦とみなされたのです。』
「挑戦……?」
『神々はあなたを排除するのではなく、試すことに決めました。
――五つの神試を越えよ、と。
それが、あなたがこの世界で“本物の創造者”になるための道です。』
空が震えた。
五つの光の柱が、大地の各地に立ち昇る。
山、海、砂漠、空、そして死の大地。
「……試練、か。
今度は神様のテストってわけか」
『この試練を越えられれば、あなたは“真の創造神”となるでしょう。
けれど――敗れれば、その存在は無へと帰す。』
「厳しいな。けど、やるしかないんだろ」
『あなたなら、きっと辿り着けます。……どうか、この世界を信じて。』
光が消え、時間が再び動き出した。
風が吹き抜け、リオンが怪訝そうに首を傾げる。
「おい、どうした? 顔色悪いぞ」
「……いや、ちょっとな。世界規模でヤバい通知を受け取った」
「は?」
冗談めかして言いながら、俺は空を見上げた。
5本の光柱が、まるで“天の目印”のように輝いている。
リオンもそれを見上げ、口笛を吹いた。
「おいおい、なんだよアレ。まさかまた神関係か?」
「ああ。神々からの“試練”だ」
「……マジか」
エリシアが駆け寄ってきた。
「ユウマ、感じたわ。大地の魔力が逆流してる。あれは、普通じゃない」
「分かってる。……俺が、やる」
剣を握りしめた。
もう、逃げる理由なんてない。
創造の力を使う資格が、本当に俺にあるのか。
それを試す時が、来た。
「行こう。――五つの神試を越えるために。」
リオンがニヤリと笑う。
「へっ、結局いつも通り、世界の命運背負ってんじゃねぇか」
「今さらだろ?」
俺たちは笑い合いながら、最初の光柱へと向かって歩き出した。
そこに待つのは、神の一柱。
“審判の神・オルデス”。
彼の試練こそが――創造の道の、第一歩だった。




