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夢見た異世界に本当に転生したら、チートすぎるスキルを授かった件  作者: 海鳴雫


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第21話 終焉の果て ― 創造の黎明

荒野が燃えていた。

大地は砕け、空は裂け、光と闇がせめぎ合っている。

この世界の理そのものが悲鳴を上げる中で、俺――高城悠真は、

創造と破壊の力をその手に宿していた。


全身を包むのは、白と黒の輝き。

その境界がゆらぎ、やがて“灰色”に溶ける。


ヴァルドラが静かに天を仰いだ。

「それが……お前の選んだ形か。

 創造でも、破壊でもない“調和”の力。」


「……ああ。

 どっちかを否定することなんて、もうできねぇ。

 壊すことも、創ることも、どっちも“生きる”ってことだ。」


ヴァルドラの瞳が光り、雷鳴が轟く。

「ならば――最後だ。

 このヴァルドラの全霊、受けてみせよ!」


世界が、震えた。

雷が大地を貫き、炎の柱が天を焼く。

空気そのものが爆ぜ、生命の気配が消える。


俺は構えた。

創造陣が無数に展開し、破壊の波動がその中に満ちる。

光と闇が渦を巻き、ひとつの巨大な輪となった。


「創造と破壊の循環――《終環オメガ》!」


俺の詠唱と同時に、世界が反転する。


白が黒を呑み、黒が白を飲み込む。

天地が裏返り、音すらも消えた。



◆世界の崩壊 ― 神域決戦


荒野はもう存在していなかった。

俺たちは今、“神域”と呼ばれる空間にいた。

全てが光の粒で構成された、静謐な虚無の世界。


ヴァルドラの姿も、もはや“肉体”ではなかった。

純粋なエネルギー体――神の原型。


「ここまで辿り着いた者は……数千年ぶりだ。」

「そんなに昔から、この試練を?」


「かつて、この世界を創った神々も、

 互いを認めず、破壊と創造に分かれて争った。」

「……じゃあ、神々の戦いの果てが、この試練なんだな。」


ヴァルドラは頷く。

「我らの愚かさを、人が超えうるか。

 それを確かめるための、永遠の試練だ。」


俺は拳を握る。

「だったら、俺が終わらせてやる。

 創造と破壊の“争い”なんて、ここで終わりにしてやる!」


「ならば証明してみせろ――創造の子よ!」


ヴァルドラの腕が振り下ろされ、

天から漆黒の雷槍が降り注いだ。


俺は地を蹴る。

足元の虚空が波打ち、創造陣が咲く。

光の翼を背に、天へと跳び上がる。


「――《創造解放・ゼロフィールド》!」


俺を中心に、光が炸裂。

その中から現れたのは、無数の創造兵装。

剣、盾、槍、弓、竜のようなエネルギー生命体。


ヴァルドラが笑う。

「まるで神々の軍勢だな!」

「神を超えるってのは、そういうことだ!」


衝突の瞬間、空間が弾けた。



◆魂の戦い ― 理の崩壊


時間も、重力も、意味を失った戦場で、

ただ“意志”だけがぶつかり合っていた。


雷が閃き、創造の光がそれを貫く。

黒炎が世界を呑み、再生の力がそれを覆す。


リオンとエリシアは遠くで俺の戦いを見守っていた。

「……ユウマ、あいつ、本当に神に届いちまってる。」

「届くだけじゃないわ。

 今のユウマは、“人の願い”を背負って戦ってる。」


ヴァルドラの咆哮が響く。

「創造は“意味”を与える。

 だが破壊は“意味”を終わらせる!

 お前の力は――矛盾しているッ!」


「矛盾でいい!

 矛盾の中で生きて、苦しんで、それでも進むのが――人間だ!」


俺は突き出した掌に光を集中させた。

創造の白、破壊の黒、その中間に生まれた灰色の輝き。


「行くぞ、ヴァルドラ!

 ――《創滅融合・エリュシオンブレイク》!!」


光が、すべてを呑み込んだ。

一瞬、世界が停止する。



静寂 ― 神の最期


爆発の後、残ったのは、

白く穏やかな光に包まれた無音の空間だった。


ヴァルドラは、もはや巨躯を失い、

人間の姿に近い青年の姿をしていた。

その顔には、穏やかな微笑があった。


「……お前の中に、我らがかつて失った“命の理”がある。」

「命の理?」

「そうだ。

 創造も破壊も、本来は“生きる”という循環の一部。

 だが我らはそれを忘れた。永遠に続くことを望んだ。

 それが、神の堕落だ。」


「……だったら、俺が覚えておくよ。

 神が忘れたものを、人間が受け継ぐ。」


ヴァルドラがゆっくりと頷く。

「ならば、この力を託そう。」


その掌から、漆黒の光が流れ出し、俺の胸に吸い込まれる。

痛みではなく、あたたかい感覚。


「破壊の再生リバースの権能……それが、お前の新たな力だ。」


ヴァルドラの体が光の粒となり、風に散っていく。


「人の創造者よ――我らを、超えていけ。」


最後の言葉とともに、光は消えた。



再生の地 ― 仲間たちと


気づけば俺たちは、荒野の中央に立っていた。

黒い空は晴れ、静かな風が吹いている。

まるで何もなかったかのように、世界は穏やかだった。


リオンが肩を叩く。

「……やったな、ユウマ。」

「ギリギリだけどな。」


エリシアが微笑み、

「あなたの力……変わったわね。

 あの光、まるで“命”のようだった。」


「破壊を恐れない創造。

 それが、ヴァルドラが教えてくれた答えだ。」


俺は拳を握る。

手の中で、小さな黒い光が脈打っている。

“破壊の再生”――生命の循環そのもの。


空を見上げると、

雲の向こうに、黄金の門が浮かんでいた。

そこから、柔らかな声が聞こえる。


『創造の子よ、次の扉が開かれた。

汝、神々の真意を知る覚悟はあるか?』


俺は答える。

「行くさ。

 今度は、創るためじゃない――生きるために。」


風が吹き抜ける。

大地が光を帯び、遠くで雷鳴が鳴った。


それは、次なる第4の試練――

**「創神の座」**への道を告げる音だった。


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