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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
北の大国と氷雪の虚像

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ゲームの名称


とても退屈な、過ごす時間がとてつもなく長く感じていた長い休暇だったが、途端に忙しくやりがいの有る有意義な休暇となりそうだ。


俺は早速大通りの一等地に店舗用の物件を借りる事にした。

先ずはオセロのセットを対面販売する店なので、倉庫と店舗で20坪程度でいいか。

事業が軌道に乗って手狭になったら移転か拡張すればいいだろう。


先ずは撒き餌代わりに営業に使う物を100セット木工ギルドに発注する事にした。

簡単な図面を描いてその通りに試作品を作って貰った所、なかなか良い出来だったので、そのまま100セット制作に入って貰った。


何しろ盤とコマは至ってシンプルなものだ、2日で30セット仕上がったので、俺はそれを荷車に積んで人手も手配してクレア達の通う学校に営業に向かった。


────────────────────


「・・・これで俺の勝ちです。」


緑色の盤面に描かれたマスの一つに黒のコマを置いた俺は、間に挟まった白いコマを次々に裏返す。その結果黒のコマが盤面の7割を占めた、俺の圧勝だ。


「・・・いや、これはルールは単純だが奥が深いゲームですな。」

俺に負けた学園長が、黒が大半を占める盤面を見ながらそう言った。周りで俺達の対局を見ていた教師たちも興味深々と言った風である。


「このゲームの盤とコマを30セット用意しました。こちらの学校へ寄付しますのでどうぞ皆さんや生徒さん達で休み時間や放課後なんかに使ってください。」

学校長をはじめ教師の面々が俺の言葉に驚てお互いに顔を見合わせた。


「よろしいのですか?そんなに沢山のご寄付など。」

「ええ、このゲームは思考力を鍛えて学業に役立ちます。是非使って下さい。」

そうして連れてきていた木工ギルドの職員とオセロのセットを運び込んだ。


学校長は早速このゲームをするための専用の部屋を用意して、希望者に自由に使わせる事を了承してくれた。何しろ娯楽の少ないこの世界だ、すぐに広まるだろう。


「あ、マサキ様、このゲームの名称は何と呼べば良いのでしょうか?」

学校長にそう問われた、『オセロです。』とつい答えそうになったが、なにも元の世界の名称そのまま使わなくても良いんだと思い直した、そうだなこの名前は・・・。


「このゲームの名前は『アンファング』です。」

俺は村の名前をこのゲームの名称にする事にした。このゲームが流行るにつれて『アンファング村』の名前も一緒に広まると言う訳だ。


「なる程、アンファング村が発祥と言う事ですな、『アンファング』そう呼びます。」

学校長は微笑みながらそう言い、生徒たちにこのゲームを授業の一環として教えるのもいいですねと言ってくれた、それはありがたい。


────────────────────


そして俺達は確かな手ごたえを感じて学校を後にした。その帰り道。


「マサキさん、学校で流行らすってのは良い考えですね。」

「ああ、学校で流行れば生徒たちも家でも遊びたくなるだろうし売れるぞ。」

俺がそう言うとギルドの職員たちは嬉しそうに顔を見合わせ俺に問うた。


「こりゃ追加で大量に作らなきゃいけないな、どの位増産しますか?」

「そうだな、先ずは2000セット。」

「・・・に!?2000セット!?100とか200じゃなくていきなり2000!?」

驚愕する職員に俺は言う。


「今思いついたけど、これ王国だけじゃなくて他国にも流行らせたいんだ。」

そうしたら100や200じゃ、すぐに無くなって入手できない可能性もある。


そのまま熱が冷めて機を逃すのだけは避けたい。まずは王国からだが、王国内だけでも2000じゃ足るまい、この街だけで足りるかどうかだろう。

とにかく大量生産して、色んな所に売り込む。売り込み先は幾らでもある。


「そうだ、酒場とかにも盤を置いとけば、ゲーム喫茶みたいに出来るか・・・。」

我ながらなかなか良いアイディアだ。早速いつもの酒場に持っていこう。


木工ギルドに戻ると更に10セット完成していた、それを受け取り追加注文した。


「・・・・に!2000セット追加ぁ!?」



────────────────────


そんな訳で冒険者ギルド横の酒場にも5セット持って行った。

マスターに遊び方を説明して一緒にプレイし、このゲームの面白さを理解させた。


「客が少ない時間もこれで客を呼び込めるから置いてみない?」

「ああ、解った。このゲーム結構面白いな、俺がずっと遊んでいたい位だ。」

交渉成立だ、これ以上盤を増やしたいときは店で購入してもらおう。


「ん?まてよ?冒険者ギルドのロビーに置いてもいいんじゃないか?」

ふと思いついた俺はその足で隣のギルドへ向かう事にした。



ギルドのロビーに入るとそこにアレックスとフリッツが居た。


「あ、マサキ。丁度いい所に来たね。」

「まさに噂をすれば、だな。」

2人して俺を待ってたようだ。一体何の用だ?俺は二人のテーブルに着いた。


「マサキ、例の『天狼星』のロベルトの件だけど、一筆書いてくれないか?」

「ん?一筆?俺が?何を?」


フリッツが言うにはロベルトの剣を取り戻す為に、俺からカジノ宛てに『剣を返してやれ』の手紙を書いてもらいたいそうだ。


「書くのはいいけど、そんな紙切れで奴らが言う事聞くのか?」

「その場合は『契約不履行』で金貨16000枚の100倍の金額請求するだけだよ。」

と、笑顔で答えるフリッツ。

成る程、全部の借金をチャラにしてなかったから『契約不履行』の線で攻めるって訳か、随分とえげつないな。


「でも、あいつら剣なんて売っぱらってないか?資金繰り厳しいだろうし。」

「その時は必死になって買い戻すだろう?160万枚請求に比べたら安いもんさ。」

そう言いながらフリッツは紙とペンを用紙してくれた。


「それを書いてもらったら僕は『ツヴェルグ同盟国』へ行ってくるよ。」

「ああ、そうなのか。俺はゲームの営業で共和国に行くつもりだ。」

「俺は『例の剣』に更に慣れる為にも、迷宮巡りしてくるよ。」


「なんだ、お前ら3人ともバラバラに行動するのか。珍しいな。」

俺達の会話を聞いていたマスターが会話に入って来た。


「まぁ今は一応休暇だからね、休暇中はのんびりするさ。」

フリッツがそう答えた。俺はゲームの営業が順調にいきそうなので休暇が思ったより長くなるかもしれないと、マスターに答えた。


「ああ、マスター。留守の間の村の警備の依頼出しときたいんだけど?」

「ん?アンファング村のか?あの村、王国一安全な村って評判だぞ?」

俺は依頼の申し込み用紙に必要事項を記入して、マスターに出した。


「んー村の警備。単位-金貨 手付金50枚。1日5枚。期間1か月以上!?」

依頼内容を見てマスターが驚愕する、通常より破格の依頼だ、そりゃそうか。


「おいおい随分美味しい依頼だな!?最低1か月で200枚以上ってマジか?」

マスターの言葉にその場の冒険者達がざわつく、希望者が殺到する。

何しろ王国一安全な村での警備だ。単に村で生活するだけの仕事になる。


「おい!それ条件どうなってんだ?俺達でも出来るのか!?」

「条件は・・・あー、ビーストテイマー限定か。なんで限定なんだ?」


俺が一応説明する。村の周りは狼たちが周回してるから何かあった時に多少なりとも狼を使役出来そうな奴の方が安全だ、と。

それを聞いた冒険者達は落胆の声を上げる、しかしビーストテイマー限定の理由は道理だ、きっぱり諦めるしかない。


「あー、それもそうか。つかマルクス兄弟しか該当者居ないぞ?」

「うん、マルクス兄弟でいいよ。前金払っとくから後お願い。」


マルクス兄弟に依頼をするよう手配した俺は、共和国行きの準備に取り掛かった。


木工ギルドに寄ると今日中に20セット出来上がるらしい、2000セットの正式な注文が入った為、材料も職人も相当数追加して増産体制に入るそうだ。


「共和国での営業が上手く行ったら更に倍注文するからよろしく!」

「・・・簡単に言わないでくださいよ。」




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