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夢見た異世界に本当に転生したら、チートすぎるスキルを授かった件  作者: 海鳴雫


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第33話 神々の再臨 ― 世界の均衡が崩れる時

空が、裂けた。


それは祝福の光でも、啓示の輝きでもなかった。

世界の天蓋が軋み、ひび割れた鏡のように砕け、

無数の“神々の瞳”が、地上を覗き込んでいた。


「……来たか。」

ユウマは天を仰ぎ、静かに息を整えた。


第五の試練――虚無神ニヒルとの戦いを終えてから、

わずか数刻しか経っていない。

だが空気は明らかに違っていた。


リオンが剣を握り直す。

「神々の気配が……複数だ。ユウマ、これは――」


「わかってる。俺たちを“観察”している。」


神殿の外、世界樹の麓。

空の裂け目から、七柱の光が降臨した。


かつて試練を与えた神々。

創造、秩序、時、運命、戦、生命、死――

それぞれの権能を司る者たち。


その中央に、透き通るような声が響く。


――創造者ユウマよ。第五の試練、完遂を確認した。


姿を現したのは審判神オルデス。

かつて第一の試練でユウマを測った神。

その眼差しは、あの時よりも冷たい。


「……あの時のように、祝福してくれるのか?」


――祝福? 違う。お前は“超えすぎた”。


神々の間にざわめきが走る。

天に響く声が、次々と交錯した。


「虚無と存在を統合した人間だと?」

「そんな存在、神界の均衡を崩す。」

「いずれ“創造そのもの”を掌握しかねない……!」


リオンが一歩前に出る。

「おい、あんたら――ユウマはこの世界を救ったんだぞ!」


――救った? 違う、“創り直した”のだ。

その力は神々の領域を侵す。


エリシアの瞳が揺れる。

「……つまり、ユウマは神々にとって“脅威”だと?」


――そうだ。

我らが理を乱す存在は、いかに人の姿をしていようと“異端”だ。


神々の光が一斉に収束し、

地上へ向けて無数の“戒律の鎖”が降り注ぐ。


リオンが叫ぶ。

「ユウマ、避けろッ!」


「いや――これは、俺が受け止める。」


ユウマの手が光に包まれた。

青と白の螺旋が、空に向かって伸びる。


「俺が創った世界を、俺が壊すわけにはいかない!」


光と光が衝突する。

天地が揺れ、空が鳴動し、

世界樹の葉が千の刃のように舞い散った。


――人の身で、神の戒めを拒む気か!


「俺は神じゃない!」

ユウマは叫んだ。

「でも――“生きる”ってのは、誰にでも創造の権利があるはずだ!」


その言葉に、オルデスの瞳がわずかに揺れる。


――創造の権利、か……。


――だが、それを認めれば神々は何になる?

人間に“意味”を奪われた我らは、何を守る?


「神が守るべきは“理”じゃない。“命”だろ!」


リオンが叫び、エリシアが詠唱を重ねる。


「――《聖紋結界・ルミナシア》!」

白光が広がり、鎖の一部を弾き返す。


だが次の瞬間、

天空から降り立った一柱が、重々しく歩み出た。


その姿は、漆黒の鎧を纏い、

背中に折れた剣を背負う戦神ゼルヴァ。


――創造者ユウマ。

我ら神々は議決した。

貴様を“存在の調律者”として――神界に拘束する。


「……つまり、“封印”するってことか。」


――その通りだ。

神にも人にも属さぬ存在は、均衡を乱す。


ユウマは静かに目を閉じ、そして笑った。


「……神々が恐れてるんだな。」


――何を?


「“人間が、神を超える”ことを。」


その言葉に、空気が震えた。

雷鳴が走り、神々の表情に揺らぎが生まれる。


オルデスが低く呟く。


――……その言葉を口にしたのは、お前が初めてだ。


「俺は神を否定しない。

 でも、“上”から見下ろす時代は、もう終わりだ。」


――……


――創造者ユウマ。

貴様の思想は危険だが、真実を孕んでいる。

我ら神々は、一度撤退する。


――しかし覚えておけ。

“均衡”を破る者には、必ず“破滅”が訪れる。


光が霧散し、神々は天へと還っていった。


静寂が戻る。

リオンが荒い息を吐く。

「ユウマ……あんな連中、敵に回して大丈夫なのか?」


「……大丈夫じゃないさ。

 でも、どこかで止めなきゃいけなかったんだ。」


エリシアが優しく頷く。

「ええ。あなたが、世界を“人の手に”戻した。」


空を見上げると、神々の裂け目がゆっくりと閉じていく。

だが、その奥には微かな“赤い光”――新たな災厄の予兆が、

蠢いていた。


(神々は、もう俺を“敵”と見ている。

 だが……この世界を創ったのは、俺じゃない。

 生きているみんなだ。)


ユウマは拳を握り、歩き出した。

光の消えた空に向かって。


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